真夏の悪魔 6/6
あいつと戦い始めて十五分。集中力を再度高めるために、さらに十五分。つまりは三十分以上経っている。
もう臭い口で深呼吸はしない。
悪魔の気配を感じる。慌てない。慌てない。慌てない。
慌てたところで良いことなんて一つもありゃしない。
俺は悪魔を捕まえるために右拳を突き出す。この時はゆっくりとだ。あいつらの殺気を感じ取る能力は半端ではない。だからこそゆっくり、無心で悪魔を捕らえにいく。
悪魔を捉えたであろう右手。それをグリグリする。悪魔祓い。悪魔をすり潰す行為を数秒。
安否を確認したいが分からない。目が慣れたとはいえ、悪魔の姿は見えない。触っても感触がない。ここは俺自身を信じるのみである。
俺の安眠が始まるはずだ。
真夏の悪魔。黒い悪魔。
悪魔の呼び名は沢山ある。
血を吸うだけなら良いものの、なぜ痒くなるのだろうか。友達が麻酔だからとか言っていたなぁ。聞きたいのはそんな模範解答ではない。痒くしなければ、こんなに必死になってヤらない。だからこそ、早く悪魔は進化するべきである。
人が悪魔を可愛いと思えるような生き方をして欲しい。そんな血の吸い方をして欲しい。こんな状態じゃ、共存なんて無理だと思う。
あの耳障りな音が消えたような気がする。研ぎ澄ませ俺。感じるんだ俺。どうだ俺?どうなんだろうか。
希望と失望は表裏一体である。五分と経たずにあの音だ。
プーン。
はぁ。人生とは諦めの連続だろう。
五分前の俺。あの頃は悪魔を倒せると思っているだろう。そんなでかい未来を描いていたのだろう。俺自身に期待を抱いていたのだろう。
これ以上、運命に逆らうのはやめよう。流されるように生きよう。
どこが痒いかすら分からない。痒みとは不思議なものだ。ピンポイントで痒いところをかけない。だから諦めるんだ。そのうち、この痒みにも慣れる。
寝てしまえば関係ない。蚊に刺されるなんて関係ない。
対策としては、布団に潜って寝る。非力な人間にとれる対策はこの程度である。暑いが仕方ない。
明日もラジオ体操かぁ。
そんな事を考えながら、痒みを感じながら眠りについた。
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