第25話:龍神の告白
戦いの後、私たちは最後のキャンプを張った。
カイゼルとキルアは眠っている。
私は龍神と二人きりで、星を見ていた。
あの赤い星は、もうすぐそこまで迫っていた。
「……アリアよ。話がある」
龍神が静かに言った。
いつものふざけた口調ではない。
「わしがお主を封印から目覚めさせたのは、単なる気まぐれではない。……カイゼルの限界が近かったからじゃ」
龍神はカイゼルの方を見た。
「あやつは三百年、不眠不休で戦い続けた。その魂はもうボロボロじゃ。……お主が目覚めなければ、あやつは孤独の中で死んでいただろう」
胸が詰まる。
私がのんきに寝ている間、彼は地獄を歩いていたのだ。
「わしは……この世界の理そのものじゃ。本来、個人の感情など持ってはならん。……だが、あやつの生き様を見て、わしは「情」を知った。あやつを死なせたくないと思うた」
龍神の目から、一筋の光が落ちた。
涙だ。
システムとしての役割を超えて、彼の中に芽生えた「心」。
「頼む、アリア。……あやつを救ってやってくれ。あやつを救えるのは、世界でただ一人、お主だけじゃ」
「……わかってる」
私は龍神の頭を撫でた。
ゴツゴツした鱗が、温かかった。
「任せて。……私の男よ。私が責任を持って幸せにするわ」
龍神は満足そうに目を細めた。
夜明けが近い。
王都への帰還の時だ。
三百年の旅路の果てに、私たちはついに、始まりの場所へと戻る。




