夏の友 3/6
まずは自由研究。
それ用のノートを探す。はい?俺の自由研究はそこからですよ。
新品じゃなくても良い。そこは先生の優しいところだ。
俺はほぼほぼ新品の落書き帳を見つける。普段の落書きはチラシの裏を使う。それは漫画の模写用に使っている。だから丁寧に描いてある。
漫画の模写を先生に見せるのも恥ずかしい。丁寧にノートをちぎっていく。
ノートとは不思議なものだ。三ページ破いたら、後ろの三ページも取れてしまう。ノートの神秘であろう。
さぁ。ここからやっと自由研究の始まりだ。
俺の自由研究は決まっている。三つの水を用意する。もちろん本当に用意する事はない。その中に水道水、砂糖水、塩水を入れる。さらに釘も投入する。さぁ、どうだ?なんの自由研究かわかったか?誰でも思いつく自由研究。擦りに擦りすぎて球になった自由研究。意外性も何もない。そう。
どの釘が一番最初に錆びるか。という自由研究だ。
小学五年生の俺は、この研究を三年続けている。今年もこれにしよう。連続研究記録が四に伸びる。ただそれだけの事だ。
釘の絵を書く。そこにサビをちょっとずつ記入する。絵の下に釘と錆びの様子を軽く記入する。三日ずつ記入しよう。ってことは一〇ページ記入すれば自由研究は終わりだ。ふぅ。さっさとやってしまおう。
担任の先生は去年と同じだ。しかし怒られる事はないだろう。先生も忙しいお方だ。すごい事をした奴は覚えているだろう。例えば、将棋を作りましたとか段ボールで綺麗な物入れを作りましたとか。そんなのは俺の記憶にも残っている。だからきっと先生の記憶にも残っているだろう。
それでは俺の自由研究はどうだろうか。こんなしょうもない自由研究を覚えているはずがない。
俺の作戦勝ちだ。
この作業は三〇分とかからずに終わった。
これで残す宿題が一つとなった。




