6/12
聖なる大樹の伝説
むかしむかし、ある所に幻想の森と呼ばれる美しい場所に、大樹が存在していました。
大樹は世界の神様と呼べる存在であり、長い長い……遥かな昔から悠久の時を経た今まで、世界を見守り続けていました。
けれどある日大樹は、その世界に異変が起きているのに気が付きました。
少しずつひび割れて欠けていく世界。
大樹は世界が壊れてしまわぬようにと、自身の力を使い懸命に繋ぎとめようとしましたが、程なくして力が足りなくなる事に気が付きました。
そこで大樹は森の奥に住む双子に、大樹の苗を分けて大切に育てるように言いました。いつかこの世界が再び危機に瀕した時、足りぬ力を補ってもらうために。
託された命を腕に抱いて双子は頷きます。
そして大樹は誰にも害される事が無い様にと、美しい森を閉じ、何千年という遥かな時を、ただ静かに過ごすため、深い眠りについていきました。