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はるかの日々  作者:
93/168

93.歌友の定義

朝、一つのベッドで寝ていた三人。真ん中の遥に両サイドから絡みつくように優子と有理が寝息を立てている。全員全裸で。

いつも通り日の出前には目が覚めた遥だが、両サイドをガッチリ固められて身動きできない。いわゆる天井の染みを数える状況。ちょっと違うか。

そんな遥の横乳に舌を這わす優子。起きたのかと思ったが呼吸が未だ睡眠中のままだ。寝ぼけているのか、夢見による行動なのかは分からない。脚も腕も絡め取られており、されるがままだ。すると今度は半身覆いかぶさるように寝ていた有理が乳首を唇に含み出した。

コイツらホントに寝てるのか!?

よし、起こそう。呼吸法を駆使して全身の筋肉を僅かにパンプアップした。

ビクンッとする二人。そして目覚めた。


寝起きの挨拶を躱してからベッドに横たわったまま昨日の話になった。


「いやぁ、あの竹市さんはいいなあ、友達になれそう」


「そして抱くんか?」


「………んな訳ないじゃん?」


「疑問形かよ」


「もういいから、朝飯食ったら学校行くよ」


「あれ? クルマどうするの?」


「ここに置いていくよ」


「いいの?」


「いいよ。うちのホテルだもん」


「「このブルジョア野郎が!」」


とまぁ、登校した。用意されていた政府の公用車で。


「いーのか? アレ」


「アタシはだんだん慣れてきたよ?」


「私は諦めた」


三者三様だが肯定的ではない。浮かれるよりは100倍良いだろう。

少なくとも高校生時分から防衛省の公用車には乗っていた筈。だから本心では肯定している? いや、諦めている?


「そーいや、高校生んときもあーゆークルマ乗る時はカラオケ絡みだったような?」


「ホントだ。遥はともかくアタシらが同乗する時は大概カラオケ行ったよね」


「………私ら三人ってさ、官僚と政治家以外で他に誰かカラオケ行ったっけ? 但し家族は除く」


「ん? あれ? 三人でとなると………マジか………」


「他に友達いない説」


「だからって官僚と政治家だけとか! 私達の10代が………」


「もうじき終わるね、10代」


「「「はぁ~」」」


講義室へ入り席に着く三人。道中は一応聞き耳に注意していたが、ここでの話題は変更だ。


「で、小野田家でのアンコウ鍋は何時やるの?」


「お? ああ、そうだね。今日龍美母ちゃんに聞いとく」


「ねぇ、わたしも参加希望」


「有理、アンタさ、アッチも参加する気だろ?」


「あ、分かる?」


「すっかりハマってんじゃん………ま、気持ちは分かるけどさ」


「自分でもさ、驚いてるんだ。前はさ、たまにやる程度で満足できるって割り切れてたし。でもね、ここんところの頻度でさ、もう引き返せないとこまで来ちゃったかなって」


「だから止めときゃよかったのに。私割と大変だったんだよ? 自分があんななのにアンタの世話までしなきゃだし………」


「でもさ、皆んな気持ち良くなったっしょ?」


近場の学生らが遥達をチラチラ見ている。ヒソヒソ話をする学生も。

その様子にしばし考え込む遥。そして考えがソコへ至る。「アレ? 激しく誤解されてね?」と。

その後しばらくのあいだ学内で薬物汚染の噂が立った。有理へ「アンコウ鍋売ってくれないか?」なんて言ってくるバカが数人いたそうだ。

なんでもしばらくのあいだ学内での非合法ドラッグの隠語がアンコウ鍋になったらしい。後日それを知った三人は腹を抱えて笑った。

それでも事情説明が出来るわけもなく、面倒でもあるし放っておいたのであるが。


最高学府に巣食う反社会的学生三人の存在は広く深く知れ渡った。

パイセンAの撃破っぷりを知りながらも気安くナンパしてくるような心が強いバカもほぼ近寄らなくなったお陰でむしろ学校生活がよりストレスフリーになった。だから訂正すらもしない。

だってここでその他の友達なんか作らなくてもカラオケ行く知り合いくらいなら他にもいるし。それを有理が言うとあとの二人が爆笑していた。


「マジそれな!」


「遊び相手が………クッソ笑える!」


「そのうち蛍ちゃんと竹市さんと女子カラオケやる?」


「「それだ!」」


もうじき二年に上がる。そんな春先の頃。



◇◇◇



学生課の掲示板にうやうやしく張り出された掲示物。そこには要約するとこう記されていた。


《本年度より理系専門分野における臨時講師の出張講義が適宜実施されることとなりました。専門分野及び講師名は月単位で予定表を貼り出します。また、大学公式テンツーに於いても公表致します。

講師陣はまさしく世界の頭脳とも言える最高峰のタレント(さいのう)ばかり。専門でなくとも受講可能ですので、この機会に最先端に触れてみてはいがでしょう。

尚、専攻科目にあたる学生には単位が付与されます。》


昨年秋頃からマモルやクロエらが働きかけていた案件が実を結んだのだ。かなりスピーディー。

なにしろ一部政治家や高級官僚、学派の領袖なんかがあからさまに圧力をかけてきた上に交換条件となる出張講師陣があまりにも煌びやか。

そして本来の目的である“習志野駐屯地での講義も単位として認める”という裏取引もきっちりと成立させる剛腕っぷり。これはマモルというよりは佐倉の手腕であろう。勿論その背後には小野田がいる。さらにはその後カラオケ友達となるジイさんらも。


来年度からは遥、優子、有理の三人と受験をパスした倉持友梨佳の学び舎が2拠点化する。


聖女礼賛は次のステージへ?

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