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030 フルッコの森、深層へ(地図)

挿絵(By みてみん)


 旅立ちの準備は整った。準備といっても、長旅に耐えられるよう、料理をたくさん用意しただけなんだけどね。


 俺とレイナ、ミリィの三人は、パンダタウンの主だった顔ぶれに旅立ちの挨拶をし、さらに、ヤムダ村でも同じように旅立ちの挨拶をしてから、出発した。


 ヤムダ村をこんなにした魔王を討伐する旅に出ると告げると、皆、目一杯応援してくれた。

 でも、ミリィのおやじさん、涙を流していたけど大丈夫だろうか。


 俺たちは、フルッコの森を越えて、メキド王国にある古代神殿に行くことにしている。

 まずはフルッコの森に行くため、王都トトサンテを経由してクレバーの町へと向かう。以前、ガッドと旅したときと同じ道のりだ。



 中継地点の王都トトサンテに着くと、一番最初にミリィを冒険者として登録した。


 驚いたことに、ミリィはレベル11だった。

 朱雀を倒すことで、俺とレイナのレベルは一つずつ上がって、17になったから、ミリィもそれで大分上がったことが想像できるんだけど、それだけではレベル11にはならないと思う。

 これについて、受付のサテラさんは、こう説明してくれた。


「あら。回復魔法を使う人は、魔法で人を癒し続けると、魔物を倒さなくてもレベルが上がるんですよ」


 確かに、ヤムダ村襲撃事件のとき、ミリィは騎士団の人たちを魔法で癒していた。

 ミリィは俺と魔法の練習をしていたから、俺ほどではないけど、それなりに魔法容量が大きくなっている。だから、俺たちがヤムダ村に到着するまでの間も、マナが枯渇することなく、騎士団の人たちを幾度となく癒し続けていたのだろう。


 冒険者ギルドを出てからは、ショッピング三昧だ。

 まずは、ミリィの服を買い揃え……。


 ミリィがトトサンテに来たのは二回目だけど、前回は銀綬褒章(ぎんじゅほうしょう)顕彰式(けんしょうしき)だけだったから、実質、今回が初めてみたいなものだ。


 ヤムダ村と違っていろいろな店が並ぶ街並みに、ミリィは目を輝かせて何軒かの店を回り、いろいろ買い物しては俺とレイナの収納に入って行く。


「この服、可愛いと思うの」


「いいわね。これなんて、もっといいと思うわ」


 一緒に見て回ったレイナも結構楽しそうにしていた。

 俺も、茶葉とか食材とかを買っていたんだけどね。


 日が沈む頃には、ミリィの服装が村人の服から、可愛らしい旅人の服に変わっていた。

 ミリィの可愛さが、より顕著になったね!



 次の日。

 早朝にトトサンテを出て、クレバーの町に向かった。


 クレバーに着くと、魔石屋に寄って、ミリィに無属性魔法を覚えてもらった。「フォース」、「シールド」、「クリンアップ」、「サーチ」の四つだ。フルッコの森を突貫するには必要だと思っている。


 さらに冒険者ギルドに寄って、ミリィに「魔物の書」を読んでもらい、魔物の名前と特徴を覚えてもらう。

 折角覚えた「サーチ」も、魔物の知識がないと、発見した魔物の名前が分からず、単にそこに魔物がいるという情報のみになる。

 例外として、「チェック」を覚えていれば、知識がなくても名前が分かるんだけど、「チェック」は人気の魔石だから、売り切れだった。


「まあ! 雷光の魔法使い、パンダさんではないですか。あら? お連れは勇者のレイナ様と聖女のミリアム様かしら」


 クレバーの冒険者ギルドでは、トトサンテの受付のサテラさんにそっくりなステラさんが声をかけてくれた。そっくりなのは、双子だから。初めて見るミリィは、「あれ? トトサンテで会った人?」とか言っていたけどね。


 冒険者ギルドを後にして、宿へ向かって歩いていると、男が声を掛けてきた。


「やあ、雷光の魔法使いパンダさん、久しぶりです」


「あ、ああ久しぶり……」と答えはしたけど、内心では「えっと、誰だっけ?」な状態だ。恥ずかしい二つ名がこんな所にまで広まっているなんて、トホホ……。


「お、俺はスムリ。先日、パンダさんに命を救ってもらった、パーティ堅実豪剣のリーダーですよ」


 忘れました、と顔に出ていたのかもしれない。出会いの経緯つきで名乗ってくれた。彼は、二足歩行するネズミの魔物にやられた冒険者だった。

 口調も「さん」付けで丁寧になっていて、冒険者らしくない。以前は冒険者らしい振る舞いだったと思う。


「ガッドさんは、いないんです?」


「ガッドはパンダタウンにいるよ」


「パンダタウン? それはどこでしょう?」


「ヤムダ村の隣にできた、新しい町だよ。一応、俺が領主だけど、ガッドが領主代理をしているんだ」


「強大な凶変魔物を倒し、災害級の魔物を葬り去った英雄の町! ぜひ、俺も行ってみたいです!」


「あ、ああ。是非、行ってみてよ」


 なんだか冒険者の間で、俺のことを変に祭り上げているみたいだ。雷光の魔法使いとか英雄とか言われると、超恥ずかしいんだけど!



 翌朝。

 俺、レイナ、ミリィの三人でフルッコの森に入る。フルッコの森はクレバーの町のすぐ近くにある広大な森だ。俺とレイナ、それとガッドの三人で、冒険者としての修行をした森でもある。


「フルッコの森を北へと通り抜けて、メキド王国まで行った冒険者は、今まで誰もいないんだ。だから、それなりの覚悟がいると思う。みんな、覚悟はいい?」


「大丈夫よ。行きましょう」


「う、うん。私、頑張る」


 フルッコの森の浅い層では、見慣れた魔物が次々と現れてはレイナに切り伏せられて行く。

 この辺の魔物は、もはや俺たちの敵ではない。


「魔物を倒したら、魔石になるから拾うんだ」


 ヤムダ村を襲撃した魔物は、何故か魔石にならなかった。でも、それは特別なことで、普通は魔石になる。だから、ミリィの常識が(かたよ)らないよう、魔石のことを教えておく。冒険者として登録したときに簡単に習ってはいるんだけどね。


「魔石って、大きいのとか、小さいのとかいろいろあるんだね。色もいろいろあるの」


「魔物の強さによって魔石の大きさが変わるんだ。もっと奥に行けば、もう少し大きいのを拾えるよ」


 今の俺たちにとって、フルッコの浅い層はウォーミングアップのようなものだ。

 毒針が危険なコンバットビー、歩く果実のマッドベリー、群れるコボルト等、初心者には恐れられる魔物も、レイナの一閃で魔石に変わる。


「よし、今日はここで野営しよう」


 木々の間隔が広く、少し開けた場所で野営の準備をする。

 魔法収納からテーブルと椅子を取り出して並べる。


 俺たちは魔王を倒す旅をしている。伝説の勇者だと四人パーティだったみたいだし、今後、俺たちにも仲間が増えるかもしれない。だから、クレバーの木工屋で大きめのテーブルを買い足した。当然、椅子も買い足しておいた。


 レイナは、椅子に座って体に蚊よけのオイルを塗り始めた。灯かりの魔道具を点灯すると虫が寄ってくるから、虫嫌いのレイナには欠かせない行為だ。森に入る前にも、こっそり塗っていたのを俺は見ていた。


「レイナさんは何をしているの?」


「これは、蚊よけのオイルよ。ミリィも使ってみる?」


「うん。ありがと」


 ミリィは早速、腕に塗ってみる。


「うーん。冷えるような、ツンとするような、不思議な感じがするー」


「この、スッとするような成分が、蚊を寄せつけなくするわ」


 そんな二人の前に、俺は料理を並べて行く。


「塗り終わったら、食事にしようか」


「うん。もういいよ」


 ミリィも、レイナもオイルを塗り終わった。


「「「今日も食事ができることに感謝して、いただきます」」」


「こんな森の中で夕食をとるのって、ちょっと楽しいね」


 ミリィにとっての初めての野営の夜は、ピクニック気分で過ぎて行った。


 毎日、魔物を倒しながら森の中を進んで行く。

 今までよりもレベルが上がっていることもあり、初心者のミリィを連れていても、問題なく進めている。魔物の群れを発見したら回避してはいるけどね。


 フルッコの森の浅い層を四日、中層を六日で踏破し、遂に深層と呼ばれる領域までやってきた。

 季節はもう夏で、(せみ)の鳴き声がうるさいくらいに響いている。


「ディバージョンラット二体。三十メートル先にいるの」


 ミリィには、魔法「サーチ」で魔物をみつける練習をしてもらっている。でも、どうしても主観視点から脱却できず、俺のように上から見下ろした俯瞰(ふかん)視点にはできない。

 どうやら、魔法で発見した魔物を、自分の見た目のイメージの中に配置しているみたいで、空から見下ろす視点は想像ができず、無理だった。


「二足歩行のネズミの魔物ディバージョンラットは、初めてレイナと一緒に戦った魔物だね。物理攻撃を(はじ)く特技を持っていて、普通に切りかかると、剣を弾かれて危ないんだ……って、レイナのレイピア、魔法剣になってたね。だから、もう大丈夫。この魔物は魔法剣を弾くことができないみたいだし」


「そんな魔物もいたわね。でも、もう不覚は取らないわ」


 あのときは、レイナは剣を弾かれていた。でも、今回は魔法剣になっているから切り裂けるはずだ。


 ディバーションラット。こいつらは、フルッコの森の深層に生息する魔物だ。そんな奴らが、森を抜け出してクレバーの町の近くに現れたのは、今でも原因は分かっていない。

 ただ、ちょうどその頃。深層の魔物が中層に現れることがあるということで、Bランクパーティ「灼熱大地」がフルッコの森の深層の調査を請け負っていたんだけど、結局手掛かりは見つけられなかった。


 レイナが切りかかると、ディバージョンラットは決まりの行動パターンで、それを弾こうとする。

 しかし、魔法剣となったレイピアを弾くことができず、そのまま切り裂かれて魔石に変わる。

 俺も魔法剣で一体仕留める。


「弾かれることはなかったわ。パンダって本当に凄いことができるのね」


「パンダ君はね。たっくさん凄いことができるんだよ」


 レイナの言う凄いこととは、通常の剣を魔法剣に変えることだ。

 レイナには魔法剣の存在を秘匿するように言ってあるから、他者に情報が漏れることはないだろうけど、その切れ味からバレることがあるかもしれない。

 そんなときは、二人揃って「先祖代々に伝わる剣」と苦しい言い訳をすることになる。レイナは勇者だから、先祖代々の剣でも怪しまれることはないのかもしれないけどね。


 その後も、深層では、グレアスネイクやロックバブーン、ダークウルフなど、多彩な魔物と遭遇した。その中で最も苦労したのは、イビルケンタウロスだった。いわゆる、凶変魔物だ。


 今まで練習でしか使ってなかったミリィの補助魔法「フォース」や「シールド」も、それを当てにしないといけないくらいのガチバトルだった。


 イビルケンタウロスは、高速で移動しつつ強烈な弓矢を放つため、盾のない俺やミリィは本当に苦労した。

 土属性魔法「ストーン・ウォール」で壁を作って弓矢を防ぐと、すぐに後ろ足から繰り出される衝撃波つきの蹴りで崩されてしまう。

 それでも、弓矢を防ぐため、また壁を作る……。

 レイナの持っているラウンドシールドは、皆を守るための盾ではなく、攻撃を受け流すための物だから、俺とミリィは、自分自身で身を守らないといけない。

 Bランクパーティ「灼熱大地」のデンガルのような盾役が欲しいところだ。


 結局、なんとか倒せたけど、いつも余裕な感じのレイナも、イビルケンタウロス戦では相当疲労して、その日はその周辺で野営となった。



 深層を進むこと八日。

 今日は、真っ直ぐに進んでいるつもりが、何故か、レイナとミリィが右に()れて行くという現象に悩まされる。


「レイナ、そっちに何かある?」


「え? どうして?」


「大きく右に()れているから」


「真っ直ぐ進んでるわ」と、至極当たり前の顔で答えるレイナ。


「ミリィもそう思ってる?」


「真っ直ぐ歩いてるよ」


 木々を避けながら歩いているとはいえ、()れ方が尋常じゃない。

 なんだか、俺だけ左に曲がったみたいに別の所にいる。俺は俯瞰視点の「サーチ」で、自分が北に向かっていることを確認できているから、逸れているのは二人の方だ。


「じゃあ、あの木に向かって真っ直ぐ進んでみてよ」


 二人は不思議そうな顔をしたけれど、俺の指示に従ってくれた。


「何が言いたいのかしら?」と、小言を言いながらも、俺が示した、北にある木に向かって歩き出す。

 最初は真っ直ぐだったんだけど、いつの間にか、右へ逸れて行ってしまう。


「やっぱり右に曲がって行っちゃってるよ」


「そんなことないわ」


 うーん、まいったな。目標の木は動いていないし、二人は幻覚を見ているとか、磁場が狂っているとかそういう場所なのかな。


「ロープを北に向かって真っ直ぐに置くから、それに沿って歩いてみてよ」


 俺は地面にロープを()わせる。

 それを辿(たど)るようにレイナとミリィに歩いてもらったけど、右に逸れて行く。


「ロープが曲がっているでしょ? 私は真っ直ぐに歩いているわ」


「ああ、もうじれったい」


 俺はレイナとミリィの手を取り、ひっぱるように北に向かって歩く。

 レイナの頬がほんのりと赤いのは、速く歩いたからかな。あまり運動をしないミリィは真っ赤だし。


 十歩ぐらい歩いた所で。


「あ。今、感覚が変わったわ。今ならわかる。こっちが私たちが向かう方向ね」


 レイナが後ろを振り向き、地面に置いてあるロープが真っ直ぐだということを確かめる。


「うん、そうだね。今は、こっちが真っ直ぐだと思うの」


 ようやく方向感覚が戻ったようだから、握った手を放そうとしたんだけど、レイナもミリィもしっかり握っていて放してくれない。

 しょうがないから、右手にレイナ、左手にミリィの状態で歩いて行く。

 魔物に襲われたら、俺、何もできないよ。


「えっと、前方五十メートル、大きな魔物」


 ミリィの「サーチ」が魔物を捉えた。名前の分からない魔物ということは、事前に勉強した「魔物の書」に載っていない魔物ということになる。こういうときは、「チェック」を習得している俺の「サーチ」の出番だ。


「サーチ! 魔物の名前はゴッドトレント。確かに魔物の書には載っていない奴だ。みんな、気を付けて!」


 ミリィに補助魔法をかけてもらい、臨戦態勢で近づいて行くと、開けた場所に、不自然なくらい太い木が一本、生えていた。


「あれだ! あれは木じゃない、ゴッドトレントだ」


 幹についているこぶのような部分が、裂けて目や口のような形になり、さらに枝を大きく揺らして威嚇を始めた。


 先制攻撃を仕掛けようと走り出したレイナの足元から、突如木の根が鋭く立ち上がる。


「きゃっ!」


 足を怪我し、地面に座り込むレイナ。

 そこに向かって、包丁のような葉が次々と飛んでくる。


「レイナ! ウインド・ブラスト!」


 包丁のように殺傷力があっても、表面積の大きい葉はやはり風には弱い。

 風の魔法で、飛んできたほぼすべての葉を巻き上げて散らす。


 この間にミリィが回復魔法でレイナを癒した。


 ゴッドトレントの根の射程距離がいまいち分からない。

 俺は近づき過ぎないよう、魔法の射程のギリギリの場所を立ち位置とする。

 ミリィは、俺より少し下がった位置だ。


 レイナは立ち上がり、再度突進する。すると地面から次々と根が突き出して行く手を邪魔し、なかなか近づくことができない。


「レイナ! 一度下がって。考えがある!」


「わかったわ」


 レイナに一度下がるよう指示すると、牽制(けんせい)のため、火球を撃ち込む。


「ファイア!」


 よし、レイナが戻ってきた。

 その直後に「ランド・コントロール!」と、整地の魔法を発動する。


 周囲の地面が石に変わって行く。

 その間にも葉で邪魔をしてくるけど、間合いが離れているから、避けるのは簡単だ。


 遂に、ゴッドトレントと俺たちの間の地面が、石になった。


「レイナ、OKだ!」


「行くわ!」


 レイナが石の上を軽快に走って行く。予想通り、根の攻撃は来ない。

 大分接近した所で、複数の伸びる枝で薙ぎ払うような波状攻撃がレイナの行く手を(はば)む。

 でも、それをレイナは飛び越えたり、レイピアで切断したりして進んで行く。


「これでどうだ! フレイム・ランス!」


 ゴッドトレントの攻撃がレイナに(かたよ)っているため、俺は十分に集中することができた。

 極太の火の槍が飛んで行き、ゴッドトレントの幹に刺さる。

 ……刺さったまでは良かったけど、すぐに消えてしまった。


「あれ? 消えるの早くない?」


「ローズ・スプラッシュ!」


 火の槍に合わせるようにレイナが繰り出した無数の突きも、ゴッドトレントには効いているようには見えない。


「この魔物、突き刺し系に耐性があるわ」 


 突き刺し系の攻撃とは、槍や弓によるものが主だけど、レイピアの突きも、俺の「フレイム・ランス」もそれに該当するらしい。


「分かった。他の魔法で行く!」


 地面を石に変えたので、俺も間合いを狭くし、次の魔法を放つ。


「エア・スラッシュ!」


 射程は短めだけど、空気による面の攻撃。

 枝が数本落ち、ある程度のダメージを与えられた。


「切り裂くわ。シャイニング・セーバー!」


 レイナも突きではなく、切り裂く剣技に切り替えた。

 Z字状に切り裂かれた幹からは、樹液のような液体が噴き出す。


 この攻撃に耐えかねたゴッドトレントは、幹が接する部分を中心として、俺が整地した石の地面にひびを入れ始める。そして、遂には根を石の地面の上へと出してしまった。

 地面から()い出た根が、まるでうねる足のように動き、ゴッドトレントは素早く走り出す。


 右へ左へと高速に移動しながら、鋭い葉を射出し、時々接近してヘッドバットのように枝全体でプレスする攻撃も交えてくる。


「なんとかして、こいつの動きを止めないと!」


 すべてを(かわ)すことなどできず、傷つきながら、打開策を考える。


「こいつの根は、石の地面を貫けなかった……。これだ!」


 まだ左右に動き回るゴッドトレント。

 左右に交互に動いているということは、右端、左端では、方向転換のため速度が零になる。

 そのときを狙う。


「クリエイト!」


 ゴッドトレントを囲うように城壁を生成し、閉じ込めた。

 城壁を壊そうと中で暴れているようだけど、やはり、厚みのある石は壊せないようだ。


「……ライトニング!」


 ゴッドトレントがもがいている間に最大限集中し、城壁に故意に開けておいた窓から、轟音と閃光を伴った雷撃を浴びせる。


「いやっ! 怖い!」


 思わずミリィが耳を塞いでしゃがみ込む。


「大丈夫、魔法だよ」


 ミリィが立ち上がる頃には、ゴッドトレントは大きな魔石に変わっていた。


 中に入れるよう、再び「クリエイト」で城壁の一面を開け、魔石を拾う。

 そして振り向くと、俺たちは、弓を持った複数のエルフに囲まれていることに気がついた。

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