無意味な旅行 1/9
夏休みも終盤。そろそろ例の時期がやってくる。察しの良い皆様ならお気づきであろう。そう、おばあちゃん家に行くという行事である。
お盆の時期、実家に帰る。というのは日本の風習らしい。
お盆というものは、おばあちゃん家に行って、親戚みんなで墓参り。そのあとみんなでご飯を食べる。俺のお盆の認識はこんなもんである。
俺はもう十年も生きている。しかしお盆をちゃんと理解している大人に会った事はない。だから大人もきっと、俺と同じにんしきだろう。
カバンにパンツとかシャツとかの着替えを入れる。何枚入れるか迷う。俺の今までの経験上、一泊で帰る事はない。
しかし、今の俺には何泊するかは分からない。だから悩んでいるのだ。それなら親に聞けば良いって?ハハハハハ。笑ってしまうアドバイス。冗談だろう?だって母親は俺に何泊するかを伝えている。
それじゃ、なぜ俺が何泊するか知らないか。その理由を教えよう。そんな事は単純だ。
俺が全く話を聞いていなかったからだ。
「いい加減に準備しなさい!」
俺が準備を始めたきっかけとなる言葉。口調は荒かった。荒くなる前の口調を知らない。だって聞こえなかったから。
俺も怒られたくて聞いてない訳ではない。そもそも、聞こえてないのだから。いやいや、待てよ。聞こえてない事はない。全部ではないにしろ、聞いてはいるぞ。
なんだろう。例えるなら歌と同じかもしれない。一語一句は脳に刷り込まれない。しかし確かに聞こえてはいる。
人の話を聞いてない人を責めないでほしい。
聞こえてない訳ではない。
だって聞いてはいるのだから……。
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