プロローグ
西暦2XXX年
宇宙から謎の知的生命体 (アンドロイド) が地球にやってきた。
アンドロイドには性別はないがそのルックスは男性的なものと女性的なものに別れていた。地球上に降りて来ては死に、新しく降りて来ては死にを繰り返し、100年ほど経つと増えることも減ることもなくなり、およそ地球人の三分の一が宇宙からやってきたアンドロイドで構成されることとなった。
ちなみに、人口密度の高い国や地域であればアンドロイドの密度も高く、国々の公務員たちの調査によると、それらは比例関係、しかも確実に比例関係にあった。
彼らは非常に知能指数が高く、IQ、EQともに200を超え、地球人のそれをはるかに上回った。
特に彼らの脳のUSB機能は驚異的であった。
姿形は地球人のどの人種ともそっくりで、同じような人種の顔立ちをした宇宙のアンドロイドと地球人が一緒に生活をするようになっていた。そのため、神を信じる地球人はみな、神がアンドロイドを意図的に地球上に配布したと信じていた。
彼らがアンドロイドである証拠に、彼らの瞳はパープルであり、すぐに見わけがついた。
性格はほとんどが温厚で聖人君子の素質を備えており、話し方も落ち着きが合って相手を威圧したり侮辱したりなどの行為は全く見られないという。
大学に進学するアンドロイドがほとんで、常に成績は優秀であった。
アンドロイド間での成績の争いは熾烈を極め、普通の人間はこれを恐れていた。
しかし彼らは互いの足を引っ張ったり、陥れたりなどということを一切することはなく、完璧に平和主義者であった。
アンドロイドたちが地球上に降り立つのは、およそ15歳の時であるとされ、非常に高い知能指数を持っていることから、高校からの教育で事足りるということが明らかとなり、彼らの人生は高校生活から始まることとなっている。彼らはその高い知能指数と優れた脳のUSB機能によって模試の上位を総なめにし、有名かつ偏差値の高い学校に進学するための切符はすべて彼らに奪われてしまうという。
しかしながら、人間社会の構造は複雑であり、会社側は多様な人種を雇って戦略を練る。
学生と社会人の違いはずばり「人間力」にあるという。
いかに人とグルになれるか、人を自分の配下に入れるかということである。
アンドロイドは汚い手を使うことを極端に嫌がるため、その点において大変不利であった。
しかしながら、アンドロイドの能力にはどんな貪欲で狡猾な人間にも太刀打ちできず、結局倫理観や正義感の強いアンドロイドたちのストライキによって倒産する企業や立て直しを図る企業、アンドロイドを除外して人を登用する企業の倒産が続出したのであった。