背伸びはするもんじゃない 3/6
事故というのは一瞬である。恐ろしい。あっ!と気が付いた時にはもう遅い。
車の事故をたまに目撃する。なぜこんな場所で事故ってんの?などと母親は言う。事故本人も分からないだろう。だって事故を起こそうと思って起こしていないのだから。
俺自身も一瞬だった。
スピードが乗ったママチャリ。足が地面につかないママチャリ。先を見過ぎていたのか、それとも舐めていたのか。今となっても答えは出ない。
ちょうど工事中の場所だった。一部、コンクリートがはがされており、少し大きめの石がゴロゴロと敷いてあった。だからといってカラーコーンで囲ってあるわけではない。スピードの乗ったママチャリのタイヤが、それにもっていかれた。
気が付いた時。俺は地面に這いつくばっていた。足も痛い。顔も痛い。手も痛い。とにかく全身が痛い。自転車ははるか後方で倒れこんでいる。
運も悪い。俺は半そで半ズボン。両ひざからは大量の血。立つことも難しいぐらいに痛い。右目が半分ぐらいしか開かない。鏡がないから確認はできない。しかしヤバい。
痛すぎる。ゆっくりと俺は起き上がる。痛い。マジで痛い。
両足を引きずりながら自転車を持つ。自転車のタイヤとハンドルが曲がっている。もちろん、こんな状態で乗りながら帰れるわけがない。
てか。マジで痛い。もうだめだ。
さっきまでの最高の感じ。一気に転落した。転落するのは一瞬である。それほどに、人の心とは不安定なものである。




