第27話:廃墟の玉座
崩れかけた玉座の間。
そこには、朽ち果てた王冠を被った骸骨が座っていた。
スカル。かつての国王であり、カイゼルの父だ。
彼は死してなお、この国(廃墟)を支配していた。
「……カイゼルよ。まだその女を守るのか」
骸骨が顎を鳴らして喋った。
その声は、三百年前の威厳を保っていた。
「愚かな息子だ。……あの時、その女を囮にしていれば、国は滅びずに済んだものを」
「……国など、どうでもいい」
カイゼルが剣を抜いた。
「俺が守りたかったのは、石の城でも、血の系譜でもない。……たった一人の、愛する女だ」
彼は父王に剣を向けた。
三百年前、彼は父に逆らえなかった(ように見えた)。
でも今は違う。
彼は自分の意志で、自分の正義を貫こうとしている。
「……行くぞ、父上。俺たちの長い親子喧嘩を終わらせよう」
激突。
剣と魔法が交錯する。
私はカイゼルの背中を守りながら、援護魔法を放った。
かつては「王と王子」だった二人が、今は「男と男」として戦っている。
その悲しくも熱い戦いを、私は見届ける義務がある。
†
カイゼルの剣が、父王の王冠を砕いた。
骸骨が崩れ落ちる。
「……見事だ」
父王は笑ったように見えた。
「……行け。お前の選んだ道が、正しかったと証明してみせろ」
彼は塵となって消えた。
カイゼルは剣を収め、深く一礼した。
「……さらばだ、父上」
彼は振り返った。
その顔は晴れやかだった。
三百年の呪縛から、ようやく解放されたのだ。




