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死んでも愛してくれますか?  作者: 龍華ぷろじぇくと
三話、 身投げ神社の怪?
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身投げ神社

 朝は魑魅と二人して卵かけご飯をかっこんだ。

 二人とも料理は全くしたことがないため、ついでにいえば圭一の家には料理器具が炊飯器と電子レンジしかないため、調理という物自体が出来ず、結果は簡単に出来るインスタントくらいしか作ることが出来なかった。


 とはいえ、この卵かけご飯、熱々ご飯に卵をかけて醤油を少々という三種類だけで出来る美味しい料理なので、圭一自身は結構気に入っていた。

 魑魅にこんなのしかできないけどいいのかと聞いたりもしたが、答えの代わりに頷きだけが返ってきたので、じゃあコンビニへみたいなノリで弁当を買いに行くことも出来なくなって、結局この卵かけご飯という結果に至った。


 魑魅と一緒の布団で寝ることに異議ありとかほざいていた溢喜も、この食事だけは大好物で、圭一の頭の上で涎をたらしながら魑魅のご飯を狙っていた。

 当然、実際に食べることは彼女には出来ない。


 食事が終わると魑魅は自宅へ戻り、学校の準備をして呼び鈴を鳴らす。

 圭一はその間に用意を済ませ、溢喜の戯言を聞きながら学校へ向かうのだった。

 一階に着くと示し合わせたように在人が合流し、あの十字路で黒い影を目撃すると、次の瞬間には采香と鉢合わせた。

 学校にやってきた四人は自分の席に座りそれぞれ用意を始める。そこへ……


「っはよぉ~っ」


 元気一杯の來が現れ席に座って荷物を机に片付けていた圭一の背中をバシンと叩いた。


「いってぇなっ」


「あ~っと強すぎた? ごめ~ん」


 片手を顔の前でゴメンねのジャスチャーにして、來は悪気なさそうに意地の悪い笑みをする。


「あんた昨日面白い冗談口ばしったっしょ。つーわけで今日は身投げ稲荷に付き合いなさいよ」


 いきなり出てきた曰くありげな単語に思わず「はぁ?」と怪訝な顔で返す。


「この学校から右隣の山あんでしょ。あそこに神社があるのよ。身投げ稲荷っていうの祭ったトコなんだけどけっこう自殺の名所でさ、私にゃ退魔だっけ? そんな力があるんでしょ」


 ようするに自分に力があることを証明するために曰くつきの場所に付き合えと言ってきたのだ。思わず困り果てて横の魑魅に助けを求める。

 魑魅は圭一を見つめたまま訳の分からないといった顔で首を捻った。

 孤立無援だった。


「つってもな來。そういう曰くつきの場所は危険だぞ」


「だからでしょ? 私なら払えるんじゃん」


 わかってない。そう言いたかったのだが……


「さ~いか、あるるんも行くでしょ? 魑魅っちは……どうせけーちが行くなら行くっていうだろうから確定ね。おし、今日の放課後は身投げ稲荷けって~い」


 類稀なる強引さで見事に決定。

 圭一は困った挙句に真上の溢喜を見上げる。


『あ、ちょっと圭くん。スカートの中覗かないでよっ』


 なぜかスカートの中にブルマを穿いていた溢喜が慌ててスカートを抑えて隠した。

 圭くんのえっちと口をいーっといを発音するように開いてそっぽ向いてしまった。

 どうしろと? 助けが誰もいない事に気付いた圭一は一人悲嘆にくれた。


「あー、出席を取ります」


 ふと気が付けば、いつの間にやら教室内に入ってきたバイキン先生が、独り寂しく出席確認をしていた。

 いつ来たんだろうか? 影の薄い先生だ。

 多分、殆どの人が彼が出欠確認を始めたことに気付いていないと思う。



 放課後になり五人で固まって下校する。


「ねぇねぇ、けーちたちってケータイって持ってる?」


 話の話題は全て來まかせ。そのため何が口から出てくるかは圭一の知るところではなかった。

 來が本日三種類目になる話題として振ってきたケータイの話に、在人はポケットの携帯電話を取り出す。

 一応学校は携帯電話の持ち込みは禁止しているので、学校に居る時は電源は切っているそうだ。

 ソレ意味ないじゃんと來に笑われ、シュンとした在人を放置して采香へ話を振る。


「持ってないです」


 そもそもケータイってなんですか? と、在人の携帯電話を見てすら試用用途が分かってない笑えない采香に、來は呆れてモノも言えない。

 圭一にギギギと油の切れた機械よろしく振り返り、説明よろしくケータイ博士。などと人を勝手に博士に仕立てて解説を任せてきた。


 当の本人はその間に在人とメアド交換をして、ついでに魑魅にも話題を振って、魑魅の出した携帯食料イチゴポッキーにツッコミを入れていた。

 参道の階段に付いた頃には俺の番号も強引に自分のスマホに収め、來は意気揚々と先頭を突き進む。


『あのさ圭くん』


 いつになく怯えたような声に、圭一は立ち止まって真上を傾ぐ。


『ここ、ヤバイよ』


「分かってるよ……この背中に走る寒気の感じは都会にいた怨霊の類と一緒だ。それも……想像以上に危険な……」


 とはいえどうやって來を止められる?

 声は出さず、でも溢喜には通じたようで、必死に考え始める。


『と、とにかく、ヤバイのには絶対近づいちゃダメだよ』


 何も妙案が浮かばなかったらしく、警戒に努めるように注意。

 大して役に立たないアドバイスに泣けてきた。

 横を歩く魑魅に小声で注意を促し、采香と在人を近づけないようにと頼み込む。


 魑魅が頷くのを見て、後は來の心配だけだな。

 と一人來の後を追うように先行する。

 階段の終わりにある鳥居を潜り、圭一たちは少し広まった空き地にでた。


 目の前には簡素な造りの神社があって、石畳が階段まで続いていた。

 神社の入り口には、まるで監視をするような狐の像が左右に二体。

 その先にあるのは小さなお堂。札が幾重にも貼られたそこから、かつて感じた事も無い様な強烈な怨念を感じる。


「へ~、結構神社してるわね」


「どういう意味ですかそれ」


 神社の概観を見回しながら声を出す來にくたびれた様子で口を出す采香。

 御堂の中から漂ってくる異様な寒気に身を震わせながら、圭一と魑魅は頷きあう。

 二人の結論は同じだった。

 即ち、ここは早々に撤退すべき。


 いくら來に退魔能力があったとしても、溢喜を消し飛ばしそうなほどの怨念の濁流には敵わない。

 そもそもその溢喜がすぐ目の前に漂っているのに今まで成仏すらしていないのだ。ここに居る怨霊はいわずもがなという奴だ。


 溢喜がこれ以上近づくと、怨霊に取り込まれる危険もあるので、先に山を下りるように言って下がらせる。

 絶対に大丈夫だと言い聞かせ、未だに心配そうな溢喜が麓へと下りていくのを見届けると、圭一は來に視線を移す。絶句した。

 あろうことか來は神社の御堂に手を伸ばそうとしていたのだ。

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