第24話:キルアの帰還
カイゼルが回復しないまま、私たちは敵兵に囲まれた。
星喰いに操られた兵士たちだ。
数は百以上。
私はカイゼルを守りながら戦ったが、魔力が尽きかけていた。
(……ここまで、なの? )
敵の剣が振り下ろされる。
私は目を閉じた。
キンッ!
金属音が響き、敵の剣が弾き飛ばされた。
目の前に、銀髪の少年が立っていた。
「……遅くなって悪かったな、ババア」
キルアだ。
以前よりも背が伸び、精悍な顔つきになっている。
彼は二本の短剣を構え、不敵に笑った。
「約束通り、殺しに来てやったぜ。……お前を殺すのは俺だ。他の奴には指一本触れさせねぇ」
相変わらずのツンデレだ。
でも、その背中は頼もしかった。
「……生意気ね。返り討ちにしてやるわよ」
「へっ、上等だ!」
キルアが疾風のように駆ける。
敵兵が次々と倒れていく。
私は後方から援護射撃を放つ。
息が合う。
かつて安宿で過ごした日々が、私たちを「家族」にしていたのだ。
†
さらに、遠くから砲撃音が響いた。
敵兵が吹き飛ぶ。
丘の上に、ヴォルフ将軍の姿が見えた。
「……借りは返すと言ったはずだ」
彼は眼鏡を直し、部隊に指示を出した。
かつての敵が、今は味方として戦ってくれている。
カイゼルが蒔いた種(部下への信頼)と、私が蒔いた種(情け)が、ここで花開いたのだ。
「……行くぞ、アリア!」
目覚めたカイゼルが剣を抜いた。
私たちは包囲網を突破した。
王都は、もう目の前だ。
仲間たちの想いを背負って、私たちは最後の戦場へと足を踏み入れる。




