13話 実戦
二章開始です!
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オルボア地方は地図で見ても王都から相当距離があります。途中いくつかの街を経由して行くしかありません。初めての馬車が長距離移動というのは心配がありましたが、相乗りをした老夫婦が気を紛わす話をしてくださったので、楽しい旅路となりました。
「着いたよお嬢ちゃん」
「あ、もうですか」
「じゃあわしらこれで。妖精が見つかるといいね」
「ありがとうございました。お二人もお元気で」
隣町ーーアイゼンの外郭内側にある馬車乗り場で降りた私は老夫婦と別れ、冒険者協会へと向かいました。
王都と似た街並みではありますが、ここは王都よりも獣人種の方をよく見かけます。すれ違うもふもふに後ろ髪を引かれる思いを抱きつつも冒険者協会へと着きました。
「ようこそ冒険者協会アイゼン支部へ。お見かけしない顔ですがご依頼ですか?」
「いえ。依頼をお受けしようと思いまして」
「冒険者様でしたか。失礼いたしました。等級はおいくつですか?」
「まだ5級冒険者です。今朝王都で登録したばかりなんです」
私は冒険者となりました。冒険者協会に登録しておくとそれが身分証となり、街を移動するのに交通証となるので便利なのです。城を出た私がまずしたことはそれでした。
「では採取依頼ですね」
「いえ、討伐依頼はありませんか?」
「……まあ、ありますが。ここら辺の魔物が弱いからといって、初心者に厳しいですよ」
「弱い、のですか?」
「王都が近いですからね。辺境に比べれば魔物が少ないんです。西の森が住処になっていますが、滅多には出てきません。ここら辺では五級冒険者が昇級推薦を受ける目安になっているくらいですね」
言われてみれば、王都からここに来るまで魔物に襲われることはありませんでした。護衛もいませんでしたし、ここら辺では魔物は珍しいものなのかもしれません。
「あくまで、ある程度の実戦を積んだ5級冒険者の討伐対象ですからね。それまではパーティーが基本なんです」
「と言われてましても、私にそんな仲間はいませんし」
困りました。本格的な長旅の前に魔物との実戦経験を積みたかったのですが。カレインさんとの訓練でしか戦ったことがありませんし。
私が唸り悩んでいると後ろから声をかけられました。
「どうしたの?」
凛々しい声は、空をそのまま染め上げたように綺麗な色をした髪を、高い位置で一つに結った赤目の女性でした。この世界で一般的な羊毛の生地で出来たワンピースを着た、それこそ“お姉さん”と呼びたくなるような女性です。
「ルーラさん。今日は休むんじゃなかったんですか?」
「ん、そのつもりだったんだけど、暇でね。それよりもその子は?」
「今朝登録したばかりの新人さんです。討伐依頼を受けたいらしいんですが、パーティーもいないので許可を出そうか迷っているんです」
「ふうん」
私の個人情報がダダ漏れなのですが。
「じゃあ私が一緒に行こうか」
「いいんですかルーラさん」
「いいのいいの。新人育成は熟練者の務めだし、少ない女性冒険者だし仲良くね」
「まあ、ルーラさんがいいなら、構いませんが」
どうやらルーラさんという冒険者に同行していただけるみたいです。そこまで年が離れているとは思いませんが、しかし、受付さんから信頼されているところを見ると、本人が言うように熟練者で実力者なようです。
「あなた、戦闘スタイルはなに?」
「純魔術師です」
「へぇ、使う魔術は?」
「水属性です」
「スキルレベルはいくつ」
「5です」
ルーラさんの問いに答えました。お世話になるのですし、パーティー内で実力を把握するのは大事だとカレインさんにも教わりました。
しかし、しっかりと答えたのですがルーラさんの眉がひそめられました。一つため息をついて、
「いくらなんでも答え過ぎ。長期で組むならいいけど、今みたいに即席パーティーの時は戦闘スタイルくらいだけにしたほうがいい。相手が悪かったらあっと言う間に広まって、襲われわよ。特に私達女冒険者は」
「気をつけます」
「うん。じゃあ早速行こうか」
「よろしくお願いします」
***
ルーラさんが装備を整えてから、私達は西の森に向かいました。道中で冒険者としてのイロハを教わりました。ルーラさんはアリサとはタイプの違うお姉さん気質でした。見た目のそのままです。
「へぇ。じゃあツキヨはその村を目指しているのね」
「はい。妖精、見てみたいです」
「意外に乙女チックねあなた」
「意外ですか?」
「まあね。会ったばかりだけど、少し愛想が足りてないのはよくわかるから」
「そうですか」
自己紹介のついでに話した旅の目的に思いのほか盛り上がりました。ルーラさんにも何か行きたい場所があるらしいのですが、それはどことなく濁されました。薮蛇を突く事もありませんし、そこまで親密でもないので軽く流したが。
森進みややした頃、ルーラさんは腰に吊るしていた直剣を抜き構えました。
「さて、そろそろ魔物も出てくる。一応感知系スキルで警戒はしておくけど、基本的に私は何しない。危険な時だけ手出しする。それでいいよね?」
「はい」
その受け答えと同時に、私も臨戦体勢に入ります。といっても純魔術師がすることと言えば、魔術式の待機をさせることくらいのもの。待機状態にすることで即時魔術を行使することが可能になるのです。
しかし私には関係がありません。なにせ瞬時に魔術式の構築し魔術を使えるのですから。
なので、私がすることと言えば程よく警戒すること。緊張し過ぎては無駄に精神をすり減らし魔術に悪影響を与えることになります。なので最低限の警戒はしつつも力は抜く。これも全て、教わったことです。
「来たわッ!」
「はい」
流石は二級冒険者。一般に上級冒険者と称されるだけの実力があるのでしょう。索敵能力も私ではとても敵いません。
私が感心していると、少し前で剣を構えるルーラさんが目だけでこちらを伺いました?
「おそらく五体。私が引きつけておくから、そのうちにあなたは詠唱をしちゃって。撃ち漏らしは私が片付けるから、どいつでもいいわよ。適当に避けるし」
どうやら初心者である私には荷の重すぎる相手の数だと判断したようです。その心遣いは大変ありがたいですし普通は正しい判断なのでしょうが、生憎と私もお遊戯をしに来たわけではありません。
「いえ、引きつけは必要ありません。撃ち漏らしもありません。私が倒すので、少し様子をお願いします。危なくなったのなら、その時はもちろん指示に従いますから」
「……いいわ。蛮勇じゃない事を教えて」
「はい」
渋々といった具合でしたが、私に任せてくれるらしいです。私は改めて薄暗い森の先、私でも感じられるようになった魔物の気配をがする方を見つめました。
やがて現れたのは獣型に分類されるウォーウルフ。その名の通り狼のような姿をしていますが、彼らは能力を扱います。
比較的知能が高いウォーウルフは仲間と協力をして狩りします。なので今回も同じようで五匹は私を半円状に囲みます。
陣形を整えると、五匹は揃って咆哮ーー火炎を吹きました。これこそがウォーウルフの能力です。
書物庫にあった魔物辞典(報告書)に私は目を通していました。そしてその内容と目の前にある光景とに致命的な差がないことに胸を下ろします。
「……」
ルーラさんが動く様子はありません。どうやらまだ大丈夫だと高を括ってくれたようです。
私はそれに感謝をし、そして魔術式を高速構築。火に対するのならば水。それはこの世界でも共通認識。
「へぇ」
ルーラさんの感心を得た私が使った魔術は水属性第四階梯【ブラーゼ】。半球体の水の壁がウォーウルフの攻撃から私達を守ります。
悉く攻撃を打ち消したところで私は一時的に【ブラーゼ】を解除。それと同時に近藤くんに使った水属性第五階梯【シュピッツ・ヴァッサー】を撃ちました。
五匹それぞれに飛んだ水の槍は正面から一撃。やや過剰威力が過ぎたのか、貫通して木々までも砕いてしまいました。
私は念のために【解析】でウォーウルフの状態を確認しました。変異種でもない限りウォーウルフに詐称系の能力はありませんから、完全に絶命したとみて問題ないでしょう。
「あなた……」
驚嘆の意を込めた視線がルーラさんから送られました。若干の戸惑いも感じます。ですが私としてはこれはあくまでもほんの序の口程度の力。まだまだ実戦経験は積みたいのです。
「狩りを続けましょう」
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