最新ビジネス『イセカイテンセイシステム』
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≪お久しぶりです、急に連絡してごめんなさいね。どうしても教えたいことがあるんですよ。≫
≪このカフェ居心地いいですよね。よくランチ食べに行ったり、こうやって誰かと会う時に使うんですよー。≫
≪何でも頼んでいいですよ。私が誘いましたし、お金はこちらで出しますよ?≫
≪あぁ、教えたいことでしたね。何と言いますか、仕事のこととか、プライベートのこととか、今と同じように何年も過ごす…。そんなことに不安を感じていたりしませんか?漠然とした不安、とか、そうそう!もっとやりたいことがあるんじゃないかって、そういう感じのでもいいです。≫
≪というのも、私自身、先月会社が倒産してしまって、もうどうしたらって困ってたんですよ。えぇ、もういっそ死んでしまった方がいいんじゃないかってくらい悩みました。≫
≪そう見えないですよね?実は、ある方が助けてくれたんですよ!この後来る予定なんですけどね。その人が、私に素晴らしいことを教えてくれたんですよ。≫
≪異世界転生って聞いたことがあります?絵空事とか、関係ないって思われるかもしれませんが、実は誰だって簡単にできることなんですよ!≫
≪何もしなくてもお金が入ってくるし、他の人が仕事をしている時間に、異世界で好きなことが好きなだけできるんですよね。イセカイテンセイシステムで、一週間で100万円収入超えることもあるんですって!≫
≪あ、アザムさーん!こっちですよ!≫
{こんにちは。ウツギさんのご友人ですか?私はアザムといいます。}
≪アザムさんなんですけど、年収1000万円超えているんですよね。そんな大金、本当は誰だってもらえるんですって!ここのお店のひとも、あなたも、私も!≫
{ウツギさん、順序良く話さないと…ご友人が呆然としてますよ?}
≪あ、ごめんなさい。≫
{異世界転生って聞くと、だれしも胡散臭いって表情するんですよね、分かります。最新ビジネスは、最初は叩かてしまうんですよね。この携帯機器だって、昔は絵空事って言われてましたし…。信じてくれる人にだけ伝わってくれればいいんです。ええ、信じてもらえるとありがたいです。信じる者は救われる。私自身がそう思っているので…このイセカイテンセイシステムのこと、もう少しお話してもよろしいでしょうか?}
{この『イセカイテンセイシステム』は、この資料にも書いてあるんですが、異世界に自分を連れて行ってくれるトラックがくるんですよ。そのトラックには、大きな特徴がありまして、まず自分より大きく、ナンバーが3桁。そして…。}
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「はぁ、ついに50人目じゃ。」
「お、神様困ってますね。どうしたんですか?」
「どうしたもこうしたも、最近走馬燈が全く同じ自殺者が多いんじゃよ。」
「えー!?そんなことあるんですか!?」
「あぁ、なんだか死んだら異世界に行けるとかいって自殺を促してるようじゃ。」
「そういやなんか後輩の天使たちがそんな話してた気がしますー。」
「人間界ではあの手この手でお金をだまし取ろうとする輩がいることは聞いていたが、まさか命まで取り出すとはな。」
「神様、そんなため息つかないでくださいよー。」
「分かってはいるんじゃがな…。はぁ。最近悩んでばっかじゃ。」
「悩みでしたら、いい解決方法がありますよ?こみいった話もしたいですし、今度のお休みの日にどこか行きません?」