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泪と衝動のスティグマ  作者: 朝夏 彗
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プロローグ 鮮やかな色は君と見てた幻

今回投稿させて頂きます、「泪と衝動のスティグマ」 至らぬ点が多いと思いますが、よろしくお願い致します!

 ただ空を見上げていた。ただ空を見上げることしか出来なかっただけなのかもしれない。


 どこまでも透き通った青い空は僕に無力さを突きつける。僕にはもう、四肢ししの感覚が無いのだ。


 起き上がる事も出来ずただ生暖かい血が流れ出てゆく感覚だけを感じる。


 ──────死ぬのか


 ゼロに近づく身体、これが死なのかとじわりじわり噛みしめる。


 何か残せたものはあっただろうか。


 君よ。


 最後に僕はただ愛おしい君を思い出す。君だけは忘れたくないんだ。


 優しい君、月の光にきらめく蜂蜜色の髪をした君。僕と共に笑ってくれる君。この空に似た瞳の君よ。今はただ…


 ──────君に会いたいよ


 木陰に白い花が見える。花弁が春風に揺れている。あの花は…真っ白な雪道を君と共に歩いていた時に見つけた… なんという花だったか思い出せない。


 そんなことはどうでもいいのだ。僕は、君に伝えたいことが山ほどあるんだ。まだっ、まだ…君に感謝を伝えきれてないんだ。沢山、ほんとに山のように君への思いがっ、あふれて止まないんだ。


 青い空がどす黒い雲におおわれてゆく。あぁ、最後くらい君の瞳を見つめていたかったのに。


「ごめんよ。こんな所で死ぬなんて。許してくれないかなぁ。」


 ふっとこぼれた出た声は風にかき消された。


 四肢のあった場所から流れ出る血液は止まってくれない。ただ、不思議と痛みは感じなかった。


 誰かの眷属けんぞくになっていればこんな事は無かったのかもしれない。


 一つ後悔が残ってしまった。


 神がべるこの世界は、神の眷属けんぞくになる事によって不思議な力を手に入れる事ができるらしいが、神一人につき、眷属けんぞくは一人しかなれない狭き門らしい… そうは言っても、死んでもなりたくないが。


 まぁ、もうそんなことを考えても手遅れなのだが。


 何だかもぅ、笑けてくる。


 ポツポツと雨が地面に降り注ぐ。雨は僕の体温を容赦なく奪ってゆく。


 寒い。本当に死ぬなんて思って無かった。聖戦だから、仕方がなかったんだ。僕なんかに聖戦に参加しないなんて事は許されなかったんだ。あの時、君を連れて逃げれば良かったんだ。君とならどこだって行けた。


 また一つ後悔。


 あぁ、血が足りない… 頭がぼーっとする。


 後数分で本当に、本当に本当に死ぬんだ。僕。


 ──────あぁ、くだらない人生だった。最後まで君に好きって伝えれなかったもんな


 視界がぼやける。雨粒が、頬をつたい落ちる。


 風に乗って誰かの歌が聴こえる。鎮魂歌ちんこんかだろうか、聴こえた気がした。


 ロザリア…君の歌が聴こえるよ…


 ──────あぁ、なんて温かいんだろう。


プロローグを読んで頂きありがとうございます!!

だいぶ短めになってしまい申し訳ないです…

明日も、19時に投稿したいと思っておりますのでよろしくお願い致します!

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