2話 街へ向かう
そろそろ街を見つけないといけないよな。
歩いているとやたら襲ってくるスライムを倒しながらふと思った。
レアドロップとかが出やすいから楽しくなってたけど僕の本来の目的は冒険者になる事、こんなところで遊んでる暇なんてないはずだ。
とりあえずステータスを確認しておこう。
「ステータスオープン」
Lv32
能力
力 650
魔力 700
精神力 900
もうLv32か…成長速度にバグが生じてるみたいだそういや魔法を確認できてなかったなステータスカードに記入されてないけど…念じたら出てくるかな?
試しに魔法のイメージを想像してみる。
ってなんか体がポカポカしてきたけど何これ?
とりあえず目を開けてもう一度ステータスカードを出してみるすると…
やった!ちゃんと魔法が出てるって魔力の値さっきと違うのとなんか魔法の量おかしくね…?Lvでも習得できるのか?ってかこれ全部魔物と戦ってる時に希少個体が使ってきた魔法だ。
まさか俺の場合見ただけで習得できるとかそんな話……ありえるか。
神様から貰った物だもんなぁそれぐらいあってもおかしくないよな…確かに死ぬ確率はなくなるけど流石にここまではいらないんじゃないかと思うけどせっかくのご厚意なので感謝しておく。
Lv32
能力
力 650
魔力 900
精神力 900
魔法
ファイヤボール ストーンバレット
さっきのは魔力を知覚したとかそんな感じかな?元々魔力は持ってるけど知覚しないとダメとかそういうのあるのか?渡された知識にはないから一旦は置いておこう。
しかもLvが上がると身体能力が跳ね上がるみたいださっきから視覚が広く感じる。
この身体能力なら街を見つけるのも早いかもしれないと思い街を探そうと走り出した。
…………見つからねぇ!!!
こんな口調になったのは久しぶりだ、かれこれ40分ぐらい走り続けたのに街の影も見つからないとは…しかも道中にスライムとかいるからまた倒してレアドロップ出たり。
というか40分間走り続けられる自身の体力の上がり幅に驚きだよ。
今日は野宿の可能性も考えなきゃいけない…クラフティングテーブルで斧とか作って木を伐ったりしとくか?
そんな事を考えながら歩いていると遠くに何やら争っているような光景が見えた。
まぁ視界の広さで捉えただけだから普通は見えない距離だあれは…馬車?あー成程。
俺は勝手に納得してしまった。
よくある場面の馬車が盗賊に襲われているってやつでしょ?もう本当に護衛があるんだからちゃんとしろっての、助けるけどさ。
近づいていくとそれが盗賊じゃなくて魔物であることに気づいた、鑑定を…
{レッドゴブリン Lv12 ゴブリンの上位種}
まじかゴブリンの上位種は初めてで弱点看破は使えないから真っ向勝負だな。
俺は剣を取り出して一体に切り掛かるすると刃はすんなりゴブリンの首を空に飛ばしていた。
やっぱりLv差というものは偉大だ刃を入れただけですぐに切れる。
だがやっぱり殺せるんだな。
俺はスライムを倒した時は生物と認識していなかったからと思っていたが違った、俺はゴブリンを生物として認識している。
そんな相手の首を刎ねたのだちょっとした罪悪感があるはずだがそんなものは一切なかった、こっちの世界に順応しているのかそもそも俺が生き物を殺すのに罪悪感がないのか分からない。
これが後者ならは俺は俺自身が怖い。
とりあえず一体倒すことはできた。
まぁ敵が多過ぎるから意味はないけど…弱点看破が使えるから少し楽にはなった。
俺には剣を扱う才能はないだろうな、でもただ弱点を狙って切っていくだけだ美しく切らなくて良いただ弱点の確実に切るように汚く倒していく。
だからだろうか一度に来た時に前方だけしか対応できずに後ろのゴブリンの攻撃を許してしまった。
もう剣を後ろに回すのは遅いそれなら!
俺は剣を持っていない左手をかざし魔法を唱える「ストーンバレット!」
軽く重なったゴブリンの腹目掛けて撃つ、軽く一体ぐらいは貫いて後の奴らの動きも封じれたら良い程度に考えていたが予想とは裏腹に全てのゴブリンの腹を思いっきり貫いていた。
僕が考えていたストーンバレットは小石程度だったのだが僕が放ったのは明らかになかなかの大きさの石だったそれでも腹を全部貫通するってこの世界じゃ死体はアイテム化して消えるからいいけど残ってたら色々絵面がまずかった。
ドロップ品は…ゴブリンの牙×9 ゴブリンの皮膜×7 Eランク魔石×16
どうやらゴブリン達は魔石を落とすようだスライムにはなかったからランク外って事なのかな?ちょっとかわいそう。
それはそうとして鑑定しないと分からないこのだらけだ。
{ゴブリンの牙 初期の簡易的なナイフ製作によく使われる}
よし次はゴブリンの…
「すいません」
皮膜を鑑定しようと思ったら後ろから声をかけられた仕方がないか急に現れた形だからだな。
というかクラフティングテーブル一度も使ってない…顔バレしないように仮面でも作っておくべきだったな。
「はい、なんでしょうか?」
後ろを振り返ってみるとそこに立っていたのは体格の良い以下にも騎士って感じの男性だった。
「先程はご尽力いただきありがとうございます」
「いえいえ、こちらとしても目に入っただけですので」
とても物腰が丁寧でイメージ通りの騎士って感じだな、僕が手助けしたのは邪魔だったかもしれないな。
「ところで何が目的なのですか?」
そりゃそうだ、人は何をするにも目的がある騎士らしく主人に害がないように目的を聞きにくるか。
「別にただ街が見つからなくて街まで連れて行ってもらえたらラッキーだなと思って助太刀をしただけです」
「それが理由ですか?」
驚いた顔をして見られてしまった、そりゃそうだ街に辿り着けないなんてこの世界の住民からしたら不思議でたまらないだろうな。
「ローラン、魔物は片付いたけどまだ出発できないの?」
キャビンの方から一人の女の子が姿を現す。
赤を基調としたドレスを着ていてどこからどう見ても良いところのお嬢さんってところだが僕と同い年ぐらいだろうか?
「あら?ローランそちらの殿方は?」
僕の目の前に立っていた人に話しかけるこの人の名前はローランっていうのか。
「先程レッドゴブリンが集団で襲いかかって来た時に助太刀してくださった人です」
「そうなんですか!ありがとうございました」
「いえ、俺がいなくても問題なさそうでしたけどねいい迷惑だったかもしれません」
お礼を言われても少々邪魔をしたような気がするので素直に受け取れない。
「ところでソフィア様、あの男性は街まで連れて行ってもらう事を望んでいますがどうされます?」
あの女の子ソフィアって名前なんだ。
「もちろん、許可するわ!」
女の子は聞かれた時当たり前のような顔をして明るくローランさんに伝えた。
対するローランさんは「いやいや、まだあったばかりの人ですよ!そんな軽々しく了承するのは…」
「何よ不満?困っているなら助けてあげるのがもらった側の義理ってもんでしょ!」
ちょっと無理矢理な理論だけど正論ぽい。
「そうですけどやはりまだわかりません!」
「なんでわかってくれないの!」
こんな感じのやりとりをなん度も繰り返してきたふと他の騎士たちに目を向けて目が合うといつもの事ですと言いたげな顔をした。
仕方ない、ちょっと嫌だったけど。
「そんなに心配なら僕の剣を預かってもらって結構ですよ」
ローランさんに僕が考えた事を話してみる、凶器がなくなれば襲う事は難しくなるそれなら安全性もかなり高まってくる、魔法という名の凶器もあるけどそれは流石にどうにもできない。
「よろしいのですか?」
「ええ、ちゃんと降りる時は返してくださいよ」
僕は剣を鞘ごと抜きローランさんに渡す。
「明確な殺意はありませんし了解しました、しかしやはりソフィア様だけは危険なので私も同行させてもらいますからね」
ローランさんもキャビンに乗り込み馬車が移動を開始した。
ちょっと無理矢理な形になっちゃったけど結果オーライでいいんじゃないかな。
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