11.ああもうめちゃくちゃだよ!
投稿バカ遅れました。
本当に申し訳ない。
焔たちがこの世界に来てから1ヶ月半が経った。
焔は毎日伐採をしに森へ来ている、途中で魔物が襲ってくる時もあるがそれも今は何とか倒せている。
「ふぅ、今日の伐採はこれぐらいでいいか。次は採掘だな。その間に適当に採取したり、採掘終わった後はつりをしたり...」
焔は毎日この生活を繰り返している。
たまにだが、取ったものを売る時がある。
最近焔はポーションが作れるようになり、納品のクエストを受けてポーションを渡したりしている時もある。
焔は竜也にポーションを作って持たせている、それだけでもルピの消費を減らすことが出来るからだ。
竜也と言えば
「そろそろ牢屋じゃなくて普通の家に住みたいな」
なんて事も少し前に言っていた。
切り終わった木を乾燥させる場所が門の近くにあったからそれを使わせて貰って木材にする事が出来る。
焔は少し前に魔力操作というスキルを手に入れた事で、木を木材にするのが簡単に出来るようになった。
そして家造りの人に[材料があれば安く作ってくれますか]と聞いたところ[材料さえあれば安く家を作ってやる。]と言われ牢屋生活もそろそろ終わりだなと焔はその時思った。
採取をしながら焔は採掘場へ移動していた。
「なんか採取してる俺の姿を想像すると草むしってるおじいちゃんみたいじゃね?わかんねぇけど」
などと思っていたら
ズドンッ!
急に近くで大きな爆発音がした。
「え?、何?怖いんですけど。こんな所で爆発音がするって事は冒険者か何がこんな所にいるのか?」
焔がいつも伐採などに来る所はかなり村から離れた森だ。
前にいた所は木が少なくなってきて、場所を変えないと行けなくなったからだ。
近くに採掘できる場所もあり、ここを新しく資源を手に入れる場所にしたのだ。
焔は"飛翔"という魔法を少し前に覚えたので、遠い所でも早いスピードで移動が出来るようになった。
その為村から離れた森にやって来ているのだが、そんな所に爆発音がするのは不思議だ。
近くには村も何もない。
「誰だよ魔法こんな所で使った奴。俺の資源が減るしやめて欲しいなぁ。ちょっと見に行くか」
焔は音のする方に歩いていった。
近付くにつれ、焔は音の正体が爆発ではないと気づいた。
何故なら、周りに火が一つもないからだ。
「爆発じゃないなら、一体なんの音だったんだ?」
焔は音の正体が気になってきて少し警戒しながら進んだ。
そして、焔の目に映ったのは、
「あれって...ドラゴン!?なんかすごい怪我をしているけど。それにしてもでかいなぁ」
焔は木の影からドラゴンを見ているが全長15mはある様に見える。
ドラゴンは白い鱗に赤い眼をしている、傷が深い為血が沢山出ている。
ドラゴンは空から落ちてきたのか深さ1mくらいのクレーターが出来ている。
ドラゴンは怪我が酷い為、死んでいるか生きているかが分からない。
「もう少し近づきたいな。大丈夫かな?いや、大丈夫だろ」
焔はドラゴンに触れる程近づいた。
近づいて気づいたがドラゴンは微かに息をしていた。
なんか辛そうだなと思った焔はドラゴンの怪我をしている所にポーションをかけた。
「ぐがぁぁ...がぁぁぁ!」
「うわ、びっくりした!まあ痛いよな。我慢してくれ...それと、傷が治った後に殺そうとしないでくれよ...」
ドラゴンは傷にポーションがかかって痛いのか叫びながら少し暴れている。
焔は自分の持っているポーションを沢山使ってドラゴンの怪我を直そうと頑張る。
だが、傷が深いからだろうか直りが遅く焔はポーションをドラゴンにかけまくった。
そう間もドラゴンは唸っていたが焔は我慢してくれと言ってかけ続けた。
20分程その作業を繰り返していると焔のポーションはもう無くなりかけていて、ドラゴンの傷もほぼ直っていた。
(ポーション作る素材また集めなきゃなぁ、まあこのドラゴンの傷が癒えたからいいか!)
ドラゴンは傷が直ると立ち上がり、焔の方を見た。
(ん、なんでこっち見てるんだ?飛び去って行けばいいのに)
ドラゴンは焔に顔を近づけて来た
(あれ、これは...食われるパターンですか?え、死ぬん?俺)
焔が覚悟を決めた時、ドラゴンは焔の目の前にいた。
そして.....焔の頬に顔を擦り付けた。
「へ?」
ドラゴンは焔に傷を直してもらった事で感謝している様だ。
「若き人の子よ、我を助けてくれて感謝するぞ」
「.....シャベッタァァァァ!」
焔は驚きを隠す事は出来なかった、当然だ、ドラゴンが喋ったからだ。
小説や漫画などで生き物が喋る事はあったが、まさか実際で自分の近くで喋るドラゴンに会うのは初めてだ。
「我は黒竜に追われていてな、我を殺そうとしてくるのだ」
「え、なんでですか?同じドラゴン同士仲良く出来ないんですか?」
ドラゴンは自分の事を白竜と言い、白竜は黒竜とは対立した存在で黒竜はそんな白竜を殺したいらしい。
「そして我の持っている卵を狙っているのだ。この卵は我々白竜の最後の希望だからな」
「最後って、白竜はこの世界にあまり居ないんですか?」
「黒竜にやられてしまってな。黒竜は交戦的だからな。もう、あまり個体がいないのだ」
(なるほどな、だから最後なのか)
そしてドラゴンは話を続けた。
「我は黒竜に殺されそうになり力を振り絞りワープ魔法を使ってここに来た。卵を守ってきたがここまでかと思った所にそなたが来てくれたのだ」
「それは凄いタイミングですね。俺は何か爆発系の魔法をぶっぱなしている人がいるかと思って見に来たので。来てみたらドラゴンがいてビックリしましたよ」
「我のいる場所がバレるのは時間の問題なのだ。黒竜は我の魔力を辿ってここに来るだろう」
何故、対立しているとはいえ黒竜が白竜を殺したがっているのかを聞くと、
どうやらドラゴンにも強さがあり、赤緑青黄色紫は同じくらいの強さで黒と白がずば抜けて強いらしい。
黒竜は自分たちが一番になりたくて白竜を殺し回っているそうだ。
「我々は戦いを好まない故あまり戦闘経験がないのだ。なので我も恐らく見つかり次第殺されてしまうだろう」
「そんな!そうなんですか...なんか悲しいです」
「そこでだ我の持っている卵をそなたが貰ってくれぬか?」
「はい?」
白竜がとんでもない事を口にして焔は唖然としていた。
(俺が白竜達の最後の希望である卵を貰う?俺には無理だァァ!)
「いやいや!無理ですって第一俺は一般人ですし。黒竜が来たら俺なんか瞬殺ですよ!」
「大丈夫だ。黒竜は我が最後の白竜だと思って殺しに来ている。卵が無くなっていてもワープした時に無くしたと思うだろう」
「えー、でも無理ですって!無理無理無理無理無理」
「ええい、うるさいぞ!貴様も男なら覚悟を決めんか!」
焔は白竜の急な咆哮ともいえる大きな声に驚き、静かになった。
「安心せい。傷を癒して貰ったお礼に我の加護を与えてやろう。そなたに新たなスキルが手に入るだろうからそれで我々白竜の卵を守ってはくれぬだろうか」
白竜は頭を下げて焔に頼んだ。
流石に焔も白竜にそんな事をして貰ってはお願いを受けざる負えない。
焔はため息をつき
「分かりました。それで卵は何処にあるんですか?」
白竜はその言葉を聞き表情が明るくなった。
「本当か!感謝する。卵は今から出してやる。少し待っておれ」
白竜は頭を焔の近くに持っていき手を出すように言った。
焔は手を出し、卵を待った。
瞬間、焔の手のひらに光が集まり始め、どこからともなく卵が出てきた。
卵は少し大きく30cmはあった。
「それを温めて生まれさせておくれ。そして元気に育てて欲しい。そなたのジョブがテイマーであれば一緒に戦う事も出来るが、テイマーではなさそうだな」
「はい。分かりました。大切に育てます」
焔は卵を抱きしめそう言った。
「さて、では我の加護を与えよう。かなり強いが臆するでないぞ」
白竜が翼を広げ咆哮をあげた瞬間、焔に眩い光の柱がたった。
「うっ、重い...」
「耐えるのだ。耐えたぶんだけ加護の力が強くなる」
焔は卵を貰い、絶対に守ると言ったので精一杯耐えた。
そして見事耐え抜いた!
「流石だ。ステータスを見れば色々と変わっているはずだ。後から見てみるがよい。では我はこの辺で遠くに行くとしよう」
「はい、出来るならまた会いたいです」
白竜は焔の言葉を聞いて少し微笑んだ。
そして大きな翼を広げ空に飛び去って行った。
「いやぁ、凄かったなぁさっきの。意識飛んでいくかと思ったぜ」
焔は卵を一時的にアイテムボックスに入れていた。
その為、卵は無事だ。
「白竜さん絶対卵の事忘れてただろうな。それよりもステータス見てみるか」
そして焔のステータスを確認すると
雨森焔 Lv1000 ジョブ ???Lv?? 称号 白竜の加護を得し者 所持金5200ルピ
筋力 97
防御 84
魔力 150
魔防 143
速さ 106
精神力 60
運 50
スキル
伐採Lv9 採掘Lv9 釣りLv7 魔力操作LvMax 完全記憶 能力up (努力すればする程能力が上がる[精神力と運以外]) 白竜の知識 不老 全属性魔法Lv1
装備
左 鉄の剣 右 木の杖
攻撃力+10 攻撃力+2 魔力+5
鉄で出来た剣。 木でできた杖
「はいこれはもう完全にバグ。レベルカンストしてるし...って能力値カス!?なんでやねーん」
そこはチート系にして無双させてよ〜
焔は少しガッカリしたが筋トレやランニング、魔力を使うことで能力値がどんどん上がるスキルを手に入れたのでここから頑張ろうと思った。
(不老ってやばくね?俺高一なんだが、ちゃんと大人の体になりたいよ)
白竜の知識とか言う謎のスキルもあったので焔は使ってみることにした。
"白竜の知識"
スキルを使った時、焔の頭の中に沢山の知識が入ってきた。
この世界の魔法についてや白竜の家などの事が、
「どうでもいい事ばっかりだー。あんま使えねー」
よく分からない事ばかりだった。
その中でも焔が見つけた良いものは、不老のスキルについてだ。
不老のスキルは体の成長が止まってから発動するらしくしっかりと大人になれると焔は安堵した。
「とりあえず帰ろ。なんか疲れたし...あっポーションつくらなきゃぁぁ!」
焔は叫びながら村に戻った。
戻る時に自分の飛翔のスピードが段違いに早くなっていたことには気づかずに。