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第6話 ダイエットに必要なもの、資料集め 会議 プレゼン

数日後、雪辱を晴らすため、贅肉(ぜいにく)をそぎ落とす為の戦いが幕を開ける。


「王も懲りませんなあ。勿論お話はしっかりと受け止めますが……」


依然ダイエットに反対する大臣達。

万端の準備を整えて再度会議室で対峙した。

今回は2人だけではなく、既に人数でも上回っている。


「というか、多数決でも勝てるのならもう充分なのでは……?」

「あなたが変えようとしている事は、この国の国是にも等しい。これを変えたいならば全会一致か、力づくで私の首でも刎ねてみなさい」


大臣は太い首をぽんぽんと叩く。

挑発的な仕草だが顔は真剣だ、そしてふくよかである。

大臣としても、意地悪などで反対している訳ではないという事だろう。


「俺が切り捨てたいのは首じゃなく贅肉(ぜいにく)だ。……では発表させて貰おう」


暴君として剣を取りたくはない、というか多分手が届かない。

皆で汗水垂らして練った案を、真剣に披露する。


「まず、大臣から指摘された……。観光立国としての収入への懸念、食料品を中心とした物品の消費バランス。これらは一朝一夕に解決出切る事ではないと、結論が出た」


大臣は黙って座っている。

特に表情を変えるでもなく、得意気になったりもしていない。

真摯に国の事を考えているのだろう。


「だが決して手を出せない分野ではないと考える。……国民の肥満を解消し、それを好意的に他国に宣伝すればそう観光業への影響はないだろう。今までのデブしかいない国ではなく、健康的な食生活を推進する国として、新たなスタンスも取れる」


言われて、大臣は資料のデータに目を通す。

周辺国のニーズや、デブを売り出してきた観光業の推移等が記載されている。

近年のニーズとは折り合わず、というか飽きられている様だ。

僅かずつだが減収減益が続いている事が、浮き彫りになっていた。


「物品の消費バランスへの影響だが、貿易の拡大や生産品の見直し等、むしろ事業改善に舵を切る良い機会だと考える。人手は余る事が予想されるが、放棄された土地や未開拓地に手を出す事で新たな雇用の創出と需要を作る。詳しくは資料に纏めてある」


細々とした数字まで語るつもりはない。

というかそこら辺は大臣達が纏めてくれたものだから、説明は覚束(おぼつか)無い。


「……王の言い分はよく解りました、データには大変興味があります。……しかしこれらを実際に着手して、それが上手く行く保証でもありますかな? 国内の混乱も必至でしょう」


書類に目を通しこちらの言い分を認めつつ、しかしまだ折れない。

依然、太ましい顔から鋭い視線を飛ばしてくる。


「開き直った物言いは好きじゃないが……。事業に保証なんて、ある方が稀だ。時には変革へ足を踏み出さなければ、古いものと一緒に取り残されていくだけだ。国民の不安は、俺が直接演説でも何でもしよう」


だから協力してくれ、と頭を下げた。

王が臣下に頭を下げるのは、良くない事だとは理解している。

感情論等ではなく、システムとして色々と矛盾してしまうからだ。


しかし今は、国是に対して疑問と改革を突きつけている。

それも国のトップの王自らがだ。

自信が定めた事ではないが、とっくに矛盾している行為だろう。


呆れたか、見限ったか。

反対派の大臣はふぅっと息を吐きながら、資料を脇に置いた。


「具体的な施策の内用は後日詰めましょう、実務に携わる者達も交えて。まずは台本を考えましょう。……国民の反対を押しきってやれるものではないですからな。」


顔を上げるとそこには依然太ましい、しかし少しだけ表情を緩ませた大臣がいた。

もう反対派ではない、未来を見据えて考えてくれた面持ちだ。


こうして王宮内は考えを一致させた。

次いで避けては通れない関門、国民への対応について向き合う。

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