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女猫たちの戯れ  作者: 南あきお
女猫たちの戯れ
3/10

うそつき


しかし、翌朝目覚めると、クミの姿は忽然と消えていた。

荷物も何もかも無い。

私が貸してあげたスウェットだけは、きちんと畳んでカーペットの上に置いてあった。


しかしクミは、再び私の元から忽然と姿を消してしまった。


どうやら私が眠っている間に居なくなっていたようだ。


家の中、近所、クミの実家、何処を捜しても見当たらない。

昨晩、新たに教えてもらった携帯電話番号に電話をしてみる。



「お掛けになった番号は、現在、使われておりません」



受話器からアナウンスが流れた。


私は、膝から崩れ落ちた。


クミ……どうして?

まさか私……騙されたの?

私たち、親友だったよね?

どうして?

ねぇ、どうしてッ!?


※※※※※※※※※※※※


しばらく経っても、クミは見つからなかった。



彼女からの連絡も何もない。

私は、どうやら騙されたようだ……。

妊娠の話も真偽は定かでない。



まさか、騙されるとは思わなかった。

クミは多少、ワガママな部分はあったが、根は優しくて素直な良い子だったのに……。

どうして親友を裏切るなんて酷い仕打ちを……。

きっと彼と駆け落ちをして、私の知らない間にクミは変わってしまったんだ。

そうだ、クミはもう、昔のクミじゃないんだ。

平気で親友を裏切る、うそつきな悪い女になってしまったんだ……。


※※※※※※※※※※※※


あれから一ヶ月が過ぎた。


裏切られた私はショックから立ち直れず、大学を休み続け、ガソリンスタンドのアルバイトも辞めて、家に引きこもっていた。



眠れない毎日。

大好きだった人から裏切られた心の傷。

無くなった貯金。

思い描いていた新しい家族のカタチ。



あぁ、空が白みだし、また朝がやってくる……。

朝日が疎ましくて、私は再び布団の中に潜り込む。



私は、この出来事を誰にも話してはいない。

法的手段を取る気にもならなかった。

それよりも、一刻も早くクミを忘れてしまいたかった……。


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