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25話 領土訪問

「では、魔族撃退の功績を讃え彼の者にフィリップ領を与え辺境伯とする」


大勢の貴族が参列する中俺は平民から貴族になった。


貴族の義務としては領土の管理、王家の有事には必ず駆けつける事が大きな義務だ。


それ以外にはまぁ何か有益な情報があれば共有する事と戦争など武力を交える事になった場合は宣戦布告として相手と王家に手紙、または記録水晶による伝達が必須な事ぐらいが大切な事。


まさか異世界に来て貴族になれるとは人生何があるか分からない者だ。


そんな事を考えながら王室を出るとジーニーさんの部下に止められ別室に連れて行かれた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


はー疲れた…てか忘れてたよ。


いくら辺境伯とは言っても貴族は貴族家臣をつける義務がある事を忘れてた。


最低でも騎士2〜3名と兵士5~8が必要であり領地経営を行う為の書類の分別のために文官を何人か雇わなくてはならない。


ただ頭数だけを揃えただけでは色々と問題になりかねないのでジーニーさんが選別を行った上で人を送ってくれるみたいなのでそこまでの負担はないが…正直今思えば一般高校生だった俺に領地経営なんでできる訳ない。


なのでジーニーさんが送ってくれる文官さんに頼り切る事になりそうだ…。


王家から支度金としてお金は渡されてるし家に関しては前のフィリップ領の領主が使っていた屋敷を綺麗にして使えるのでなんとか自分なりに頑張ってみよう。


そう思って、来ては見たものの…荒地が多いな。


聞けばフィリップ領は昔は火山の噴火活動が盛んで人が住める状態ではなかったそうだ。


しかし長い年月が経つ子によって噴火活動によって生み出された溶岩などが混ざり合う事で農業に適した土壌になっているそうなのだが。


これは先代の領主が気づかず有効活用しなかった結果か。


幸いな事にこの街には農民が多く自立して生活をしていたらしい、しかし作物の質は大抵が低く森の幸を外部に売る事で生計を立てていたようだ。


それに町が所々ひび割れているのは先代の領主が税をかなり取っておりそこの修繕に充てる費用がなかったそう。


いや、領主なら自分で金払って直せよ。


幸い俺は冒険者としての収入のおかげで懐はかなり潤ってるし、ちょっとダンジョンに行けば普通に稼げる。


なんでもBランク冒険者になったおかげでギルドが管理する転移装置の使用が許可された。


俺はネックレス型にしてもらったのだがそれに魔力を注げばギルドに転移できる仕組みだ、近くのダンジョンが国有数の巨大ダンジョンらしく金稼ぎの手段は多くある。


今は税を取らずに街を発展させていく事が最優先だな。


それはそうとここら辺には動物型の魔物が多く倒すと肉がドロップした。


まぁいつもので上質なのも取れちゃってるんだけど。


街の自警団が狩れればより安定しそうだな。


っとこれからのことを考えるのはやめてとりあえず案内をしてもらおう。


そう思い街へと入った。


「ようこそ、私達の街へ新たな領主ルア=フィリップ様私は自警団団長のヨルと申します」


そうして出迎えてくれたのは長身男性だった。


雰囲気は気さくそうだが少し痩せている事が気になる。


「そうか、ヨルまずはこの村の現状について教えてくれるか?」


「分かりました、街を案内しながらご説明致しましょう」


そうしてヨルさんに街を案内してもらいながら説明してもらったのだがあまり芳しくはない。


この街は重税によって人々は食べるものが少なくなりやがて満足に体も動かせず農地がどんどん荒地へと変わってしまった事。


魔物からの襲撃に対応できなくなってきている事、餓死寸前の子供が多い事。


それにこっそりと診眼を使ったのだがほぼ全ての人が栄養失調中には栄養失調による病気を患っている人もいた。


これは、農地開拓とか言ってる場合ではないなまずは領民の栄養状況を回復しなければ。


ん?これは扉?それにしてはなんだか異質な匂いが漂ってくるが。


「ヨル、ここは?」


「ああ…そこは獣人の場所です。えっと気にする事ないですよ」


その言葉に少し胃が重くなる気がした。


知識としてはあった、獣人は完全な人になれなかった紛い物、身体能力こそ高くても魔力を殆ど持たないため迫害されてきた。


分かっていた分かっていたけど。


「それは許される事じゃないんだよな」


獣人とは言えど訳も分からず襲う魔物じゃない、それにここで見捨てるようなら…俺は彼女に失望されるだろう。


「ヨル、ここも案内してくれ」


先に進もうとするヨルに呼びかける。


「いや、でもそこは獣人の場所で…貴族の方々が踏み入れるようなところでは…」


「命令だ、案内しろ」


「っ…分かりました」


そうして扉を開け中に入ったが予想以上に酷かった、スラム街というのが正しいだろう匂いに耐えきれなく扉の前へすぐに戻ってしまった。


しかし一つ分かった事がある、この街の住民は別に獣人を見下してきるわけでは無いようだ、そうじゃなきゃ俺に伝えないし何より街の一画を渡してまで獣人を住まわせない。


何より…ヨルの声音が明らかに変化した、無理をしているのだろう。


しかしヨルだけがその考えという点も捨てきれないがそれは後でどうにかすれば良い。


「ヨル、俺は獣人を紛い物だなんて考えていない、無理に俺達に合わせようとするな」


「…ルア様、おこがましい願いというのは分かっています。しかし獣人とは言えど我々と共に暮らしてきた種族、彼等を救ってもらえませんか」


…彼は領主にお願いする事自体に恐怖を覚えている、先代が余程傲慢な輩だった事が分かる。


「安心しろ元より俺の領民とみなした以上見捨てるわけにはいかん、皆を広場に集めろ。無論獣人もだ」


そうしてヨルは走って皆を呼びに行った。


早速道中で狩った肉が役に立つ事になるとはな。

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