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Fランク冒険者ティム

「はぁはぁはぁ……やっと倒せた」


 俺は汗を拭うと目の前に倒れているゴブリンの死体を見た。


「とにかく他のモンスターが現れる前に討伐部位を剥がないと……」


 短剣を取り出すと慌てて耳を剥ぐ。冒険者になって一年、毎日こればかりやっていたのでもはや何のためらいもない。


「ふぅ……とりあえずこれで三日分の宿代にはなるかな?」


 今回、依頼を受けたのは『ゴブリン十匹討伐』で報酬は銀貨で五枚。

 森の中を分け入っていって散々苦労した割には合わないのだが、登録してから一年間もFランク冒険者から上にあがれない俺ではこんな仕事しか受けることはできない。


「同期の連中で活躍してるやつらはもうBランクらしいんだよなぁ」


 冒険者ギルドへの登録ができるようになるのは十五歳からと決まっていて、国の支援もあり十五歳で登録する人間には少しばかりの準備金と教育期間が設けられるのだ。


 皆はそこで一流の冒険者に教えてもらい、武器の扱い方や魔法の使い方、罠の見破り方などなどを会得していった。


 パーティーを組んで徐々に依頼をこなして着実にランクアップをしていったのだが、俺はというと色々教えてもらったにもかかわらず、剣も魔法も罠感知など何一つ覚えることができなかった。


 そのせいもあり、誰ともパーティーを組んでもらうことができず、いまだにこうしてソロでこなせる依頼を受けている。


「だけど、いつかは俺だって……」


 冒険者という仕事には夢がある。平凡な両親から生まれた人間でも強くなれば周りから注目され、大金を得て地位や名誉も思いのまま。果てにはお姫様と結婚だってできるかもしれない。


「……はぁ。その前にまずはランク上げだよな」


 想像をしていてもむなしいばかり。俺はためいきを吐くと、街へと戻っていくのだった。




「お待たせしました、報酬の銀貨五枚になります」


 受付で馴染のお姉さんが報酬を渡してくる。


 馴染とは言っても、彼女は俺に一瞥すると横の他の受付と高ランク冒険者の人との雑談へと戻ってしまった。


 冒険者ギルドにとっては多くの金を稼いでくれる冒険者こそが大切なので、扱いに差がでるのは当然だった。


 俺は肩を落としながらギルドを出て行こうとすると……。


「おっ! ティムじゃないか! まだ生きてたのかっ!」


「酷いなウォルター、そう簡単に死ぬわけないだろ?」


 入り口から四人の冒険者が入ってきた。

 俺に話し掛けて鎧を身に着けた男はウォルター。同期で現在はBランク冒険者のリーダーをしている。


「あたりまえだろリーダー。だってこいつゴブリンとしか戦ってないんだからよ」


「うぐっ、その通りだけどわざわざそんな言い方しなくてもいいだろ。レッド」


 身軽な格好をしているのはレッド。こいつも同期なのだが、昔からことあるごとに俺をからかっては周囲の笑いをとっていた。


「やめなさいよ、私たちはレッドグリズリーの相手をしていて疲れているんだから。早く依頼料もらって休みたいのよ」


 うんざりした顔でそう答えたのはマロン。彼女は魔道士で杖を持っている。


「皆、そんな言い方しないで。ティムごめんね……」


 最後に申し訳なさそうに謝ってきたのはグロリア。彼女は聖魔法を使うことができる。


「それもそうだな、俺たちはティムと違って大冒険をしてきたわけだもんな」


 そう言って立ち去っていく。

 俺は拳を握り締めると、誰とも目を合わせずに宿へと引っ込んだ。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 冒険者長年やってFランクなら腐る気持ちは理解できるがたった1年程度で何言ってんだコイツとしか思えず浅い物語だなと感じてしまう残念さ
[気になる点] 四人の冒険者の紹介が説明的すぎる気がして、もう少しなんとかならなかったのかなと思ってしまいました
[気になる点] >最後に申し訳なさそうに謝ってきたのはグロリア。彼女は聖魔法を使うことができる。 主人公に優しいの人なのに、描寫は雑
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