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夏休みの敵はあいつ 4/5

「早く起きなさいって言ってるでしょう!」


 おぉ。まただ。これこれ。これがこの作戦の穴である。途中で寝ちゃうんだよ。


 今回は四まで数えて寝てしまった。そう。十まで数えられない。


 数えられれば、そこは俺だ。俺は意志が固い。どれぐらい固いかというと、アヘンもヒロポンも大麻もやらない。だから間違いなく起きれる。十まで数えられれば起きれるんだ。


 しかしたどり着かない。細く長い、糸のような道。それが十という数字である。確かに九までは特殊と言えば、特殊な数字かもしれない。しかし十からは九までも数字を組み合わせたもの。つまりは既製品でありオリジナルではない。一や二のようなオリジナリティもなければ、八や九のような独創性はない。所詮は一と〇の組み合わせであるのが十だ。そいつに俺を惹きつける力はないのだろう。


 あれこれ考えていた。すると体を思いっきり叩かれる。これは痛い!さすがに起きよう。


「早くしなさい!」


 一発、叩かれる。そうなってからは早い。曲者の目覚まし時計。その手が早いのなんのって。すぐにもう一発が飛んでくる。


 急げ。急ぐんだ俺。よっし。目を開けるぞ。さすがに決意した俺。


 しかしこれで素直に起きれないのが俺だ。

 

 問題発生。目が開かない。


 どういうことだ?全く開かないぞ。どうする俺。このままだとまた叩かれる。


「痛い!」


 今度は頭を叩かれた。


 信じられるだろうか。ただでさえ、人の頭を叩くのには気が引けるはずだ。ましてや成長期の可愛い子供の頭だ。普通、躊躇するだろうが。ましてや寝ているんだぞ。あれは躊躇や加減を知らない、強烈な平手打ち。それが俺の頭をクリーンヒットする。


 グーじゃなきゃ良いという、足立区の考え方なのだろう。暴力的な母親だ。足立区出身の団地育ちは常識をはき違えている。寝ている可愛い子供は平手だろうが叩いてはダメだ。


 とはいえ、これでやっと目が開けれた。


 ふぅ。目が覚めてしまえばこちらのもんだ。急いで着替える。


 俺は妹と違い、歯も磨かずに公園へ向かう。もちろんこれでいい。だってどうせみんな息が臭い。俺だけ気にしてもしょうがない。なのに妹ときたら、無駄に歯を磨く。本当に、これだから女という生き物は分からんよ。


 やっと起きれた俺は家を出る。

 ここからラジオ体操が始まるのだ。

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