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昭和なデパート巡りでメリークリスマス  作者: 佳尾るるる


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第1話 夢の空間 デパートの大食堂でぼっちメリークリスマス

 ぼくは川越葵。女の子みたいな名前だけど、60歳のもうおじさん終了寸前の独身男性。


 今年長らく勤めた会社を辞め、今はイラストを趣味にして過ごす毎日。


 そんなある日

「90年の歴史に幕。川瀧の丸中屋本店が閉店」

のニュースが入った。


 絶滅寸前の屋上遊園地、最上階の大食堂など、昭和の雰囲気を残した老舗の閉店。しかし近年は郊外のSCに客を取られ、長引く不況で、高いものも売れなくなっていたのだろう。


 子供の頃のぼくにとってデパートはお楽しみがたくさん詰まった夢のような空間だった。


 ぼくの両親は4歳の頃事故で他界。祖父母に引き取られたけど、二人とも日曜18時30分にやってるアニメのお父さん、お母さんみたいな人だった。おじいさんは毛がフサフサしていたけど、おばあさんは普段も勝負の日も着物をバッチリ決める人。もちろんおじいさんもスーツをバッチリ決めていた。


 そんなぼくは大きなセーラー襟のジャケットに丸襟のブラウス、半ズボンかニッカポッカでタイツにワンストラップシューズを履いた女の子寄りのおめかしで、デパートに3人で行くのが大の楽しみだった。


 下から婦人服売り場で色々眺めたり品定めをするおばあさん、趣味の道具を眺めるおじいさん、早くおもちゃ売場や文具売り場、本屋に行きたいぼく。


 それが終わると上のフロアのおもちゃと文具のコーナー。文具コーナーで画材を買ってもらって絵にハマったぼく。本屋さんにも寄った。


 そしてピークを外して最上階。次のお楽しみは昼食。いつも大食堂で、おじいさんとおばあさんは和食御膳。ぼくはお子様ランチ、すぐに卒業すると、ナポリタンやオムライス、ハンバーグ、山かけ御膳とかになった。


 小さい頃のぼくは色白で痩せっぽちで消えちゃいそうな女の子みたいって言われていて、中2まで小柄で半ズボンにタイツ姿だったのに、よく食べても太らない、病気もしたことがない。


 満腹になって次のお楽しみは屋上遊園地。観覧車やメリーゴーランド、豆汽車に乗るのはいつもぼくひとり。おじいさんたちはベンチで座っている。


 一通り愉しんだ後は喫茶コーナー。おじいさんたちは紅茶、ぼくはクリームソーダで一息ついて家に戻る。その日の夕食は地下で買ったシュウマイや赤い焼豚がよく出た。


 遊園地にも連れて行ってくれたけれど、やっぱあの宝箱のような夢が詰まったデパートが好き。それとSCに高揚感はないよなぁ。


 そしてぼくには幼いころ好きだった子がいた。


 その子は茜ちゃんといってぼくとお向かいさんで同い年の女の子。


 5歳のときに向かいに越してきて、祖父母と、ご両親が仲良くなって家族ぐるみで付き合い始め、共働きだったので、ウチで預かったり、一緒に過ごすことが多くなっって、そのうち茜ちゃんも一緒にデパートに行くようになり、いつも手をつないでいつの間にか、心も繋がった幼い恋人同士だった。


 そんな茜ちゃんとの間もあの悲劇で終了した。それは12月の22日くらいだっただろうか、一家で乗っていた乗用車に飲酒運転のトラックが追突、クリスマスイブの朝に旅立ってしまった。


 あれからぼくは女の子と関われなくなり、今日まで独り身を通した。



 今日はクリスマスイブ。ぼくは毎年川瀧にある祖父母と、茜ちゃん一家の墓参りに行く。帰りは久しぶりに丸中屋に行ってみよう。


 川瀧の中心市街にある丸中屋。そこはまさしく昭和の雰囲気だけが残り、店内は空きフロアだらけの寂れた雰囲気なのに、閉店を惜しむ人が大勢いた。だけどカメラも、楽器・レコードも、おもちゃも文具も本もすでになく、早速大食堂へ。


 ぼくはチキンライスにヒレカツの単品とハムサンドを注文。紙ナプキンに包まれたカラトリー類、ステンレスの食器、ホール係は紺色のワンピースと小さな白いエプロンにこちらも昭和のまま。味も調度品もそのままの昭和を珍しがったり、懐かしむ人でかなり混んでいた。


 屋上遊園地は乗り物の大半が撤去され、ベンチだらけで座ってお茶を飲む人が多い。昔はしましまの容器に入れらた太いポテトやアメリカンドッグとかの売店も有ったようだけど、今は廃屋になって放置されたまま。看板も色褪せて、終焉間近な感じ。ただ眼下に広がる風景だけは変わらないようだ。


 無人のエレベーターを降り駅に向かったとき

「昭和はもう終わり、ぼくも終わりかな」


 と感傷に浸りながら、サンタさんも来ないおじさん一人ベッドで、眠りにつくが・・・・・


「少しでも『続きが気になる』と思っていただけたら、下の【☆☆☆☆☆】や【ブックマーク】で応援していただけると、執筆の励みになります!」

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