12 結局戻すんかい?!
彼女の家にはお手伝いさんがいる。
彼女が幼少の頃からずっと働いているお手伝いさんである。
ほとんど家族同然。
しかしながら、フェリスは言う。
「今度、お別れしなくちゃいけなくなったのよ。寂しいわ~」
そう、昔からいるお手伝いさんはもう40年以上のお付き合い。
彼女の年齢+20才以上だろうから、当然70歳前後となるわけだ。
自由になりたい。自由にしてあげたい。
そういう理由かは知らないが、お手伝いさんを卒業するということに
なったらしい。
「今度、新しいお手伝いさんを募集したんで私が面接するのよ。
パパが選んだ人が来るんだけど。」
父親をパパと呼びながらフェリスは眼光鋭く言い放った。
こんな金持ち一家のお手伝いができる人ってどんな人だろう。
違った興味が沸きあがる我ら小市民。
数日後、フェリスは息巻いて出社。
「な~によあの女!パパが選んだ女ってムッチリした若い女で、お手伝いとは
思えないようなボディコンで、いったい何を基準に選んだのかしらッ!!」
「で、面接はどうしたの?」と我々。
「数日試したけど、ただパパの趣味で若い女選んだだけよ!
お引取り願ったわッ!」
「即効でクビか。。。で、お手伝いさんどうすんのさ。」
「やっぱり引き戻すしかないわね。あの人じゃないと我が家のことは任せられないわ!」
「また復帰させるのか!」
「しょうがないでしょ!ウチのこと何でもわかってるの彼女しかいないし、
彼女以外は信用できなんだから!」
見事、彼女のわがままで復帰することとなった昔からのお手伝いさん。
きっと一生自由にならないのだろう。
ずっとフェリスの面倒を見るのだろう。なんて気の毒な。。。
数日後、今まで通り
お手伝いさんの作ったお弁当を持参するフェリスであった。