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勇希殿、よくここまでいらした。
気が付くと、勇希は冷たい床の上に居た。
「あっ勇希君、やっと気が付いたね。」
「君5時間もここで寝てたんだよ。」
その言葉に、勇希は当然の如く驚嘆した。
「5時間だってぇぇぇ⁉︎」
すると、近くから嗄れた声が聞こえてきた。
「まあまあそんなに驚きなさんな。」
「初めてのワープで勇気殿もお疲れなのであろう。」
顔上げると、ピコラそっくりの老人が長い髭と何か悩み事があるかの如く眉尻が下がったボサボサの眉を垂らしていた。
「勇希殿、よくここまでいらした。」
「お疲れのところ申し訳ないが、早速初仕事が待ち受けておりますぞ。」
「あなたにはこれから、あの家族の記憶の色を取り戻してもらいますぞ。」
そう言って老人はその小さく短い手で、巨大な金の額縁にはめ込まれた、壮大な映写機を指指した。