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スズランのように可憐でひまわりのようにまっすぐで薔薇のように凛々しい君はけれど月の下で咲く花のように儚かった

作者: 乃ノ木 ニトウ

なろうラジオ大賞に間に合わなかった作品です。良かったらどうぞ

君と会ったのは僕が家の花屋でバイトしてたときだった。


一目惚れだった。第一印象はスズラン。綺麗で可憐。あの日から僕らは始まったんだ。でも同時に君の終わりの時も決まってた。


同じ学校だったのは驚いた。風紀委員の君はたむろしてた男子生徒に臆せず何か言える人だった。覚えてる?告白したあの日君の返し。「風紀が乱れる」って。・・・でもあの時諦めなくてよかった。本当にそう思う。


何度も花を送って、何度も告白して、何度もふられた。それでも諦めきれない俺に君は話してくれた。自分は長くないんだって。


自分のことじゃなくて俺のことを思ってくれてた。そのことが嬉しくて思わず君を抱きしめた。病気の影響で花の茎みたいな君の身体に触れてそれでも、君といたいと思ったんだ。最後の時まで。


卒業後は二人とも大学進学。大学は違ったけど駅で待ち合わせして何度もデートに行った。会うたびに細くなる君に毎度花を贈った。少しでも元気になれるようにって。


それでも病気は止まらなくて入院。君の親にあったのも病室だった。君の両親も俺のことを気にしててやっぱり親子だなって思った。それでも、たとえ先立たれるとしても俺には君がよかった。君はバラみたいに笑った。


でも俺は君の病気を治せなくてできるのは「治ったら」っていう希望だけ。多分君以上に明日が怖かった。君のいない明日が。君が枯れないように毎日花を贈って、毎日声をかけた。不安そうな俺とは逆に君は「大丈夫」って笑ってた。まっすぐで明るい君はひまわりみたいだった。


それでも、それでも終わりの時は来た。夜、店を閉めているときに電話が入った。俺は親父に任せて急いで病院に行った。月の綺麗な日、最後に一緒に居られなかった自分を恨んだ。


病室で月明りの中、君は眠っていた。「残念だけど」って言葉が耳に入って涙が出る瞬間、ピーって無機質な音がピッピッという音へ変わって君は起き上がった。お医者さんは「信じられない」って言ってた。


起き上がった君は花びらみたいに薄い肌の茎みたいに細い腕で君は俺に触れた。冷たくって今度は俺が泣いた。ごめんって謝る俺に君は


「謝らないで。大丈夫、私はいつだって隣にいるよ。ブーケはお預けだけど。治ったらお花畑を見にいこう」


俺が応えると君は月明りの下で静かに永い眠りについた。最期まで美しい人だった。


最後に言わせて。ありがとう。どんな花よりも可憐でまっすぐで凛々しくて、美しい人。


ラジオ大賞間に合わなかったので文字数増やした完全版書こうか迷っています良かったら意見ください。


あと良かったら「月下美人」を調べてみてください。

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