文章作法の注意点まとめ
まずは一般的な文章作法からです。
大切な前提として、これらルールは一旦運用を決めたら「その通りに徹底する」ことがとても重要です。(不規則な運用は読解を阻害する要因でしかないからです。)
1.行頭の字下げ
徹底してください。全角スペースを一つ分、段落最初の行の頭に差し入れることを「字下げ」と呼びます。
これが欠けると、段落ごとの見分けがつかなくなります。(著者の手による意図した改行もしくは段落移行であるのか、それとも表示幅や印刷幅の都合で自動折り返ししているだけなのか、視覚的な区別がつかなくなってしまいます。)
特にまずい状態が、行によって字下げされたりされなかったりが乱れている場合です。
一貫した読解ルール適用が阻害されますから、読み手の脳みそが混乱してストレスを生じてしまいます。(⇒「うちゅうの ほうそくが みだれる!」\(^o^)/ )
※追記です。
なろうの執筆編集システムに「自動字下げ」の処理機能が追加されています。ぜひご活用ください。
⇒ https://syosetu.com/man/assist-input/
(公式マニュアルの機能解説ページURLです。ご参照ください。)
2.感嘆符と疑問符の直後は一文字空ける
感嘆符「!」と疑問符「?」、およびその組み合わせの記号群(「!?」や「?!」など)の直後は、全角スペースを一文字分空けてください。
例:「なん……だと? あんころの筆圧が、消えた」←正しく疑問符の後ろスペースが空いている。
(筋肉モリモリ!マッチョマンのHENTAIだっ)←感嘆符の後ろスペースが空いていない。
ただし例外があり、カッコ類が直後に閉じる場合は、スペース不要となります。
例:「こうですか? わかりません!」←これが正しい。
(……だったとして、いったい何が正しいと言えるだろうか? )←こんな空白は意味不明。
これらも徹底してください。不規則だと脳みそかゆくてバーン! します。
3.三点リーダと全角ダッシュは偶数個ずつで組み合わせる
三点リーダ「……」と、全角ダッシュ「――」は、最低単位として二個ずつ連続した組み合わせで用います。
長く表記する場合「………………」や「――――――」といった場合も二個ずつの倍数で使用します。
いちいち手打ちするのも間違いの元になりますから、ご使用のPC端末の漢字変換辞書に二個ずつの組み合わせで任意登録しておくことをオススメします。
(例えば当著者あんころは、「……」を「;」キーに、「――」を「:」キーに配置して一発変換できるようにしています。)
これは印刷出版業界からの既成事実的波及ルールであって、国語文法的には必ずしも「これが正しい」というものではありません。
しかし、現代の実質的な小説や文学といった作品の流通主体は印刷物であり、広く皆が慣れ親しんでいる運用ルールとなります。
「誰に向けた作品か」この目的意識を考えた際、些細な自己のこだわりよりも優先すべきユーザービリティ(利便性/使いやすさ)というものがあると考えられませんでしょうか。
※追記です。
沈黙だけを表すセリフ書きの場合は、
「本当に、それでいいの?」
「…………」
と、四連の形で書き表すことがベターとなります。
実際、視認上としてもこのほうが読みわけが楽です。
ただし、沈黙だけのセリフ書きというものは多用されるべきではないので(特別な理由がなければ地の文で描写されることが望ましい)、その点にはご注意ください。
4.カッコ類が閉じる直前の句点は省く
句点「。」は、日本語文章の末尾には必ず必要なものです。
しかし、カッコ類が閉じる直前だけは、同意記号の二重連続を避けるため省略する実質ルールがあります。
例:「わかったよ。こうすればいいんだろ」←省略している場合。
(……なんだって? 意味が分からないな。)←省略していない場合。
ただし、本来の日本語文法として“正しい”運用は、後者例の「句点を省略しない」です。
省略する運用法は、これも出版業界からの波及ルールであるようです。とはいえ、実質は皆これで慣れ親しんでおりますから、“小説作中”においては準拠されることを極力オススメさせて頂きます。
(逆に、当エッセイのような事務的な形式、論文やレポート類、あるいはビジネス文書などでは、省略せず堅い運用を適用すべきでしょう。)
5.句読点の代わりにスペースを使用しない
日本語の文章ですから、しっかりと句点「。」と読点「、」を使用してください。
(横書き前提の欧文式レポートの場合には「.」と「,」を使います。)
例:「ふふ、こんな感じで、ね。やってみれば……。どうだい?」←句読点を適用できている。
「クッ ハハ! 引かぬ 媚びぬ 省みぬ…… 我が道は唯我独尊なり」←句読点を使えていない。
ただし例外があり、ユーモア表現や特殊表現として成り立つ場合には、意図して句読点を省く行為が許容されます。
例:「うちゅうの ほうそくが みだれる!」←旧時代のファミコン的表現としてパロディオマージュした形式につき、読み手の過半がこれを理解できる場合には許容対象として認められる。(誰にも通用しないような場合は駄目です。それはネタではない。)
6.句読点の代わりに改行を使用しない
ときおり文中の意味を区切るための行為として改行を多用する方がいらっしゃいます。しかし、それは日本語文章としてNGな行いとなります。
また、表示幅などは読み手側の環境次第ですから、書き手側の勝手な都合で改行してしまうと、かえってユーザービリティ(普遍性/可読性)を損なうばかりとなります。
例:「ク、クククハハ……ッ! そうだ、俺を追ってくるがいい。どこまでも――アッシュレイン!」←本来こう記述すべき一文を、
「ク、クククハハ……ッ!
そうだ、俺を追ってくるがいい。
どこまでも――アッシュレイン!」←このように勝手改行してしまうと、日本語文章として崩壊します。
ただし、創作上の意図として、全て承知の上であえて「その作品」の特殊表現として用いる場合、全く通用しないというわけではありません。(例えば、旧式ケータイ向けにのみ特化した場合や、横書き読みする読者層を限定して始めから用意された作品、そうした記述そのものに何らかのギミックやトリックを仕込んである場合、などです。)
注意点は、そのような場合は必ず徹底した適用を貫くということです。半端だと読解を害するだけの悪手に陥ります。
7.段落末における三点リーダや全角ダッシュの後ろに句点を置くかどうか
これは統一したルールがありません。出版社や書籍形態によってまちまちです。
あなたの好きな(尊敬する)作家さんの、一番お手本としたい作品がありましたらそれに準拠されることをオススメ致します。
【句点を置く場合の例】
a)そうだとも、もはや全てが手遅れだ。いまさら私たちが動き出したところで、いったい何ができるというんだ……。
彼はそう言った。嘆息にかすか乗せるようなその声は、力なく、まるで萎れるがごとくであった。
b)だからといって。わたしたちまでが見捨てたら、あの子らは本当に行き先を失ってしまうわ。やるしかないのよ、結果はそれから考えましょう――。
そう彼女は言って見せたが、果たしてどれほどの勝算を見込めたものであったろうか。
【句点を置かない場合の例】
a)そうだとも、もはや全てが手遅れだ。いまさら私たちが動き出したところで、いったい何ができるというんだ……
彼はそう言った。嘆息にかすか乗せるようなその声は、力なく、まるで萎れるがごとくであった。
b)だからといって。わたしたちまでが見捨てたら、あの子らは本当に行き先を失ってしまうわ。やるしかないのよ、結果はそれから考えましょう――
そう彼女は言って見せたが、果たしてどれほどの勝算を見込めたものであったろうか。
この運用点に関しては、表現上の主観的な好みに左右されるところが大きいです。
どちらが正しいと言えるものではありませんので、作者の方がその作品で適用するやり方を尊重してあげてください。
ただし、同一作品内では一貫した運用であることが前提となります。
いかがでしたでしょうか。
ご覧いただいたあなたの創作において、あるいは読み手としての読解における手助けに、お役立ちできるところが一つでもありましたら、とても嬉しく存じます。
他にも「ここが知りたい!」「気になっているんだけど……」といった点がありましたら、お気軽にご指摘ご希望をお寄せくださいませ。
2020年05月13日、追記、「自動字下げ」機能について。
2020年05月13日、追記、三点リーダの沈黙セリフ書きについて。