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死んでも愛してくれますか?  作者: 龍華ぷろじぇくと
二話、 学園七不思議さん?
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肝試され4

 体育館に着くと、花子が圭一から離れて子供らしく可愛く駆け去っていく。

 用具室に消えて、バスケットボールをつきながら戻ってきた。

 そのまま体育館の中心でポーン、ポーンとついて遊びだす。


「バ、バスケットボールが独りでに……」


 あまりの恐さに震える采香。お姫様抱っこで逃げることができないので、せめての抵抗とばかりに琉実の鼻水まみれの服に顔を埋めてバスケットボールを見ないようにする。

 なんだかもう、すごい状態だ。圭一は采香を見ながら何とも言えない気分になった。


『ばぁっ』


 と、もう驚くこともないだろうと油断しきっていた圭一の真正面に唐突に落下してきた変な顔。思わず吹きだした。

 今までの衝撃事実に思わず存在を忘れていた隠し玉が、ついにそのベールを脱ぎ去ったのだ。

 まさに絶妙のタイミングだった。


『あははははははっ! 圭くん笑ったぁ~』


「え? あ、あの今田……さん」


 自分の行動が笑われたと思ったのか、驚いた顔で見つめてくる采香に慌てて被りを振るう。

 タイミングが悪過ぎた。

 采香が恐怖で圭一にしがみついたことを笑われたと采香の顔が羞恥に歪んで行く。


「あ、いや、采香のことじゃないっ。っていうか采香さんのことじゃなくてその……ごめん呼び捨てしたのは聞かないでくれっ」


 目の前でしてやったりと笑いまくってる溢喜を恨めしく思いながら必死に言い訳を考える圭一。

 しかし、困惑した状態でそんな言い訳などできるはずもなく、足掻けば足掻くほど訳の分からない言葉が口から漏れていく。


「と、とにかく体育館はもういいよなっ」


 半ば強引に来た道を引返す圭一。

 采香は身動きが取れないので否定することも出来ずに二人して体育館脱出。

 体育館では花子や三葉がばいば~いと手を振っていた。


 どうやら二人はここで別れるようだ。

 三葉が少し寂しそうにしていたが、もともと花子たちと打ち合わせていたのだろう。

 ついでにどさくさに紛れて今度は溢喜がくっついてきた。


『ってか圭くんっ! なんで采香とラブラブってんのっ!?』


 聞く耳を持つ必要も無いので完全無視で采香を抱えたまま溢喜から逃げるように走る。

 むしろおまえらのせいだろと言いたい。

 采香が腰抜かしたのは幽霊共のせいであるし、この状況に持ちこむ切っ掛けを作ったのは溢喜が彼女らに肝試しをすると伝えたからだ。

 っと、今はそんなことを考えてる暇は無いっ。とばかりに圭一は必死に走る。


「今田さん、ど、どうして走ってるんですか?」


「後ろ見りゃ分かる」


 本当なら体育館を出た時点で歩いてもよかったのだが……

 溢喜の後ろから猛スピードで追ってくるそいつを見つけてしまい、止まるに止まれなくなっていた。

 圭一の後ろから、両手をうまく使って追い上げてくる上半身オンリーの少女。


 けけけけけけっ

 と、気味の悪くなるような声を上げながらなぜか圭一を追ってきていた。

 最後の七不思議、テケテケの千鶴さんである。

 しかも余程霊力で固まっているのか、目視確認ができるようだ。

 気付いた采香も彼女の存在を認識したのか驚愕に目を見開いていた。


「な、なんですかアレ……て、テケテケ!?」


「なんでかわからんが体育館でたあたりから追ってきてんだよっ。このまま一気に脱出すんぞっ」


 見えてきたゴールにラストスパートをかける。が、


「ぬおわっ」


 足が縺れてすっころぶ。

 まさかの出来事に背後の千鶴も驚いた顔をしていた。

 圭一は采香を抱えていたため受け身すら取れず、采香を押しつぶすように前方へと倒れ込む。


「きゃんっ」


『わっ、ちょっといきなり止まらないでくださいっ』


 弾みで采香を押し倒し、勢いのついていた千鶴が圭一の体に乗り上げる。

 唯一逃げ切ったのは溢喜。圭一の首に巻きついていた手を離して咄嗟に空中に逃れたため、巻き添えを食う事は無かったが、圭一の状況に気付いてむしろ悔しそうに地団駄踏んでいた。


「う、いってぇ……」


 いろいろな場所に痛みを感じながら両手に力を入れて起き上がる。

 むにゅりとしたやわらかい感触。条件反射でついつい確かめる。

 ずっと揉んでいたいと思える感触にこんなモノあったか? と首を捻る圭一。


「なんだ? このやわかいもの……はぁっ!?」


 自分が触っていたモノが采香の胸だと気付き、慌てて飛びのこうとするが、背中にある似たような弾力の感触に体がフリーズした。

 霊体とはいえ密度を高めているためか、千鶴の胸はしっかりと感触を持って圭一の背中に押しつけられていた。


 その時点で采香自身も状況を把握して石化。

 千鶴が気付くまで双方顔を見合ったまま動くことすらできなかった。

 唯一圭一の真後ろにいた千鶴が後ろへ退いた瞬間、時は動き出した。


「ご、ごめ、わざとじゃ……」


「いやあああああああああああああああああああああっ」


 その悲鳴は胸を触られたことに対するものか?

 それとも圭一の後ろにいたテケテケに対して向けられたものか?

 唯一ソレを理解できるものがあるとすれば、一瞬後に木霊したパシーンという鋭い張り手の音だけだった。

 こうして、初の肝試されは、無事? に終わることになったのだった。

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