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ポンニチ怪談

ポンニチ怪談 その47 特別出張裁判

作者: 天城冴
掲載日:2022/03/02

某市市長マツイダが目覚めると、そこは裁きの場だった。彼に下された裁定は…

『被告マツイダ』

静かだが鋭い一声にマツイダは飛び起きた。

「な、なんだ?一体」

目を覚まそうと首を何度も降ってあたりを見回すが、薄暗くてよく見えない。

「どうして暗いんだ、裁判所って、こんな感じなのか?」

目をこらしても、暗闇が広がるばかり。

かろうじて見える自身の体は腰の高さまである木枠に囲まれていた。

立ち上がろうと、木枠に手を伸ばそうとしたが、力が入らない。

無理に立とうとしてバランスが崩れた。

ドスンと固い床にしりもちをつく。

「痛い、どこなんだ、ここは、どうもおかしい」

考えようとしても、頭がぼうっとしてうまく考えがまとまらない。

「昨日は確か新型肺炎ウイルス対策の会議をしていたはずだ。どうせ、もう対策なんてロクにできやしないんだが、ワクチン接種データ整理を高値で民間にやらせたぐらいで、いちいち騒がれたから厄介だ。金もないやつらなんて、どうしようもないんだし、万博の時までなんとか…」

『騒がしい!』

ブンッ

見えない何かに頬を殴られ、マツイダはひっくり返った。

「あ、あぐぅ」

切れた口内に血があふれる。あまりの痛みに頬を抑えて、転げまわると、

ドスン

木枠に思いきりぶつかった。

「げ、ゲッホ」

背中を強打したマツイダにかぶさるように声が響いた。

『被告、マツイダ市長は、首長であるにもかかわらず、自身と党の私腹を肥やすために、悪事を尽くし、広報などで人々を騙し、それを隠蔽。さらにその悪事を指摘した人々を逆に訴えて脅すなどの悪行の数々…』

「ゴホッ、な、何をいってやがる、お、俺が何を、だ、だれだ、お、俺はメイジの党のトップで、オーサカン市の市長、誹謗中傷は」

カシャーン

何とか木枠につかまって、身を乗り出そうとしたマツイダの首の前に二本の剣が交差していた。首筋にひんやりと冷たい刃があたる。思わず身をよじらそうとするとスーッと赤い筋ができ、血が滴った。

「ひ、ひいいいい」

“なんだよ、コイツ、ほんと口だけだな”

“テレビで威勢がいいこと言ってるくせに”

“党首会談でほかの党首にコテンパンにやられたら、マトモに出てこなくなった小心者のアホウだからなあ”

“そのくせ、自分より弱い人とみると、訴訟を起こすとか脅す卑怯者”

“市民のための、国民のための税金を、なんのかんのとかすめ取りやがって”

”うまい言葉で騙しやがって“

「な、なんだ、お前ら、い、ったい」

『お前のせいで死んだ市民たちだ、訴えの多さに特別な裁きの場を設けた。被害が多くなってはこちらも困るかなら』

「は?何の」

『わからぬのか、まったく。ニホンがどうのといっている割には無知蒙昧、品性下劣、無知、無教養も甚だしい。首長だの政党のトップのわりに憲法も理解していないような愚か者では当然といえば当然か。このようなものが増えるから我々が困るのだ』

「なんだと、貴様…」

シャキーン

言い終わらぬうちにマツイダの舌は切り取られていた

「がああああああ」

『少しは大人しくなるか。よいか、貴様はその地位、立場を利用して大勢の人々を市に至らしめ、さらに死者を増やすようなことをした。よって、これ以上死者を増やさぬため、我が直々に地獄より参って裁きを下すこととしたのだ。今までの悪行の数々により貴様は即、地獄行きとする』

(じぇええええう(地獄!え、閻魔))

『貴様だけではない、貴様の仲間や取り巻き、ほかの奴らも近く裁きにかけられる。何、あの世で裁かれるのがほんの少し早まっただけだ。罪が重くなり、数兆、数京年の罪が課せられるのを防いでやっておるのだから、これは一種の恩情だ』

「およおぅん(お、温情って)」

『さあ、地獄に行くがよい、我はまだまだ裁かねばならぬものたちが、この世におるのだ』

ぬっと暗闇からでてきた大きな手につままれたマツイダは口を押えながら、足をバタバタしていた。その様子をあざ笑う声。

“大王様に失礼なこと言うからだ、ホントもの知らずだねえ”

“いい気味だよ、うまいことばっかり言って。お前らのせいで俺たちは死ぬ羽目になったんだ”

“まともに医療に金をまわさないわ、支援金を配るだのの事業はお仲間会社に中抜きしてやらせるわ。ああ、やっぱりあの学園問題だのの件のとき、こいつらをひきずりおろしとけばよかったんだ”

“ほかの奴らがこいつらの悪行を指摘してたし、ミヤコ構想やら万博やらカジノやらの掛け声に騙された俺らがアホだったんだろうが、いくらなんでもこいつは酷すぎる。このまま、活かしておいては、被害甚大だ。コイツのお仲間も、与党の奴らも”

“だから、訴えたんだろ。こいつ等の大好きな訴訟を起こしてやったんだ”

“私たちの訴えが大きすぎるから大王様もようやく動いてくれて、本当にうれしい”

“死んでから裁いたんじゃ遅すぎる、生きてるうちに八つ裂きにしてやらないと”

“ああ、その役目は、もちろんあの女だよねえ”

ぼうっと白い女性の顔がうかぶ。顔の半分が隠されたその顔は青白く、唇だけが赤い。その口がにやりと笑った。

“うふふふ、私のことは嘘だとか人さまを訴えたんですって?私にした酷いことをすっかり忘れた?なら、思い出させてあげるわよ、まずは…”

ギュウウウ

「がああああ」

耐えようのない痛みにマツイダは股間に手をやろうとしたが、手がうまく動かない

“両方とも潰しちゃえ、皮もはいじゃえ”

“いや、まずは自分の愚かさを反省させるため、延々と罪を読み上げるのはどうだ、もちろん、寝かせず”

“いや新型肺炎ウイルスの重症症状をうんと味合わせるとか”

亡者の声に震えながらマツイダは地獄へと連れられて行く。


どこぞの国の政党でやたら訴訟を起こすところがあるそうですが、意味をきちんと理解されているのでしょうか。憲法他の言動から察するに通常、その国で使用されている国語辞典などとは全く違う解釈で使ってらっしゃるようなんですけど、いいんですかねえ。

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