18話 敗北
その音が聞こえた瞬間背中が凍る気分になった。
まるで誰かに心臓を握られているような。
反射的に俺は刀を取り出して“霞”の型をとった。
タイミングを間違えたら……死ぬ。
……来る!
そうして刀を振ったがその感覚は空を切った。
は…?
違和感と共に俺の視界に映ったのは今上を飛んでいる刀を握った右手それを確認した瞬間激痛が走った。
「っ…ぁ…」
まるで腕が燃やされているような激痛苦悶の声をあげていると「なんだ、この程度か」
そんな声が聞こえた、痛みのせいでもう何が何だか分からないがクラフティングテーブルで最高級水薬を大量に作り傷口にぶっかけた。
腕が再生し痛みが落ち着いた。
冷や汗がひどい、流石にここまでの痛みは経験したことがなかったな。
「ほう…治してみせたか」
声の主の方を見るとそこには白い服を着た女性が立っていた。
だがそれは明らかに人間ではないそう俺の本能が告げていた、人の形をしているだけで本来は違うのだろう。
痛みが引いたおかげか周りの喧騒が聞こえてきた。
「魔族だ!魔族が攻めてきた!」
魔族…?なんで今。
「ちと羽虫がうるさいのう」
「待て!」
すぐに炎魔弾を撃ったが止まらなかった。
大きな爆音が響き、さっきまでの人は瓦礫に下敷きになり意識を失っていた。
「何やら面白そうな奴がおるとわざわざ出てきてやったとゆうのにつまらんのう…興醒めじゃ」
スペアの刀を取り出して臨戦体制を取る。仮面が外れかかってるが今更バレたところで混乱していて覚えてないだろうし何より死んだら元も子もない。
「せめて、眠気覚まし程度には踏ん張ってくれ」
相手の姿が消えたと同時に俺は勘で後ろにのけぞった。
すると俺の頭があった部分に奴の武器が来ていた。
恐ろしく早い…しかも武器は自身の血を固めたものか、壊しても意味はないか。
手首から血が糸のようにその武器に繋がっていた。
「月城流 村雨!」
二連撃の素早い斬撃を喰らわした…はずだが血の鎧によって防がれた。
どうせ、魔族だから血を失っても回復してんだろう!
「初めて見る剣技じゃな、だがそれだけじゃ」
「混沌魔術 奈落矢」
無数の黒い球を確認した直後全身を貫かれていた。
なんだこれ…視界がぼやける、毒?違う内部へのダメージ…侵食か!
「なんじゃ急所が外れてしまったではないか、童も衰えた物よ少々寝過ぎたか?」
…理解したこいつは自身の楽しみが最優先だ、しかもこいつこんな事言っておいてわざと急所を外してやがる、まるで俺が自身よりも弱く取りに足らない奴だと思ってるかのように。
……ハッ上等だよ。お前はこんな事は考慮してないもんな!
最高級水薬を自身にかけ侵食を抑えてから身体能力強化を最大値でかけ向かう。
「追いつけるかなぁ!」
「うるさいのう」
そうして武器を俺に突き刺そうとする、どうせその武器は一度も壊れたことないんだろう?でもこれはどうかな!
「月城流 疾風!」
[当然本来ならこの斬撃は弾かれその衝撃で体勢が崩れ大きな隙を晒す事になる。
当然これは魔族側からすれば大きなチャンスだ、そう本来ならだ。
その斬撃は武器を切り裂き魔族の首を刎ねようとしていた。]
本当ならこれは弾かれるはずだよな?でも今回は違う、最近少し分かった、神鉄の性質は不滅どんなにめちゃくちゃな負荷をかけてもその刀身が折れる事はない、月城流の欠点として刀身が折れるリスクもあったがこの神鉄にはそんな心配がない、それだけで十分だ。
そうして魔族の首を刎ねようとしたがその前に腹に大きな衝撃を感じ吹き飛ばされた。
「かっ…は」
「混沌魔法 [黒死球] これを人間相手に使ったのは初めてじゃ誇って良いぞ、童に少しだけじゃが本気を出させたのだから」
そうして壁に吹き飛ばされた。
「がっ…」
腹に食らった影響で大量に血を吐いた。
体が動かない…だと!?毒でもなく侵食でもない、アイテムボックスも開けない。
何か別の物が俺の中に流れ込み俺の体を犯していく感覚。
「人間にしてはよくやった物よ、お陰で童も面白いものが見れたまさか童の武器を超える刀とはな人間が持つには惜しい貴様を殺した後に存分に使ってやろう」
クソが…なんなんだよ、当然自分より強い奴が五万といるそんな事分かってたんだ、でも流石にこれは……酷すぎるだろ。
「さらばじゃ、少々物足りぬが準備運動にはなった」
さっきの球体が俺の周りに出現した、音が何も聞こえない、静かで世界がゆっくりと見える。
ああ…そうか、これが…みんながよく言う死にたくないって気持ちなんだ。
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