16.狩りにも慣れてきた。
その後、焔は「戻って色々準備してくる」と途中で図書館で本を借り部屋に戻った。
いつも通りの素朴な牢屋。
トイレは牢屋のを使うのではなく作業員用のトイレを使っているため適当な木の板で蓋をしている。
そこに建築なや関する本をドサッと置き、焔は本を読み始めようとした。
「ありがとう!」ミラからのあの言葉が頭から離れない。
(俺みたいな人に女の子から感謝の言葉がもらえるなんて...前の世界じゃ考えられないな )
一人で席に座り、周りの誰からも話しかけられない。
時には竜也も居たが竜也は人気者だった。
竜也はたくさんの友達に囲まれていて羨ましいと思ったことは何度もあった。
竜也が友達と喋っている時、もちろん焔は独り。
焔は一人で居たい訳ではなかった。
ただ、どう話しかけたらいいか分からずに時が過ぎていってしまったのだ。
今日そんな焔に竜也以外に友達ができた。
たくさん話すことも出来たし女の子だし。
(自分からやると言ったんだしあんな天使みたいな笑顔を向けられたらやるしかないな )
焔は本を手に取った。
「うし、やるぞ!まずは覚えるとこからだ!」
「きゅう!」
一方、竜也の方ではウッドウォークという魔物を狩るクエストを受けて村から少し離れた森に来ていた。
「ウッドウォークとか嘘じゃねえか!殴ってくるだけならまだしも枝とか伸びてくるんだが!?っと危ねぇ」
竜也は伸びてくる枝を森の木などを巧みに使いぎりぎりで避けていた。
ウッドウォークは全長3メートルもある木の魔物だ。
見た目は木だが形は人のようで腕(枝)を伸ばして攻撃をしてくる。
「流石はランクCの魔物と言ったところか他の魔物とはレベルが違うな」
竜也は自分がどこまで戦えるのかを知るために一つ上のランクのクエストを受けていた。
(まさかギルドから依頼されるなんて思ってなかったが、かなり厳しいな)
受付嬢から竜也向けにクエストがあると言われ受けたクエストがこれだ。
急成長している竜也なら大丈夫だと思ったのだろう
竜也は逃げ続け、森の中で少し開けたところに出た。
「ここでならまともに戦えそうかな。よし、やるぞ」
竜也は剣を構え、ウッドウォークに向き合った。
ウッドウォークは枝を竜也の身体目掛けて伸ばしてきた。
(...そこ!)
竜也は姿勢を低くして枝を切り落とした。
そこから一気にウッドウォークに向かい走った。
ウッドウォークは枝を切られ戸惑っているため容易に近づくことが出来た。
「"グラント"火!」
竜也は剣に火属性を付与し、ウッドウォークに斬りかかった。
「ガァァァァァ!?」
ウッドウォークは急な火属性に驚いている。
だがもう遅い、竜也の剣は火を纏って斬られたら燃やし尽くされる。
「勝ったな。後はウッドウォークを狩った証拠にこいつの核となっている玉を取り出せば...あ、」
そう、斬ったら燃やし尽くされるのだ。
目の前では微動しているウッドウォークが燃えている。
「翠玉って残るかな?てか残っていてくれぇ!」
その他にも問題がある、ここは森だ。
そしてウッドウォークはまだ少し動いている。
「やばい!森に火が移ったら...ウッドウォーク動かないでいてくれ!落ち着いて〜!」
〜数分後〜
「やっと火が収まったか。ウッドウォークすごい焦げてるけど大丈夫かな。」
竜也はひと安心しウッドウォークに近づいた。
ウッドウォークは全身黒く少し触るだけでポロポロと崩れていく。
竜也はウッドウォークを触り翠玉を探した。
「お、あったあった。.....よし、焦げてないし欠けてもないな。」
無事に翠玉を一つ手に入れた竜也。
竜也は後数個この翠玉を手に入れなければならない。
「よし、次行くか!...火属性はもう使わないようにしよ」
そしてまたウッドウォークを探しに戻った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
いくらか時間が経ち、竜也は順調にウッドウォークを狩っていた。
「"強化"!」
竜也の得意とする強化魔法を駆使し最後の一体を狩ろうとしていた。
「これで最後だ!」
ウッドウォークは最後の抵抗で竜也に向かい枝を伸ばした。
その枝は竜也に当たった...はずだった。
「残念だったな...残像だよ。閃斬剣!」
そう、強化により速くなった竜也にウッドウォークが追いつけなくなり1秒前の竜也を刺していた。
そして竜也の一太刀でウッドウォークはふたつに斬られ動かなくなった。
「初めからこうしておけば良かったな」
思っていたよりも自分の強化魔法が有能だということに気づいた。
だって残像がちょっと見えたぐらいだもん。
竜也のレベルはウッドウォークを倒し32まで上がっていた。
「いい感じに強くやってきたな。いや〜強化魔法様様って感じだな。これのおかげで少し強い魔物もいけちゃうなんて」
普通レベル30なんてものは半年はかけないと到達できない。
が、竜也は短時間で達成したので成長スピードがおかしい。
「ま、急に異世界来ちゃったしそのお詫びってことにしとこ。さて帰って焔の料理を食べるとするかな」
そして帰路についた。
「たっだいま〜!焔ご飯作ってくれ〜」
「ええぃ、俺はお前の母親か!?ちょっと待ってろ!」
「きゅうきゅう♪」
文句を言いながらもご飯を作る準備に取り掛かる焔。
そう、焔はついに自分で簡易的な台所を作ったのだ。
火は自分の魔法を使い細く切る時は鎌鼬を使い上手く切るのだ。
「いや〜ホントに台所があるとやりやすいな。今まではどうやってやっていたことか...」
「地面でやってたな、まな板置いて。火は使えないから簡単なのしか出来ないし片付けが面倒だしって言ってたな」
「あれは本当に面倒だった...」
ちなみにどれくらい面倒かと言うと朝寒いのに布団から出ないといけないくらいである。
「っで今日は何を作るんだ?」
「余ってる肉と野菜で作る雑肉じゃが。略して雑じゃが」
「肉がねぇ!」
口を動かしながら手を動かして着々と準備をする焔はもう完全に主婦である。
「そういえば焔は今日何してたんだ?またずっと本読んでたりしてたのか」
「昼過ぎからはそうだな。朝は...まあまあ色々あったけど」
焔はミラの事を思い出し少し頬が緩んだ。
「なんだよ、言ってみろよぉ」
「せっかくだし秘密にしとくわ。あ、でも一つだけ...この世界にカレーがあった」
「マジか!ちょっ、食いたい食いたい!」
竜也は興奮したように焔に近づいて言った。
竜也もカレーがこの世界にある事は知らなかったようだ。
「こっちへ来るなやりずらいわ!...まあ明日材料買ってこれたら作るけどな」
「やったぜ」
そして竜也は戻ってマイを撫でている。
「今日は...へえ、建築についての本か」
「ああ、俺らの家も作りたいしある事をする事になったからな」
「そうか、頑張れよ。しかし家か〜、確かにここ家じゃなかったな」
「うん、馴染みすぎた感はある。だから作りたいなって」
「敷地とかは取ったのか?器具とかもあるのか?」
「そこら辺のことはまだだ。まずは作れるようにならないといけないからな。金もないし」
「そうか、いつか出来るといいな夢のマイホーム」
頭の中に自分の家を想像しながら竜也は呟いた。
「って、痛!おい、まだ殻残ってるじゃねえか!よくも隠れていやがったなゴミ箱に行きなさい!」
「なんで見つからなかったんだろ?ちゃんと掃除したはずなんだけどな」
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「よし出来たぞ〜!焔特製の雑じゃがだ!白飯もあるぜ」
「雑じゃがはやめとけ?じゃあ早速」
「「いっただっきまーす!」」
「きゅう!」
焔の作った肉じゃがはじゃがいもと肉と玉ねぎ、にんじんを使った普通の肉じゃがである。
少し違うのが醤油が醤油の味に似たものになっていることと砂糖が少し少ないくらいだ。
おっとまだあった、味付けに隠し味として魚のだしが入っていることだ。
「もぐもぐ...ん〜!やっぱり美味いな。母ちゃんの味って感じだ」
「自炊ができるってホント便利だよなもぐもぐ」
「もきゅもきゅ...きゅう!」
「マイも美味いか?よかったよかった」
こうして焔と竜也の一日は過ぎていくのであった。
今の焔達のステータス
雨森焔 Lv1000 ジョブ ???Lv?? 称号 白竜の加護を得し者 所持金3900ルピ
筋力 97+13
防御 84+5
魔力 150+30
魔防 143
速さ 106+17
精神力 60
運 50
(+はスキル、能力upで上がった量)
スキル
伐採Lv10 採掘Lv9 釣りLv8 魔力操作LvMax 完全記憶 能力up (努力すればする程能力が上がる[精神力と運以外]) 白竜の知識 不老 全属性魔法Lv1
装備
左 鉄の剣 右 木の杖
攻撃力+10 攻撃力+2 魔力+5
鉄で出来た剣。 木でできた杖
佐島竜也 Lv32 ジョブ 剣士Lv15 称号 期待のルーキー 所持金9050ルピ
筋力 72+25
防御 71
魔力 40
魔防 60
速さ 59
精神力 40
運 18
スキル
一点集中 剣術Lv5 回避術Lv7 筋力強化(鍛えれば鍛えるほど筋力が上がる)
装備
左 鉄の剣+3
攻撃力+21
鉄で出来た剣。
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