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遺跡に潜むもの

第十三話です。

ブックマーク、評価してくださった方、有難うございます

今回は短いですが、お楽しみいただければ幸いです。



「おお……こんなところにこんなものがあるとは……」


森をさらに深くまで入り込んだ私は、その先に予想外のものを見た。


そこにあったのは、時間の経過を強く感じさせる遺跡。


苔むした石柱に崩れた石の壁。

建物の痕跡だろうか、四角形を描くように石が並べ、積まれているものもある。


地球で見た史跡なんかでもそうだが、こういう様な場所に来ると、無性に時間の残酷さだとか、自然の神秘だとか、そういったものの様な大きな流れに取り残された様な感覚になる。

表すのが難しいけれど、とにかく感傷的になってしまう。


この地域の歴史などは全くわからないので、ただただすごいという感想しかないけれど。


しかし、今はそんな感傷に浸っている場合ではない。



そして、聞こえてきた泣き声はこちらの方からだった。


ここにたどり着く少し前から泣き声は聞こえなくなってしまったものの、人の話し声は聞こえてくる。

その内容で、泣いていた子供たちは誤って森に入ってしまったわけではないということ。

そして、子供たちはどうやら攫われて連れてこられたのだということが分かった。


これに手を出せば、間違いなく面倒なことになるだろう。

同時に目立ってしまう要因にもなるかもしれない。


一度は、人さらいならばすぐに何かされることはないだろうから、目立つことを避け余計な手出しをしないで街に戻り報告することも考えた。


だけど、続いて聞こえてきた内容に、私はその考えを捨てた。


子供たちをさらったやつらはもうすぐここを発つらしい。

たとえ戻って報告したとしても、それからここに兵士やハンターが来るまでには時間がかかってしまう。

その間に、犯人らは逃げてしまうだろう。

逃げた方向もわからなければ、追手のかけようもない。


そうなれば手遅れだ。


それに。


(私は子供たちを見捨てたくない。私と同じような目には、遭ってほしくない)


そう、強く感たのだ。


聞こえてきた会話によれば、さらった子供はどこかの街で売り払うのだという。

売られた先にどのような扱いが待っているのかは知らないが、人身売買の行き着く先など、どうせろくでもないものだろう。


泣き声には、帰還を願う声もあった。

できるのならば、そのほうがいいに決まっている。


(だから、助ける)


犯人たちはこの遺跡の先にいる。


犯人たちの会話の中には、他にも気になることはあったけれど、今は置いておく。

私は子供たちを助け出すべく、歩みを進めた。


------



「見張りがいるか。ここにいますよって目印みたいで分かりやすくて助かるけど」


犯人たちは遺跡の中でも状態がいい建物を改修して使っているようだった。

その建物は周囲の建物跡と比べても大きく、立派であった。

おそらく部屋などもしっかり残っていたのだろう。

それを利用して、拠点にして居るということらしい。


その入り口には男が二人。

男二人は入り口前に座り込み、暇そうに談笑している。

油断しているのか、あまり周囲に気を配っているようには見えない。


今この建物には、移動の直前ということもあって犯人全員がここに集まっているらしい。

そいつらが外に出てくる前に、さっさと一網打尽にしてしまおう。


まずは風魔法をフル活用して音を立てずに見張りたちの死角に移動する。


そして、こぶし大の石を思い切り空高く、男たちを挟んで私と反対側に落ちるように投げる。

その音に反応して、男たちがそちらに視線を向ければ、行動開始だ。


「……んぐっ!?」


まずは手前の男。

背後から飛びつくようにして、あるもので口と鼻をふさぐ。

そうすれば、男はあまりの悪臭に一瞬で意識を飛ばす。

これは最初にいた森の魔物のフンを乾燥させ、さらににおいのきつい草なんかを混ぜ合わせて作り出した、粉末の毒。

毒といっても、本当にただただ意識が飛ぶほど臭いだけ。

副作用は、鼻ににおいが残ってしばらくご飯を食べられなくなる。

被験者は私。

魔物退治に使えるかと思って持ってきたけれど、役に立ってよかった。

つらい思いをした甲斐があったというものだ。


「なんっ!?」


もう一人の男が、気絶した男が漏らした声でこちらを振り向くが、私のほうが早い。

素早くとびかかり、動揺して体勢が崩れている男の首に足をかけて引き倒す。

そのまま首を絞めつけるように力を加えてやれば、こちらの男も意識を落とした。


この二人は、あらかじめ用意しておいた丈夫そうな植物のつるで縛り上げておく。

しばらく目を覚まさないだろうし、このまま置いておく。


建物の中にいる犯人たちは、数人ずつに分かれて部屋にいるようだった。

人数は8人。

どうやら出発に向けて休んでいるようで、中にはいびきも聞こえてくる。

寝ている奴には薬を直接かがせて、起きている奴は部屋に風で臭いをお届け。

強烈なにおいに悶えている間に意識を刈り取って転がしておく。


特に目立った敵はおらず、すぐに全員を制圧できた。

なんだかちょっと拍子抜けだ。

念のため雷魔法もスタンバイしていたが、いかんせん臭いの粉が万能すぎた。

あまり量を持っていなかったから、もう使い切ってしまったけれど。


そして私はある部屋の前に立った。

その部屋は他の部屋と違い、扉が金属でできている。

鍵が外からかかるようになっていて、南京錠のようなものも下がっている。

鍵を見つけてはいなかったので、土魔法を使って強引に変形させてやった。

以前森で金属を扱ったときに比べて変化させるのに抵抗があったから、何か魔法で保護のようなものが施されていたのかもしれない。


鍵の外れた扉を押し開けば、そこには身を寄せ合うようにしておびえた目をこちらに向ける、5人の女の子の姿があった。



第十三話いかがでしたでしょうか。

よろしければ、ブックマーク、評価をお願いいたします。


少々事情があり今回は短くなりましたが、しっかり続けていきますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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