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第7話:所詮棒の俺らは用意された穴に飛び込むしかねぇんだよ!!!

サキュバス編スタート



 はぁ……


 あの後、帰ってきたガマ先輩は顔を青ざめていたなぁ。

 あたりまえか、

 仕事する予定の世界を、

 やつれ先輩がぶっ壊しちまったんだもの。


 俺も、ろれつが上手くまわんなくて、

 説明するのに苦労したなぁ。


 なんとか理解してもらえたらしくて、

 俺たちは先輩を回収してさっさと『虹の架け橋』をわかって会社に帰還した。


 んで、そのまま社長室に直行だもん。

 心臓、止まるかと思った。


「話はわかった」


 ジャッカルさんがこめかみを抑えて言った。

 その瞬間、ガマ先輩が見事な土下座をしていた。


「もうしわけありません……! 私の監督不行届です……! なんなりと処罰を……」

「んなもん後だ、後! そもそも仕事中のおまえとキララを呼んだのはこの俺だ! むしろ謝るのはこっちだ馬鹿野郎!!」


 なんというか、

 ガマ先輩はほっといたらそのまま自死に走りそうなぐらい切羽詰まった声だった。

 俺はあらゆる意味で仕事に真剣なガマ先輩の姿勢に色んな意味でビビってたが、  

 ジャッカルさんは流石に慣れているのか、

 ガマ先輩の覚悟をかっこよくばっさりと切って捨てた。


 ……あのぅ、すんません。


「ん? どうした? ……ああ、悪かったな。クソみてぇな先達を当てちまって……」

「いや、それはいいんス」


 俺が聞きたいのは、

 なんで先輩は、

 あんなことやらかしちまったんでしょう……


 ジャッカルさんは、

 頭をぼりぼりとかいた。


「結構いんだよ。かませ犬に耐えられないやつ」


 耐えられない? 


「魔族って、基本的に強さが全てだろ? ……まぁ、俺がそう創造つくったんだけど、基本的に強いやつが尊敬されるし、上に立つ。そんで、自分の感情には正直なんだよ」


「だから、かませ犬って仕事に、耐えられないやつも結構いるんだよ」


 ──そんな理由で、俺たちはいつも引き立て役だ

 ──俺たちよりずっとずっと弱っちい、

 ──ゴミみてぇな神と、人間たちのな


 俺は先輩の言葉を思い出す。

 ああ、なるほど。

 納得だ。

 

「ましてや、あいつはガマの同期だから、俺とも会社の創設期からの付き合いだ。いつまでもうだつの上がらない自分と、俺の側近まで成り上がってるガマっていう対比に、耐えられなかったんだな……」


 ガマ先輩が真剣な表情なのはそのせいか。

 自分にも責任があると感じているんだ、この人。


「その辺、前々から問題になってたから一応カウンセリング部門を5000年ぐらい前に創ったんだが……うまくいかねぇもんだなァ」


 あ、あの……ジャッカルさんて、

 正真正銘の全能者なんすよね?  

 だったらその辺の力で、

 なんかこう……できなかったんです?


 俺の言葉にジャッカルさんはふぅと息をついた。

 ほとんどため息だった。


「一応、俺ぐらいの『格』を持った存在がその全能をぽんぽん使うと、めんどくせぇ奴らがでしゃばって来んのよ。神々には神々の協定ルールってモンがあってな……」


「俺みたいな力をもってるやつが、自分のいいように無闇矢鱈とその都度その都度世界を改変してたら、法則や運命もクソもねぇ。なんもかんもめちゃくちゃになっちまうだろ? てか、それで棲み分けできなくなった多元宇宙の神々の領分ワガママが激突したひとつが『天魔界大戦』だしよ」

 

 とジャッカルさんは言った。

 たしかにそうだ。

 ジャッカルさんの力は、

 意図せずとも他の世界にも簡単に……

 そして複雑に影響を与えてしまうほどの力だ。


 少なくとも、魔王だけで、

 ジャッカルさんを含めて『四大魔王』と数えられるのだから……

 それに比肩する『魔王』があと三柱はいることになるのか……


 身震いする話だ、あーこわ。

 先輩がガマ先輩やジャッカルさんのいない時を狙った気持ちがわかる。

 差し入れ……できるなら、してやりてぇなぁこれは。

 

「アニキぃ〜!!」


 社長室の扉を乱暴に開ける無礼者登場だよ。

 一応失礼します! ってジャッカルさんたちに挨拶はしてるけど、

 おまえ殺されても文句言えないからな?


「大丈夫大丈夫! 俺、仕事やるかやらないかの返答しに来たっていう、ちゃんと乱入する理由がありますから!!」


 例えそういうことであっても本人に聞こえる声量で言っちゃう!?

 

「おう、キララ。どうよ?」


 ジャッカルさんは気にした様子もなく……

 てかこの人、ほんと度量デカいな……

 やっぱ魔王ってだけあるわ。

 細かいこと気にしない人、ってわけでもないしさ。


「はい! 色々考えたんスけど、アニキと一緒なら問題ないっス!!」


 俺ェ!?


 ちょっと待て! 

 俺なんも話聞いてねんだけど!?


「おおそっか! じゃあ頼むわ!!」


 いやジャッカルさん!?

 俺の意思とか介入の余地無しなの!?


「いいか、キララ。これは重大任務だぞ! ジャッカルの存続がかかってる。おまえがしくじったら……会社が割れることになる!」


 いや待って!

 待て!!

 ちょ、待てよ!!!


 そんなクソ大事な仕事、

 本人の断りなくやらせるの!?

 てかついさっき初仕事完遂できなかったド新人にやらせるの!?


「うぃーっス!! 了解! 大丈夫っス! 俺と、アニキにかかりゃあちょちょいのちょいっと解決しますよ!」


 いや、もう何回も言ってるが、

 俺ついさっき仕事ダメだった……


「それ、俺がいなかったからでしょ?」


 ……!!


 こ、こいつ……なんて涼しい顔で言いやがる。

 まるで、自分がいればあんなことは起こらなかったみたいに──


 ──あの先輩にゃ、気をつけろ


 ……いや、たしかにキララの言う通りかもしれない。

 キララ、先輩のやばい感じを、

 ちゃんとわかってたもんな。


 俺が自分のことでいっぱいいっぱいだったときに、

 ちゃんとメンバーのこと、

 見れてたやつだもんな。


「はぁ〜……」


 俺は観念した。

 ダメだな、こいつにゃ敵わねえ。

 敵う気がしねぇや。


「そんで、どんな仕事やりゃあいいんすか?」


「うむ! 覚悟の決まったいいブサイクだ!」


 自覚してます余計なお世話です!!!


「おまえたちには【天魔十壊層てんまじゅっかいしょう】のひとり、『薔薇姫』のローザ・マリーの悩みを解決してもらいたい」


 つまり……なにすりゃいいんすか?


「ローズの預かった新人が大した問題児でな。ローズ自身が別に問題抱えてるから、キャパオーバーでぶっ飛びそうになってんだよ」


 つまり、その、

 ローズさんの悩みをひとつ、

 解決すりゃいいんすね。

 で、どうすりゃいいんすか?


「ローズの管轄は淫魔サキュバス部門だ」


 !?


「つまり、『極楽館サキュバスハウス』にツッコめって言ってんだよ!!」




 なに言ってんだこのおっさん!!!??


面白いと思ったら、最新話の下部から評価、感想などポチっていただければ幸いです

モチベになるので、いっぱい嬉しい(嬉しい)

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