11話 水薬
[中層 それはある程度の能力を持った冒険者が集まる階層 そこは上層とは打って変わってちょっとした知識を持った魔物が出現するその為上層から来た冒険者は上層との違いに混乱する。 そんな中何度も魔法や剣の音が鳴り響いている]
これで何体目?でもこれで薬草は70程度かな。
因みに倒した時の内訳は
薬草 70?
上質な薬草 40
最高級の薬草 30
いつも通りドロップ率がおかしい。
しかも一つ薬草で水薬を作ってみたら一気に下級水薬水薬上級水薬最高級水薬とレシピが解放された。
しかもどれも瓶の中に入っていた。どっから来たんだよ瓶。
便利だけどこれ便利すぎて手放せなくなりそう。
とりあえず、どれぐらいの価値かは分からないからあの店に持って行こう。
「おう!兄ちゃん戻ってきたんだな!狙い通り薬草の8本ぐらいは手に入ったか?あのスライムは並大抵の武器じゃ跳ね返されるし貫通に特化した魔法じゃなきゃ傷もつけられないと言う最初のかなりの難敵だからな!兄ちゃん結構苦戦したんじゃないか?」
…そんな面倒だったんだ、普通に神鉄で切ってたし、それに炎魔弾は貫通特化だからそこが噛み合ったってわけか。
「別に苦労してないよ、それとこのポーションの価値を教えてくれ。」
そう言いつつアイテムボックスから上級水薬を取り出す。
「へぇ自信満々だな兄ちゃん。ってなんだこの品質!?俺が作るのよりも良いじゃねぇか!しかも上級水薬なんてでかい教会がたまに作るぐらいの代物だぞ…兄ちゃん本当に何者だ?」
「俺はしがない冒険者だよ」
「しがない冒険者はこんな質の水薬は作れねぇ!兄ちゃんどっかの王直属の魔術師とかだったのかよ」
うわぁ上級水薬だけでこんな反応されるのか…じゃあ最高級水薬なんて出せるわけがないよなぁ。
確かに上級水薬は手や足の皮膚や筋肉が少しでも繋がってればそこから治せるみたいだしな驚かれるのも無理はないか。
因みに最高級水薬は死者蘇生以外の外からの影響による怪我はなんでも治せると言うふざけた効果だった。
まぁつまり病気とかには意味がないという事だろう。
「俺はただの一般人ですよ?」
「いや、悪い興奮して考えが及ばなかった。確かに貴族が身分を隠すなんてことはよくある事だ言う通りの対応をしよう」
なんか思いっきり勘違いされてるけどもういいや面倒。
「とりあえず俺は上級水薬なんて代物を買い取れるほど金は持ってない、下級水薬と水薬を買い取らせてもらおう、だが俺は兄ちゃんが羨ましい」
「なんでだ?」
「ほら見ろ、俺はこの通り冒険で怪我を負ってもうとてもじゃないが冒険が出来なくなっちまった、お陰で今に至るまで苦労した。そんな俺から見たら兄ちゃんは仮に冒険ができなくなっても別の職業がもう見つかってるんだ将来安泰で羨ましいと感じる」
確かにこの人の腕はもう完全に切れていて最高級水薬じゃないと治せそうもない、確かに冒険者は危険といつも隣り合わせだ、今世では神様の加護があるがそれでも生身の人間に変わりはない、慎重に行動しなきゃいけないな。
まぁそう思いつつ慎重に行動しない時もあるのでたまに自分の好奇心に呆れる。
「まぁ俺は冒険者を引退する気はないけどもしそうなったら世話になるかもな」
「ふっお前みたいな素人がいてたまるかよどっかの協会にでも支援してもらって自分の店でも開きな」
そうして中層から上層…そして地上に上がってからいつものギルドへ向かった。
「あっツキシロさん、こんにちは初めての中層はどうでした?」
「やはり事前情報通り上層よりも魔物は強くなってきましたね、でも対処可能でしたが」
「やはりそうですか、所で今ツキシロさんにある依頼が届いています」
まさかの名指し依頼、俺に頼む物好きがいる物だ。
「内容は、上級水薬を3つ納品で今日中です」
…これまともな依頼じゃないな。
あの人の話が本当だとすると上級水薬は一端の冒険者ましてや駆け出しが買えるような値段ではないはず最近俺はギルドへの納品である意味有名だ。
それを妬んだ奴がいるのだろう本当につくづく人間の妬みには呆れる。
「…しかしこの依頼はおかしいですよね」
そんな事を考えつつクラフティングテーブルで作ろうと思った時に受付嬢が声を出した。
「上級水薬なんて、教会でしか手に入らない物こんな物を欲するのは下層に進出した冒険者だけです。上級水薬なんて本当の緊急時の薬ですから下層に進出した冒険者からの依頼は我々が直接管理しているので分かるのです、これは匿名でしたがツキシロさんを妬んだ冒険者のいたずらでしょう
なのでこの依頼は受けなくて結構です。こちらのギルドも不問とさせていただきます」
「…別に納品できるならしても良いって事でいいですか?少し依頼をしてきた奴に一泡吹かせたくてね」
「……まさか今手持ちがあるなんて事言いませんよね?それだと私達も処理に困るのですが…」
「あ、すいません持ってます」
アイテムボックスから最高級水薬を3つ取り出しデーブルに置く。
「ああ…少し予想はしてましたけど本当になるとはぁ…」
受付嬢が気が遠くなりそうになりながらそう言った。
「では…分かりました依頼主を呼ばせていただきます…少々お待ちください」
そうしてギルドの椅子に座りながら魔法術式の組み替えやクラフティングテーブルで何か作れる物がないか調べたりして時間を潰していると受付嬢から呼ばれたのですぐに指定の場所へ向かう。
「お前がシュウ=ツキシロか?」
「ああそうだ、単刀直入に聞こうなぜあんな無理難題の依頼を俺にした?」
正直ただの妬みなら力で屈服させてしまえば良いと思っている実際俺の方がステータスは上だ、だがそんな物ではない言い表しずらいが別の目的利害関係などの場合は特に厄介だ武力行使が使えないんでな。
「最近多くの意味で有名なお前なら最高級水薬を今度こそ手に入れてくると思ったからだ」
「なぜ?」
「……妹がいる、妹と俺は冒険者だっただが妹はある時ダンジョンで大きな怪我を負った、怪我だけならまだしもそれはバジリスクの毒だった、最初こそ良かったものの全く水薬は効かずに結局は最高級水薬を使わなければいけない所までやってきてしまった。だが俺にはそんな教会で買えるほどの金はない俺は俺の全てを差し出す覚悟で冒険者に依頼を大量に出した、仕方がないんだ親が早くに亡くなって苦しい思いをした妹だこれからの人生俺だけが苦しめば良い…そう考えたんだ」
…成程な、そうきたか。正直家族の不幸なんかには俺は弱い…いや弱かったか。
今じゃそこまで大きく心は揺さぶられない、他者は他者だ俺には関係ない。
だがここで見放せば個人的には後味が悪くなる気がする。
…仕方がない、俺はいつでも作れるし渡すか。
「俺にはあんたの妹がどうなってようが関係ない、他者は他者だ俺が何かする問題じゃない」
そう告げると相手はとても苦しそうな顔をした。
「だがここで見放すのも後味が悪いだから持ってけよ最高級水薬」
さっきまでの苦しい顔から一転かなり安堵した顔になったがすぐにまた顔が曇った。
「…代金は時間がかかると思うが必ず全部払うから言ってくれ」
いや、代金とか今お金に困ってないからいらないんだよなそれならせめて別属性の魔法を知りたい…って待てよ?冒険者って言ってたよな…それなら一つぐらいの属性は所持しているはずだ。
それが俺がまだ見ていない属性なら一番良いが見たことがある物でも新しいアイデアの種になるどちらにせよこの要求は俺にとってかなりの利をもたらしてくれるだろう。
「代金は結構だ、その代わりあんたとその妹さんはなんの属性の魔法が使えるんだ?」
「…そんな事を聞いて何になるんだ?」
かなり怪訝な顔をされた。そりゃそうだよね見ただけでその属性の魔法が使える人なんていなさそうだもん。
「別にただ俺の魔法のアイデアの種になるだけだよ、で何属性なんだ?」
すると今まで黙って中立を保っていた受付嬢が面食らった顔をしていた。
「ツキシロさん…まさか魔法を作る事もできるんですか…?」
「そうですけど?」
「あぁ…やっぱりこの人普通じゃないんだ…魔法は神様から渡される物ですそれを書き換えて新しくするのは神様から許しをもらう必要があります。
許しを貰えるスキル…つまり魔法を書き換える権利を得るスキルは一つしかないので本当に大陸に数人いれば良い程度なんですよ…」
神様!!これで何回そう思ったか分からないけど!ここまでのチートじゃなくてよかったって!
いや嬉しいけどね…。
「最高級水薬を用意してくる時点で普通ではないか…良いだろう俺の魔法属性は風だ。そして妹は同じく風と治癒だ」
よっしゃ!まだ習得していない魔法の属性と念願の治癒魔法が使えるようになる!
「ではあんたに家にお邪魔させてもらっても良いか?ここで見せるのは少々面倒なことになりそうだ」
「…本当なら断る所だがあんたは最高級水薬を持ってきた恩人だ、受け入れよう
ついてこい」
そうして受付嬢に軽く礼をしてからその人の後ろについていった。
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