無意味な旅行 5/9
机の上に並べられたきゅうりとコップ。デカい入れ物に入った麦茶。母親が全員分のコップに麦茶を注いでいた。数を正確に数える訳ではない。彼女がら人数ぴったりに麦茶を注いだ事はない。
俺はきゅうりを食べる。はぁ。うまい。やっぱりうまい。おばあちゃんのきゅうりはぬか漬けという手法で作っている。家で食べるきゅうりとはコクが違う。この臭い独特の香りっていうのかな……。おっと、きゅうりのぬか漬けの話を始めたら止まらなくなってしまう。今回はここらへんで止めておこう。きゅうりの事についてはまた後日、詳しく書こうと思う。
ブー、ブーブー。
おばあちゃん家のチャイムが鳴る。親戚たちが集まり出してきた。次々とくる。はぁ、もう少しきゅうりと麦茶をゆっくりと堪能したかった。
俺のいとこは六人いる。ちなみに俺は長男オブ長男。初孫オブ初孫。つまりは一番の年上だ。
子供がこれぐらい集まると騒がしくなりそうだ。やれやれだぜ。
「そろそろ行こうかね」
おばあちゃんの号令で全員が準備を始める。桶やら水やら線香やら花やら。大人たちは各々荷物を持っている。
それでは出発である。
道中、俺たち子供は決して走らない。
道中、俺たち子供は遊ばない。
道中、俺たち子供はふざけない。
道中、俺たち子供は喧嘩しない。
怖いほどに大人しい良い子達である。これもあのおばあちゃんの恐ろしさが身に沁みついているからであろう。
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