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真夏の悪魔 4/6

 ゆっくりと右手を上げる。ゆっくりと首の方まで手を持っていく。


 よっし。この感覚。悪魔はまだ血を飲んでいる。


 慌てるな俺。焦るな俺。

 右手は戦闘準備万端。あとはやるだけだ。


 勢いの剛。ゆっくりの柔。どちらにしようか悩む。

 こいつは手強い悪魔だ。勢いとスピードでそうそう太刀打ち出来るやつではない。きっと危険を察して逃げられてしまうだろう。

 それならゆっくりと包み込むように、悪魔に気が付かれないようにヤル。うーん。どちらが正しい選択なんだろうか。


 こうしている間にも、悪魔は俺の血を美味しそうに食しているだろう。


 よっし、決めた。


 俺は目を見開き、勢いで悪魔をヤリにいく。右手の剛。


 ポチン。


 かわいらしい俺のビンタ。どうだ?俺は右手を見る。が、暗くてヤッたかは確認出来ない。


 何も音は聞こえない。静寂が続く。


 空耳のようなようなプーン音が聞こえた。これは気のせい。耳とは恐ろしい。聞こえない筈の音まで聞こえてしまうのだから。


 俺は過去を振り返る。すぐに悪魔の恐ろしさを思い出した。


 この程度ではあいつはヤレない。


 長年の経験でわかる。そう。あいつはまだ生きている。これは経験という名の勘だ。あの悪魔は、俺のビンタを生き延びているはずである。


 再度、目を閉じる。第六感をフル稼働。するとどうだろうか。木の音が聞こえるほどに研ぎ澄まされた神経。暑さの音も聞こえてきた。今の俺は研ぎ澄まされている。聞こえてないが聞こえている気がする。かゆくはないが、かゆい気がする。これは不思議な感覚だ。


 かゆいと思った場所からかけ離れた場所がかゆい。皆様もこれを経験したことがあるだろう。これが分からないという人。百歩譲ろうではないか。悪魔に刺されてかゆい。しかしどこがかゆいか分からない。そんなことがあるだろう。


 俺は首をかきながら、再度精神統一をする。


 今は隠れてしまった悪魔。しかし奴は必ず生きている。一度の攻撃でヤられる程、ヤワな奴ではない。


 俺は気を抜かない。次こそは仕留めてやる。

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