第9話:ここが、『ロマンシング・性』の世界か……!
薔薇姫様の名前は「ローザ・マリー」です。
ローズやローズィーはジャッカルやガマさんの使うあだ名みたいなもんです。
本人は後者は嫌ってます。
「あっれぇ〜?」
『虹の架け橋』の前で、薔薇姫お付きの侍女──
──おっぱいでかい──
──ケツもでかい──
──髪の毛ふんわりピンク──
──色白──
──低身長──
──泣きぼくろ──
──タレ目──
──ピンクのでっかいリボンつき──
──三つ編みおさげ──
──ひらがな名前入りのハートのワッペン──
──トロけた喋り方──
──のメイドサキュバスが、
疑問に首をもたげた。
「どうしたの?」
「あ、薔薇姫さまァ。これ、ロリちゃんのいく異世界ぃ、間違ってますよぉ?」
「えっ?」
「ほらぁ、ここぉ見てくださぁい」
メイドサキュバスの示す仕事の資料。
そこに、一文。
『R-18』と書かれていた。
薔薇姫の顔からサーっと血の気が引いていく。
「ま、まずいわ!! このままじゃアカバンよ!! わ、私たちの存在自体が世界から消えてしまうわ……!!」
「え〜!! いやですぅ〜!! まだ死にたくないぃ〜!! リィヨ、まだショタのお○ん○んいっぱい食べたいのにぃ〜!!」
「おまえの存在から先に消すわよこの頭寒天女ァ!!? で……でもまずいわ、非常にまずい!! 次に『虹の架け橋』が使えるまでは……?」
「はぁい。えっとぉ……18時間後ですぅ!」
「あ、死んだわ私たち」
『虹の架け橋』を伝って異世界にたどり着いた俺たちは、まずその世界の異様さにきづいた。
「ピンクじゃん!」
そう、キララの言う通り、
この世界はピンクだった。
いや、空は青いし宇宙は黒いし、
太陽は綺麗だし、草木は緑だ。
だだ、世界が纏う臭い……とでも言うものが、
どうもピンク色なのだ。
「ほら、おまえがちゃんとヒーローのゲストヒロインやれるか見てて──」
「まずいわ。非常にまずいわ」
ロリリは、真顔で言った。
……なんのこっちゃ?
「そりゃな、おまえみたいなやつに欲情できるやつはヒーローとか悪党以前に人間としてまずいし、終わってると思うけどな……」
「あ、やっぱアニキもそう思います? やったぜ! 心通じてる! 俺とアニキは両想いィ両想い〜!!」
いちいちうるせーなこいつは。
当たり前だろそんなの。
だって、俺の膝よりちょっと上ぐらいの上背しかないんだぞ、こいつ。
身長1mあるかないかだし、
出てるとか引っ込んでるとか、
そう言う次元に達してないんだぞ?
これに愛情を抱くのは100歩譲ってキモいが、
色気を感じるってーのはもうちょっと人間としておかしいだろ、それ。
欲情ってのは繁殖欲求だぞ?
こいつのどこに『強い子供』を残せる要素があるってんだ。
そもそも棒が穴にはいらねぇだろうよ。
「さっすがアニキ! 正直エルフの俺には繁殖欲求って意味わかんねぇけど、なんかすげぇこと言ってるって思うことにするぜ!!」
ストレートに褒めてんのか遠回しにディスってんのかどっちだよ!?
俺の当然の考えに、
しかしロリリはかぶりを振った。
「ち、違うの。この世界は……」
なにが違うってんだよ?
この世界がどうしたって……
近くで、爆発音。
爆弾だ。
それも、かなり威力が高くて、範囲が広いやつ!
爆発音が立て続けに轟いた!
な、なんだあっ!?
戦争中なのか、まさか……!?
「あ、アニキぃ!! や、やべぇよ……!!」
キララの声が震えている。
空を見上げていた。
キララの顔に、
その周囲に分厚い影がかぶさっている。
戦闘機──!?
バカな!
来たハズの世界は中世モデルだぞ!?
俺は驚いて空を見上げた。
そして、目ん玉が飛び出るぐらい、
心底仰天した。
「アニキィィ──!!」
「そ、空に無数のち○ぽが!!!」
──いやありえねぇだろおおおおおおお!?!?!?
空をかける無数大量の巨大なち○ぽ。
一本一本がカ○高で、
脈動を感じるほどにグロテスクでバッキバキだ!
な、なんて立派なんだ……!!
じゃねぇよ!!
意味わかんねぇよどう言うことだよ!?
「すげー! アニキち○ぽだぜ!? 無数のち○ぽ!! 俺、空飛ぶち○ぽなんて初めて見たよ、ち○ぽ! でけェ〜!! ち○ぽ! 太ェ〜!!」
イケメンが爽やかな声でち○ぽち○ぽ連呼すな!!
ってロリリ!?
大丈夫か!?
いや大丈夫なわけないけど……
「ま、間違いないわ。ここはノク○ーンの世界よ……あ、あーるじゅうはちきんの世界だわ……!!」
なにっ!?
「ろ、ロリリこう見えて健全な女の子だから……ち、ち○ぽなんて見るだけでダメなの、倒れちゃうの」
ほとんどケツ丸出しの痴女がいうセリフじゃねぇぞそれ!?
あ、ち○ぽの先の穴から白い人影が落ちてきた……
──ボタボタボタッ!!
いや着地音おかしいだろ!!?
スタタッって軽やかな感じだったろ今!
どう見ても!!
『動くな! 私はオ・ビンビィン帝国近衛部隊隊長ビュルルガー大佐だ! 君たちは既に包囲されている!!』
息を吐くように下ネタ言わないでもらえます!?
クソっ! これだからノ○ターンは嫌なんだ!!
下手なギャグ小説よりよっぽど狂った展開を平然とお出ししてきやがる!!!
『諸君らがこの場に突然現れたことは承知している! ここは戦場! 我々は不確定要素は排除または拘束するように命令を受けている!』
ああくっそ!
マジでカッコとか名前が狂ってるだけでまともなこと言いやがってぇ……
混乱するだろうが、頭が!!!
「も、もうだめ……ロリリは死んでもえっちは死せず……」
サキュバスのくせにおまえはなんでこの展開でもう死にかけてんの!?
正気を保て! 元気出せ!!
なんか歴史的偉人っぽく死にかけてるけど、
ここで死んだらおまえマジにただのアホだぞ!!
いや末代まで語り継がれるアホだぞ!!
あと名言でもなんでもねぇからなそれ!?
元々人に性欲ある限りこの世からえっちは消えねぇかんよ!!
「じ、じゃあアニキ……お、俺ほとんど性欲ないんだけど死ぬの……?」
そしてなんでこういう時だけおまえ弱気なの!?
『ムダナテイコウワー』
ああもうちょっと黙っててもらえる!?
今一つずつ話片付けるから!!
と、てんやわんやしていると、空から爆撃が降り注いだ!!
──ビュルルルルルッ!
──ドプンッ!!!
いやミサイルの飛翔音から爆発音まで全部おかしいだろ!!
いや爆発自体はとんでもねぇ威力だけどさ!
ビュルルガー大佐ぶっ飛んだけどさ!!
あーダメだこのままだと俺の頭が先にイカれちまう!!
葛藤する俺に、爆煙をかき分けて差し伸べる手があった。
そこには、白馬に跨ったイケメンがいた。
「早くこっちへ!! こっちへ来るんだ!!」
ありがたい!
なんか知らんが助かる!!
「先にその女の子から!!」
いいやつじゃねぇか……そら!!
俺が瀕死のロリリを投げ渡すと、
白馬の男はニヤリと笑った。
邪悪な笑みだった。
「フハハハハ! ではさらばだ!!!」
──えっ!?
ちょっとまて、
今のタイミングでおまえ、敵!?
爆煙の向こうに消えていく影。
呆然とする俺とキララに、さらなるミサイルの雨が降り注いだ。
──ビュルルルルルッ!!!
──ビュルルルルルッ!!!
──ビュルルルルルッ!!!
──ビュルルルルルッ!!!
──ビュルルルルルッ!!!
し、しまらねぇ!!!
──ドプンッ!!