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死んでも愛してくれますか?  作者: 龍華ぷろじぇくと
三話、 身投げ神社の怪?
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下準備

 午後のホームルーム終了の合図とともに二人して初音の机に詰め寄る。

 すでに七不思議の面々が集まっていた。

 さすがに可視化する気はない様で、半透明の彼女たちは人体模型を抜かして全員が揃っていた。

 彼女も来たかったそうだが、琉実が教室に歩いてくると大問題に発展するので今日は留守番である。


「どうなってんだ一体?」


『クビククリのせいだ。恐らくこの近くに潜んでおる』


 帰りだしたクラスメイトたちが、後ろを通り抜けていく。

 彼らは弥生たちが見えていないのだろう、弥生が話している最中にも弥生たちをすり抜けるようにして何人かが教室を出て行った。


「クビククリ……っていうと神社の?」


『で、あろうな。早急に封じねば数日中にこの教室から自殺者続出だ』


 当然とでもいうように深々と頷く弥生。

 考えるような仕草をして俺たちを見回し、


『どうする? 封印をする気はあるか?』


「そりゃ、しないわけにはいかないだろ。俺たちのせいみたいなもんだし」


『死ぬぞ? 生身の御主らだけでなく、幽体の妾らもな』


 その言葉に、圭一はつい溢喜を見る。

 不安そうな顔をしていたが、圭一が見ていることに気付くと微笑を浮かべた。


『私は気にしないでよ圭くん』


「でも……」


『いいか、幽霊の死はただ死ぬのとは訳が違う。昇天するのでもない。待っているのは完全な無だ。そしてそれは相手の瘴気に取り込まれた時点で確定する。意思の弱い幽霊は強い幽霊に近づいただけで消滅するということだ。肝に銘じておけ』


 その場の全員に伝えるように弥生が声を出し、七不思議の面々は各々神妙に頷いた。

 当然だ。下手をすれば自身がクビククリに取り込まれ、もう二度と転生すら出来ないのだから。

 ふと、転生と思った圭一は、本当に転生できるのかは不明だな。なんて思いつつ

溢喜を見る。彼女は全く分かっていないようで、首をこてんと横に倒すだけだ。

 果たして彼女は、何時か成仏し、新たな生を手に入れられるのだろうか?


『ではまず結界の用意だな。圭一、魑魅。塩を用意せい』


「塩?」


「なんでもよい。寺の塩が一番だがな。それから札……はこれでよかろう。できれば破魔札や破魔矢辺りでもあればよいがな。一番いいのはあの破邪の小娘だ。奴は必須だ。なんとかつれてこい。後は退魔師。主らで呼べるとすればそれくらいか」


 圭一と魑魅は塩などの用意をしろと教室を追い出され、七不思議幽霊たちだけで会談が行われる。

 教室から放り出された圭一は、毒づきながらも学校を出たのだった。

 自分たちでは足手まといにしかならないと言われ、何も出来ない自分に腹が立つ圭一だが、実際何も出来ないので悔しさが募るだけで居残るなどという事すらできなかった。




 來については今の所どうしようもない。

 今圭一たちに出来ることは塩を買いあさりあの寺へ向かうことだけだった。 

 寺では簀巻き状態の采香と在人の周りで御祓い棒片手に怪しく踊るお坊さんがいた。


 もう、障子を開いた瞬間現れた光景に唖然とするしかなかった圭一と魑魅。

 坊さんが気まずそうにやぁと御祓い棒を挙げて、ようやく動き出す。

 圭一と魑魅の方がしばらく動けなかった程の衝撃を受けていたが、彼は気にせず近づいてきた。


「なんです……その踊り?」


「い、いや何、御仏に捧げる踊りでな、は、はは……と、とにかくどうかしたかい?」


 踊りを中断してやってきた住職は、圭一達の首を見て唸る。


「おかしい。なぜ君たちにも呪いが?」


「あ、見えるようになったんですか?」


「な、何をおっしゃる。最初から見えていたさ。そんな倉に眠っていた書物徹夜で読んでようやく見えるようになったなんて事はないよ、うん」


 今までかなり適当に除霊してたなと思いながら、圭一は住職に理由を話す。

 クビククリの名を聞いた住職はかなり難しい顔でうなると、塩を二人から奪い取り、祈祷所へと持っていく。


 再び怪しい踊りを踊り出す。

 圭一は見ているのも恥ずかしいと障子を閉めて縁側で魑魅と二人、踊りが終わるまで待つことにした。

 こういうことは見ない事にするのが大人の対応である。


 しばらくすると住職が障子を開き、だくだくと汗を流して塩の袋を圭一達に渡した。

 ちょっと、いや、かなり汗臭かった。


「これで加護がついたはずだ。破魔札と破魔矢もあげよう」


 住職は二人の除霊が終わり次第学校に向かうということで、緊急事態につきお金は要らないと言ってくれた。寺同士で連絡を取り何人か応援も寄越すと言ってくれた。

 たった一体の悪霊に大げさな気もするが、やはりそのくらい人手がないと悪霊封印なんてできないのだろうか。

 なんてことを思いながら圭一は魑魅とともに寺を後にする。


 二人揃ってこれだけあれば十分だろうと話していたのだが、奥の手として本屋に寄って除霊の仕方という怪しげな本も買っておく。

 こういう眉唾物でも一つでも多い方が何かと役に立つのだと結論付けての行動だったが、果たして、本当に意味はあるのだろうか?

 圭一は不安ながらも、自分たちにできる事を精一杯やることにした。

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