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死んでも愛してくれますか?  作者: 龍華ぷろじぇくと
三話、 身投げ神社の怪?
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選手交代

「溢喜ぃ――――――――っ」


 悲痛な悲鳴も意味はなく、暗雲に飲まれた溢喜が姿を現すことはもう……


『いかんっ、さがれっ! 生者とてアレに障られれば死ぬぞ!』


 クビククリが結界に阻まれ再び魔法陣に縛られる。

 だけど、黒い雲に触れられた溢喜の姿はすでになかった。


「溢喜が、溢喜があの中に飲まれたっ、助けなきゃ……助けなきゃっ」


 予断を許さない状況で、クビククリが再び結界を破る。

 漏れ出た黒雲が圭一に向かい伸びて来た。


『たわけッ! 一度飲まれれば生還は不可能だっ、もう一度封じる、札を投げて奴を止めろっ。破魔矢も突き刺せ!』


 でも、と納得のいかない圭一に、クビククリの一部が触れようとした。

 その刹那。


『ギェェェェェッ』


 横から切り裂くように触れた来た人の手刀に、不快な絶叫を迸らせ、クビククリが体を捩る。

 手で触れて大丈夫なモノではないはずだ。一体誰が? と圭一が振り向くと。


「え……」


「ちょっと、何よこいつっ、どうなってんの?」


 手を差し出したのは來だった。

 ようやくやって来た彼女はクビククリを見て思わず息を飲む。

 混乱して事態をよく読みこめていない状態だが、それでも級友である圭一が危険だと、ついつい庇いに走って来たのだ。


 戸惑いながらも圭一と魑魅を庇うようにクビククリの前に姿を現した。

 彼女に除霊能力があるからこそ触れて大丈夫だったようだが、下手をすれば圭一の代わりに死んでいた可能性もある。

 彼女の考えなさに戦慄する圭一だった。


「來、お前……」


「あ、あたしにさ、霊的能力があるとかなんとか言ったじゃない、役立てるんでしょ、どうすればいい?」


 足がかすかに震えていた。

 思わず前に出たものの、眼前に対峙している物体が狂気の渦では恐れない方がおかしい。

 溢喜が気になる。でも、せっかく来てくれた來に手伝ってもらえばクビククリを倒せるかもしれないのだ。圭一は覚悟を決めた。


「弥生、指示だしてくれ!」


『無理だ、初めに指示を出せれれば対策はあったが今来られても無駄だ。せいぜいそこでクビククリを抑えおれ。主の力は不安定すぎる』


「ちょ、何よそれ! せっかく来たのにっ。っつかあんた誰よ!? って、浮いてる!? え。もしかして幽霊!?」


『感動している場合かたわけっ。遅いと言っているのだ』


「悪かったわね遅くってっ。ちょっとくらい役に立たせなさいよ! せっかく来たのに何もできないとか、なんか馬鹿みたいじゃない」


『破魔矢でも突き刺してろっ』


 初めて見た幽霊を相手に、來は憤然と反論する。

 魑魅から破魔矢を奪い取り、クビククリ向けてぶん投げた。

 悲鳴が迸る。


 聞いている方が気が狂いそうな絶叫を猛らせ、クビククリが暴れ出す。

 しかし、力は一気に抑えられたようで、結界から漏れた黒雲も、再び魔法陣内に戻される。

 さすがは能力者か。ただの原石だとしても十分役に立てている。霊が見えるだけの圭一とは段違いである。


『よし、いいぞ。祝詞を再開しろ、このまま封じるぞ』


「魑魅っち、その矢どんどん貸して、刺しまくるからっ」


 勝利を確信した弥生と來の弾んだ声に、圭一も魑魅も光明を見た。

 自然身体に力が漲り、もうすぐ奴を封印できると、溢喜の仇を打てると喜ぶ。

 しかし……

 突如、クビククリを囲む結界が消失した。


『なん……』


「どうしたってのっ!?」


 目に見えて広がり始めるクビククリに、來が声を荒げる。


『初音が倒れたっ!? 千鶴なんとかせいっ』


 弥生が怒声を飛ばすのは姿の見えない千鶴。幽霊同士何らかの方法で連絡を取っているのだろうが、今はそんなことはどうでもいい。

 おそらく、來とずっといたせいで弱っていたせいだろう。

 初音が一番最初に調子を崩したようだ。


 溢れだしたクビククリが周囲に広がりだす。

 來が破魔矢を投げつけるも、悲鳴を上げるだけで拡散は止まらない。

 終った。圭一たちにはもう手がない。

 絶望が場を支配する。


 打つ手が無くなった弥生も悔しげに顔を歪ませ溢れだすクビククリを見守るだけだ。

 すでに彼らの能力は限界が近い。そもそも初音はもう限界を遠に過ぎて倒れたそうだし、今更抵抗しても無意味だろう。万策尽きたと言っていい。

 このままクビククリが呪いを振りまくのをただただ見届け、呪いによって殺されるしか……


「臨兵闘者皆陳烈在……」


 突如、拡散し始めていたクビククリに誰かが走り寄って来た。

 圭一と來の横を駆け抜け、袈裟衣をはためかせ、一人の坊主が跳躍する。


「前ッ」


 言葉と共に手にした何かをクビククリへと突き刺した。

悲鳴を上げるクビククリが坊主を取り囲む前に、坊主は身を翻し距離を取る。

 独鈷杵を突き刺されたクビククリが拡散を止めて魔法陣内へと収縮し始める。


「まさか幽霊が幽霊を封印する光景を見せられるとはな。珍しいものを見せて貰った。だが、悪霊封印は生者に任せて貰おう。君たち、全員無事だな。遅れてすまない。若生さんから悪霊の話を聞いてやってきた坊主20名、今より封印に参加させて貰う!」


 言った彼の背後に、無数の坊主と尼さんがやってくる。

 壊された封印が再び人の手によって復活した。

 クビククリ封印第二回戦の開始だった。

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