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死んでも愛してくれますか?  作者: 龍華ぷろじぇくと
三話、 身投げ神社の怪?
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クビククリの反撃

「仏説一切……」


「南無阿弥陀……」


 周囲から幾人もの声が近づいてくる。

 声が聞こえるたびにクビククリの拡散が押し返され、魔法陣へと集まっていく。

 お経って効くんだ。と思わず失礼な事を考えた圭一だったが、実際にクビククリは苦しそうにしている。


『これは……』


「今田、切裂、それと宇津木か。今までよく耐えたな」


 背後からの声に振りかえると、そこに居たのは爬虫類を思わせる男、若生先生だった。


「先生? これは一体……」


「父の友人を総動員して来てもらったんですよ。全員で18人。僕たちを入れて20人。かなり集まったと思う」


 全てこの周辺の寺の住職。

 クビククリ封印のためにやってきてくれたのだ。

 遠くの町からも来てくれたらしく、少し遅れたとのことだが、むしろタイミング的には丁度いいくらいだ。

 圭一としてはできるならもっと早くに来てくれていればとも思うものの、絶望的状況からは脱せそうだった。


「こりゃ大物だ。初舞台にしちゃ大捕物だな」


「余計なことを言わず全力で掛かってください。これほどの怪異、喋りながら成仏させられるものではないでしょう」


 豪快に笑う坊主の男に、隣にやって来た尼さんが嗜める。

 住職たちは魔法陣を中心に集まりだすと、弥生たちが行っていたように結界の中にクビククリを閉じ込める。

 七体の学園霊たちと比べると20人揃ったお坊さんたちの力は強力で、完全にクビククリを結界内へと押し戻し、さらに強固な結界を張ってしまう。

 こうなるとお経の影響で七不思議の面々にも実害が出そうになって来た。


『確かに凄いが、妾には毒じゃなこの読経。琉実、成仏したくなければ校舎に戻れ。妾らは帰らしてもらうぞ。後は人間どもでなんとかしてくれ』


「君たちは……学園の幽霊か」


 霊的存在が見えるようになったらしい若生和尚が目敏く弥生を見付ける。

 若生先生もどうやら見えているようで弥生に話しかけていた。


『トカゲ先生だったか、噂はよく聞いているぞ。妾らを除霊せぬようあの娘をよく躾ておいてくれ』


「幽霊を成仏させるのが住職の役目なのですが……まぁ生徒を助けてくれたことですし、君たちの願いを聞いておきますよ」


 若生先生と挨拶を交わした弥生は、琉実を引き連れ校舎へと引き上げて行った。

 ここからはもう七不思議の面々が力を貸してくれることは無いだろう。彼らは自身が消滅しないよう結界でも張って引き籠るはずだ。


 住職たちがお経を唱えクビククリを封じて行く。

 再び動きを封じられたクビククリは結界に身体を打ちつけのた打ち回り、怨嗟の声を轟かす。

 住職たちが各々に独自の経を唱える。

 それが効いているのかいないのか、クビククリは絶えず悲鳴を迸らせ、結界を壊さんと動き回る。


「実は、皆幽霊退治は初めてらしい」


「マジで!? 大丈夫なの?」


 若生先生の言葉に反応出来たのは來だけだった。

 圭一は俯いたまま拳を握りしめ、それに寄り添う魑魅は心配そうに成り行きを見守っていた。

 素人だろうとクビククリを封印できるのなら言うべきことは無い。

 ただ、もう溢喜は……


「っていうかあのお経って意味あんの?」


「言霊を乗せれば成り立ての幽霊くらい成仏させるのは一瞬です。が、アレほどの禍々しい幽霊はどうですかね。誰にでも目視出来るレベル。どうなるかはわかりません」


 当然と言えば当然で、ぶっつけ本番の退魔行なのだ。


「行けそうだ。このまま封印してしまえ!」


 全員、成功した。そう思っていた。

 誰もが勝てると確信していたのだ。

 だが……


 突然、僧侶の一人が膝をついた。

 両手を首に当て苦しそうにもがきだす。

 一斉にそちらを見て、気付く。

 僧侶の首に、黒き呪いが掛けられていた。


「ちょ、ちょっと、あれって呪われてるんじゃ!?」


「抵抗されてるぞっ。封印班と解呪班に分かれろっ」


 しかし、僧侶たちは封印のために集まった烏合の衆。

 仕事が一つ増えてしまえばどちらに向かえば良いか迷いだす。

 一人二人ならそれでも何とかなった。

 十人程度が一斉に読経を止めてしまったことがいけなかった。


 さすがに気付いて再開するが、一瞬でも開いた隙をクビククリは見逃さない。

 漏れた隙間から呪いを飛ばし、その場全ての僧侶たちに呪いをかけてしまう。

 こうなると、もはやどちらが勝つかは気力しだいだ。


 呪いに負ければ僧侶たちの負け。クビククリが世に放たれ、多くの人が自殺に走るだろう。

 クビククリの封印ができればいいが、今のままでは僧侶たちが声を出せなくなる方が早そうだ。

 若生先生たちもそれに気付いたようで、若生先生をはじめとした三人が、結界に穴を開けて自らクビククリの眼前へと侵入する。


 自ら死地に飛び込む様なものだが有効な手である事もまた事実。

 直接相対する事で言霊をしっかりと相手にぶつける事が出来る。

 結界外の僧侶たちも各々解呪班と封印班に分かれ、解呪班になった尼さんたちが必死に皆の呪いを解いて回っていた。


 クビククリ自体の力を消滅させ、封印をしやすくしようというのだろう。

 しかし、このままでは若生先生達への呪いは外の僧侶の数倍強力なものとして受けるはずだ。それに三人程度では……

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