128 セレス、パンダタウンへ
「ここがパンダタウンか。綺麗な町だな。でも、少し寒いなあ」
セレスにとって、パンダタウンを訪れるのは初めてのことだ。
パンダタウンには四季があり、今の季節の頃は晩秋だ。年中暑いムートリア聖国基準で見ると、寒い町ということになるのだろう。
街路樹が落とした葉を踏みながら歩いて行く。
セレスの育ったムートリア聖国では、季節で落葉する樹木は見られないそうだ。
でも、春頃には藤のように垂れ下がる黄色い花を一斉につける樹木があって、季節の節目はあるみたいだけど。
「セレス。この町はね、今、秋なんだよ。もうすぐ寒い冬になって、春が来るの。それが過ぎると暑い夏になるんだよ」
ミリィの四季の説明が、セレスの腑に落ちる。あの説明で納得できたんだ?
それにしても、早いもので、成人して旅に出てからもうすぐ二年になろうとしている。いろいろな気候の国を巡っているから、正直言って、季節感が失われつつある。
最初、はっきりとした目的のなかった旅も、途中で魔王打倒が目的となり、今では邪神打倒が目標となっている。
「これから鍛冶屋に行くんでしょ? 私は関係ないから先に勇者の館に帰るわ。出発するときになったら呼びに来て頂戴」
ミーナクランが、早歩きで鍛冶屋とは違う方向に向かう。言われなくっても分かる。チェダイリスをモフモフしに行ったのだ。
ミーナクラン不在の間は、チェダイリスは勇者の館で世話されていて、ミーナクランがパンダタウンに戻ってくると、「猫カフェ・ミーナ」に出勤となる。チェダイリスは接客するミーナクランの後ろをついて歩いているのだ。
ちなみに、エルバートの妹のクラリスの場合はずっとこの町にいるから、毎日一緒に出勤している。二人とも、一人乗りエアカーを購入して、チェダイリスと一緒に通勤しているんだ。
「ミーナクランは先に帰ってもいいけど、レイナとユーゼは鍛冶屋行きだよ」
「パンダさん、鬼ですぅ」
他の女性陣もモフモフタイムにしたくてそわそわしている。でも、鍛冶屋できちんと採寸してアダマンタイトの武器を見繕ってもらわないといけないから、同行してもらう。ミスリルとまったく同じ寸法の物って訳にもいかないだろう。
ミリィとシャルローゼの二人は魔法練習用の剣だから、本当はモフモフしに行ってもいいんだけど、セレスが初めてダジィと会うので、そのつきあいで同行している。
「ダジィに会いに来たんだけど」
ダジィの鍛冶屋に入り、弟子に用件を伝える。
すると、奥の方からダジィが出てきた。
「やあ、パンダじゃないか。今日は何の用だい?」
「まずは紹介するよ。俺たちの新しい仲間のセレスティーナ」
「セレスティーナ・ルナヒルだ。セレスと呼んでくれ」
「あたいは鍛冶屋のダージリン。皆はダジィと呼んでるな」
セレスとダジィが握手を交わす。
「今日はセレスの武器を含め、全員の武器を作ってもらいたいんだ。ここじゃなんだから、詳しいことは奥で話すよ」
この鍛冶屋にはたくさんの客がいる。いつもより少ない気がするけど、それでも客がいない訳じゃない。おっぴろげに「アダマンタイト鉱石」と声にするのは良くないと思ったんだ。
奥の作業部屋に入り、用件を伝える。
「ア、アダマンタイト鉱石だって!!」
赤く、それでいて透明に輝くアダマンタイト鉱石。
テーブルの上に取り出すと、きしむこともなく、まるで重さが存在しないかのように、下敷きになる空気だけが流れて行く。むしろ、その空気の流れに乗って、滑るようにテーブルから落ちそうにさえなった。
「初めて見たぜ。砕いてもいいな?」
俺が頷くと、ダジィは楔みたいな物を当て、ハンマーでアダマンタイト鉱石の角を砕く。砕けた破片を手にして、鑑定をするダジィ。
「今さらだから、驚かないけどな。ミスリルのときと言い、今回と言い、どうしてこれだけ純度の高い鉱石を手に入れることができるんだよ。まったく。今回も精錬する必要はないぜ」
「それなら、大至急で全員の武器を作ってもらいたいんだ」
セレスの武器は、通常は、ミリィみたいに異空間からロッドを取り出して使っている。ロッドの名前はダークムーン・ロッド。ミリィのロッドはブライトムーン・ロッドで、それぞれ闇の巫女、光の巫女の専用装備品だ。
その他に、セレスは護身用に銀のショートソードを身に着けていて、今回はそれをロングソードに変更する。軽くなるから、長くても問題にはならない。
「分かっていると思うけど、アダマンタイトって言えば、神話級の鉱物だ。誰も扱ったことはないだろうぜ。だから、少し研究しないとモノになるかどうかは分からない」
「もちろん理解しているよ。そして、ダジィしか武器にできる人がいないのも事実なんだ。だから、よろしく頼むよ」
「神話級の素材を扱えるなんて、鍛冶師にとって夢のような話さ。断る理由なんてない。むしろ、感謝したいくらいだ」
作業のお代は、余ったアダマンタイト鉱石の買い取りということで商談は成立した。
「私の分まで用意してくれると言うのか」と、セレスが遠慮気味に話すので、「セレスは勇者パーティ、ローズ・ペガサスの一員なんだ。武器と防具はパーティからの支給品にしているから、遠慮しないでいいよ」と説明しておいた。
武器の見直しが始まった。ダジィの目では、今あるミスリルの剣を振ることで、新しいアダマンタイトの材質に変わった場合にどのように寸法調整すれば良いのかが分かる。
レイナから順に採寸し直す。ミスリルのレイピアを構え、突いたり切り裂いたりといった動きを見せる。
「おいおい、これはなんだ? ミスリルの魔法剣じゃないか。あれ? これはあたいが作った剣?」
レイピアを持つレイナの手に触れた途端、剣を凝視して動きが止まるダジィ。
「大々的には公開してはいないんだけど、実は、通常の剣を魔法剣にする方法を発見したんだ」
「……。あきれて物が言えないねえ。そりゃあ、歴史に名を残す偉業だぜ? へたすりゃあ、国を興すことさえできる革新的な技術だ。広めるときには注意した方がいいと思うぜ。たいして剣も扱えない貴族どもの食い物にされないようにしなよ」
「忠告ありがとう。細心の注意を払うよ」
それからダジィの意識は採寸に戻り、「アダマンタイトだと、重心はこの辺りがいいな」とかいろいろと考察が入る。「剣幅を指一本分増やそうと思うが、どうだ?」とかの形状変更の提案もあげられる。
全員の採寸が終わると、日は沈んで夜になっていた。
鍛冶屋を出て東に向かって歩く。
暗くてエアカーには乗れない。エアカーにはライトがないから、危なくって乗れないんだ。既存の明かりの魔道具を使っても遠くまで照らせるほどの光量はないし、速く走るエアカーでは使えない。今度ナルル博士に開発を頼んでみようかな。
いつもより少ない人通りの道。ここは確か、ベイム帝国がグランエディン砦に攻め込んだ際に、その南にあった村から避難した人たちのために、俺が急遽生成した避難住宅だ。
あの村は、元々グランエディン砦と取引する商人が集まってできた村だったこともあり、避難してきたのはほとんどが商人とその家族だった。
パンダタウンでも商売ができるとあって、戦争の終わった今でも、ほとんどの者がここに残っている。避難住宅を買い取った形だ。
「前方に明るい物が見えるぞ。あれは何だ? ……耳を澄ませば、叫び声も聞える。争いごとか!?」
セレスが腰の剣に手をかける。
「セレス。えっとね、あそこに見えるのは、遊園地だよ。そして、聞こえてくるのは、人々が楽しんでいる声なの。今度一緒に行こうね」
ここからだと横からになるので、円形には見えない観覧車。
明かりの魔道具をふんだんに取り付けて、煌びやかな遊具になっている。
歩いて近づいて行くと、徐々にその姿がはっきりと見えてくる。
遊園地の敷地内の至る所にも、ナイター営業できるよう、明かりの魔道具をたくさん設置してあって、周辺の街路まで明るくなっている。
「あの高くなって見えるのが観覧車で、乗り込めば、あの高い位置から町を見下ろすことができるんだ」
「観覧車? 乗り物なのか? あの高い位置から町を見ることができるのか??」
「うん。四人まで乗り込めるよ」
「そ、そうか! 四人……。ミリィ、王女殿下、それとパンダ……。あ、いや、何でもない! 独り言だ! 気にするな!」
遊園地の前で北へと向きを変え、中央広場へと向かう。後ろを振り向くと、ゆっくりと回る観覧車の姿が見える。こっちからだと、円形に見える。
『真の勇者よ』
中央広場に差し掛かると、世界樹が俺たちに話しかけてきた。
「はっ! 何者だ?」
初めてのセレスは少し驚いて辺りを見回している。
「世界樹の声だよ」と教えてあげると、「世界樹は言葉を話すのか……。まるでおとぎ話の中にいるようだな……」と感慨に浸っていた。
『勇者の活躍によって、北方に現れた多くの邪悪な者が消え去りました。しかし、宇宙の意思が再び活動を始めて、その影響で千年前に構築されたシステムと言う物が不安定となっています』
ここで、世界樹がほのかに輝きを放つ。
『この周辺は私が抑えていますが、私の力の及ばない地域では、人々は嘆き苦しんでいます。それを糧に、邪悪な者が再びこの世界に大挙して現れようとしているのです。真の勇者よ。管理人の元に行き、宇宙の意思の動きを止めるのです』
「少し確認してもいいかな? 邪悪な者って、鬼人族のことで合ってる?」
前にレイナが同じことを尋ねたことがあるけど、あのとき起きていたのはベイム帝国における鬼人族の異常発生だった。
それはもう解決済みだから、今度は別の何かかと思ったんだ。
『人々がそう呼んでいる存在で間違いありません。そして、宇宙の意思のことは邪神と呼んでいることでしょう』
「それじゃあ、システムが不安定って、どういうこと?」
『システムは、勇者が宇宙の意思に立ち向かえるよう、管理人と私が共に作り上げた物です。システムの生成物と戦うことにより、勇者は徳を積むことができ、強くなって行くのです。今、その生成物を発生させる地点が世界の各地に無数に現れています」
「うーん。システムの生成物って魔物のことで、発生させる地点というのは魔障の渦のことで合ってるかな?」
『人々はそう呼んでいることでしょう。本来、システムには、宇宙の意思の活動が活発になった際の緊急措置として、勇者が短時間で強くなれるよう、宇宙の意思に近づくにつれて、強力な生成物を発生させる機能を用意してありました』
邪神の近くに、強い魔物が現れるようにデザインされていたのか……。あくまでも、緊急の場合らしいけどね。
『それが千年前の宇宙の意思の活動によって不確かな物となり、今回、宇宙の意思が地上に現れて再びの活動を始めたことで、それが引き金となって、意図せずに、より強力な生成物を世界中に発現させる事態となったのです』
短くまとめると、邪神の封印が解かれたことで、不安定だったシステムが暴走したってことかな?
「それなら、世界樹か管理人がシステムを安定化させればいいんじゃないの?」
『システムは、遠く天空にあります。千年前の人々が作った乗り物でシステムを空高くに打ち上げたのです。その乗り物がなくては、管理人はそこに行くことはできないでしょう。地上からシステムに指令を出す装置は、人類が作成した物で、千年前に失われました』
乗り物って、ロケットみたいな物なのかな?
そんなに高い所じゃあ、俺が飛んで行く訳にもいかない。
『幸いにして、生成物の発生地点を破壊すれば、生成物の発生を止めることができます。一部の人々がそれを試みています。生成物のことは彼らに任せ、真の勇者は宇宙の意思の活動を止めることに専念するのです。近い将来、宇宙の意思が浄化を始めます。そうなると人類は滅亡してしまうことでしょう』
世界中に魔障の渦が無数に現れ、そこから魔物が発生している。
誰かは分からないけど、一部の人が魔障の渦の破壊に乗り出している。
世界樹は、俺たちは魔障の渦に関わらずに、邪神と戦うことを優先しろと言う。
レイナが俺の顔を見る。困りごとハンターのレイナは、本当は世界に蔓延る魔物を駆除したい。でも世界樹が邪神に専念しろと言うから、それなら今すぐにでも魔王の所に飛んで行きたいのだろう。
「もう辺りは真っ暗だし、今日はこの町で休んで、明日、魔王の所に行こう」
「……ええ、そうね。明日にしましょう」
『この町に溢れる人々の喜びの念が、私の力を強めています。真の勇者よ、計らい感謝します』
世界樹の葉が輝き、光の粒子が浮かんで消えて行く。
不意に世界樹に感謝を言われて、とまどう俺。世界樹のためにやっているんじゃないんだけど……。
『人々の喜びや感謝などの正なる感情は、人々にさらなる幸福を呼び寄せます。その反面、嫉妬や恨み、悲しみなどの負なる感情は、人々にさらなる不幸を呼び寄せます。邪悪な者はそんな負なる感情を糧として地上に現れます。ですから、本当であれば、全ての人々が自らの幸せに気付き、正なる感情を抱くことが必要なのです。この町は、その礎となることでしょう』
なんだか、哲学的なことを言っているけど、世界樹が話すことだから、きっと世界の真理なんだろう。正なる感情を抱け……。
人類の永遠の課題のような気もする。人の目には、自分よりも他人のほうが幸せのように映り、自分自身の幸せには気付きにくいものだ。
俺も、これまで悔やんでばかりで、前向きではなかったことに気付き、頭を掻きながら中央広場をあとにする。
勇者の館に戻ると、「モフリンちゃーん!」とユーゼが突っ走って行った。
「レイナさん! おかえりなさい」
あれ? 誰だっけ?
濃い紫色の前髪の一部を、目にかからないように猫の足跡の髪飾りでサイドへと寄せている。
レイナの衣装を緑色に変えた感じのスカート姿。
顔は覚えているんだけど、久しぶりに見るから、名前が……。
「エルナ、来てたの?」
「ボク、今日は久しぶりの休暇で、レイナさんに会えるかなと思って来てたんだ。猫カフェにミーナクラン先生がいるって、男子たちが喜んでいたから。きっとレイナさんがここに来るだろうと思って待たせてもらってたんだ」
「エルナ様は、勇者の一員だとおっしゃいますので、お待ちになって頂きました」
執事のハロルドが説明を加える。
勇者の一員? 髪飾りをあげたときのことかな?
確か、あのときはパンダタウンの仲間の証と言って渡したと思ってたんだけど……。
「ほら見て。ボク、こんなにレベルが上がったんだよ。世界中に魔物が現れていて――」
見せてくれた冒険者カードには、レベル27と記載されている。
エルナによると、最近、世界中で魔物が急発生し、世界樹魔法学校の生徒たちがその駆除に駆り出されているそうだ。最初は自主的な参加だったんだけど、今では冒険者ギルドから指名依頼を受けるまでになっているんだとか。
ただ、パーティ名が「A班」とか「C班」で、冒険実習の班分けのままだというのが微笑ましいけどね。
生徒たちは、基本的に転移石で移動できる町を担当し、エセルナ公国のサフィ、メキド王国の王都レダス、ムートリア聖国の聖都コプンカの三都市周辺の魔物を狩っている。
冒険者ギルドの情報だと、北の都市ほど強力な魔物が現れているとのことだ。
なんと、この町の領主代理のガッドも、生徒たちに混ざって魔物狩りをしているそうだ。生徒たちと年齢的に近いし、世界を見て歩くという目的にも合っている。一度は冒険者を引退したガッドの熱い闘志が、再び燃えだしたのかもしれないね。
「これで、ボクはレイナさんの隣に立って戦えるかな?」
「エルナには、勇者の代理として、世界中の町を魔物から救って欲しいの。私たち勇者一行は、もっと強大な敵と戦わないといけないから」
「まだ足りないってことなんだね。ボク頑張るよ。世界中の魔物を退治して、レイナさんの隣に立てるようになるよ!」
「よく頑張ったご褒美に、これをあげるわ」
そう言って、レイナはミスリルのレイピアをエルナに渡す。あれは、ドラゴン特攻の効果が付く前の物だ。純ミスリルで魔法剣になっているから、切れ味は相当な一品だ。
「ほ、本当に!? こんな大切な物を? ありがとう! ボク、大事にするよ!」
そんな二人のやりとりの隣で、ユーゼがチェダイリスと戯れている。
「モフリンちゃーん、お手! いい子でちゅねー」
「わ、吾輩もいい子なのである! しゅたっ!」
エルナと話しながら、実はレイナもチェダイリスを撫でたり抱き着いたりしている。もちろん、ミリィとシャルローゼも自らのペットでモフモフ中だ。セレスはミリィと一緒にチェダイリスに戯れている。
「エルナよ……。そんな目で見つめないでくれないか。……欲しいのか? この動物が欲しいのか?」
エルナの父アルバンが困り顔でデレている。娘ラブな父親は、明日、チェダイリスを買いに行く約束をしてエルナの機嫌を取っていた。
二人の話がまとまる前に、チェダイリスの値段、教えてあげる方が良かったかな? トンデモ価格なんだよねー。金貨四百枚とか、ねえ。頑張れ、父親! 娘の笑顔は、きっとその値段よりも価値があるんだ。多分。
セレスも欲しがるだろうか? そっちの方は、今のいざこざが一段落してからかな?
折角勇者の館に来てくれているので、エルナとアルバンも夕食を共にすることになった。
「勇者の館では、天国のような料理を頂けるのですな」
「こんなにおいしい物を食べれば、レイナさんみたいに強くなれるんだね! ボク、たくさん食べるよ!」
親子のおかわり合戦が始まったけど、一応、平和な夕食のひとときだった。
夕食を終えると、女性陣は、初めてのセレスとエルナを連れてお風呂に行った。
エルナは風呂から上がったら、親子で私邸に帰る予定だ。
俺は、明日の旅立ちに向けてキッチンで料理をしている。
「今日もたくさんの客が来てたから疲れたわ。何人足蹴にしたか分からないくらいよ。おかげで、もう足がパンパンなんだから。だから先にお風呂に入りましょう」
「そうですね。綺麗にしてからお兄様に挨拶しましょう。今日のお兄様はどんなお顔をお見せになってくれるのでしょうか」
ミーナクランがクラリスと共に勇者の館に帰ってきたみたいだ。
俺はキッチンから出て、ミーナクランに「明日、魔王城に行くよ」と伝える。
すると、「え~。もっとカレンちゃんと遊びたーい」と甘えるような口調で訴えてきたんだけど、「ダメ。人類滅亡の危機なんだ。だから、明日出発」と念を押しておいた。ちなみに、カレンちゃんとは、ミーナクランのチェダイリスの名前だ。
二人の後ろを、チョコチョコとチェダイリスが歩いて行く。まるでカルガモの親子のようだ。
そんな二人と二匹を見送って、俺はキッチンに戻って調理に専念した。




