31話 野盗遭遇
「お嬢様ぁ!」
一人の女性の悲痛の声が森に響いた。
新たに就任したという魔族を退けた英雄への挨拶にと馬車で移動する途中一つの山賊のグループに襲撃されてしまった。
ただの山賊であれば問題はなかった、しかし今自分達の前にいるのはB級冒険者崩れの集まり幻影の手。
無情にも護衛は皆殺しにされお嬢様と呼ばれた少女は野盗の頭領に捕まり付き人の女性の野盗の一員に取り押さえられてしまった。
少女は泣きながら「嫌!」と何度も連呼し拒絶しようとするが服を破られ悲しくも欲望の捌け口となる…。
はずだった。
男の腕にはいくつかの切り傷が現れ一つの声が響いた。
「私の領地でそのような行いはやめて頂こう」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
うーん助けようと近くに来たものの、どうしたものか。
もちろん助けようとは思っているのだがあまりにも突然乱入してしまっては目立つ過ぎてしまうのではないかという考えや、阿頼耶識で調べた所全員がB級冒険者崩れで颯爽と駆け付けても物量で押されて返り討ちに遭ってしまうかもしれないそんな考えが頭の中にありなかなか助け出すタイミングが掴めていなかった。
全く護衛達はいつもいつも思うけど何してんだよ、B級以上には強くなっておけよ…。
さてどうしたものか…ってああ少女が捕まり押さえつけられてしまった!
待て待て!?俺にそんな趣味はない!でも助け出すタイミングが…。
あ…服破られた!?うわぁ悩んでる内にどんどん状況がひどく…ええいままよ!囲まれても暁とか影月全力で出せば何とかなるでしょ!
神鉄を構え地面を蹴り前へと進む。
風魔法で姿勢を調節して…月城流「疾風!」
そうして少女を捕まえていた男の腕に少し切り傷をつける。
アイツらから見れば俺はここの領主だ、領主らしい言葉使いで会話するとしよう。
「私の領地でこのような行いはやめて頂こう」
「テメェ!」
「一度冷静になれ、このまま引くというなら俺は何もしない、どうだ?」
「そんな提案乗る訳ねぇだろ!」
そうして男は俺に殴りかかってきたので反射的に男を袈裟斬りにした。
切られた男の息の根が止まったようだ。
…思っていたよりも感情は動かないな。
「ははっ少し予想はしてたが、ここまでとは」
この世界で初めて人を殺した。
なのに何も心が動かされなくて平常心だ。
つまり俺は人を問題なく殺せる人間という事。
自分でやっておいて難だが嫌悪感を抱いてしまった。
彼女はこんな俺でも好きになってくれるのだろうか。
いや、そんな事を考えるのもおこがましいな。
今はただ目の前のことにだけ集中しよう。
「貴様ら、ここが誰の領地と知っての狼藉か?」
「くっそ何でこんな所に領主がいるんだ!魔族を撃退したってのは噂じゃねぇのかよ!
テメェら!さっきと同じように一斉に襲うぞ!噂じゃこいつは俺らとそんなにランクは変わらねぇ!物量で押し切れば勝てる!」
「無知で野蛮…」
もう良いや、考えを改めようこの世界では善意には善意で悪意には悪意で応えるとしよう。
月城流…「水面月」
刀を一振りすると大勢集まっていた野盗達が上半身と下半身に分かれていた。
やっぱ、コッチの方の強さは凄まじいな。
「あ…あの」
少し感傷に浸っていると先程捕まえられていた少女の付き人?が話しかけてきた。
「何でしょうか」
「私はグレース家の令嬢であるアリス=グレースに使えておりますペラと申します、危険な所を助けていただきありがとうございます。
ご挨拶に伺う前にお手数おかけして申し訳ありませんルア=フィリップ様」
…え。
挨拶の手紙貰ってない…いや多分俺が見落としてるんだろうな。
殆どの手紙が縁談の手紙だったのであまり目を通さずヨルに任せてしまった弊害だろう。
「…言いづらいのですが、早く服を…目のやり場に困ります」
さっきは野盗に集中していたが服が破れていてかなり目に毒だ。
「あぁ!失礼します!」
そうしてペラさんとアリスさんは近くも森の奥に入っていった。
さて、この護衛の人達と野盗の遺体をこのまま放置するのは色々と面倒だ火葬ぐらいはちゃんとしよう。
そうして暁で遺体を全て燃やし軽い埋葬をして手を合わせた。
野盗の人達も来世があるならまともな生活を送って欲しい物だ。
読んで頂きありがとうございました少しでも面白い。続きが読みたいと思ったらブックマークと感想、星をたくさんつけてもらえるとモチベーションになりますのでお願いします!私用により一週間ほど空きます




