エピローグ
国内の混乱は、思ったほどは起きなかった。
演説が効いたのか、政策の内容に同意してくれたのか、まあどっちでも良い。
今日も今日とて俺はダイエットに励む……事はできずにいた。
「爺よ……まだ今日の分は終わらんのか? あとコーヒー、甘いのくれ」
演説が終わった後、やる気になった大臣達によって細かな詰めは一気に進んだ。
晴れて国内の各所では大規模な改革が進んでいる。
政治腐敗や既得権益の保持の為にうんたら……等が起こらなかったのは幸いだ。
これで晴れて大手を振ってダイエットを、とは問屋が卸さなかった。
「今日の分は、あとこちらの3つですぞ。王の許諾無しには進まぬ事ばかりですからな」
この国の政治体系はよく解らないが、重要な案件には一々王の許可が必要なのだと。
改革推進に伴い、王のサインを求める書類が山の様に押し寄せる事になった。
当然、王は俺1人だけ。
来る日も来る日も、書類に目を通しサインをする毎日である。
「……一段落付いたら、政治体制そのものにも。いやまずは王専属の秘書をがっつり雇って……。ダイエットはいつになるやら」
体を動かすダイエットは進んではいないが、食事の方は改善された。
前は量とカロリーこそが正義と言わんばかりだったが、今はバランスよく量も程々だ。
空腹は仕事で紛らわ……せる訳も無いが、ここで元の食事に戻しては意味がない。
「王よ、たまには気晴らしに運動でも良いのではないですか? 屋内のプールにでも……」
茶色いコーヒーを出しつつ、爺が心配してくれる。
しかしここで甘える訳にもいかない。
甘いものはこのコーヒーだけで充分だろう。
「俺が言い出した事で俺がブレーキになっては、それこそ笑えん。大臣達も現場の人達も頑張っているのだ。書類仕事で根を上げている場合ではない」
書類の山を片付けつつコーヒーを啜る。
だが焦る事はない。
真に片付けるべき強敵は、逃げる訳も無いのだから。
「いっそ大掛かりなスポーツジム、アクアトレーニングなんかも……。いや、まずは目の前の事か」
寧ろ、贅肉が勝手に逃げてくれればそれこそ助かるのだが。
ありもしない空想とダイエット用施設に思いを馳せ、王の仕事は続いていく。
最後までご覧頂き、まことに有難うございます。
ポンっと浮かんだアイデアを勢いで書いてしまい、どうせだから投稿してしまえとやはり勢いで及んでしまいました。
また次作等でお会いできたら幸いです。




