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死んでも愛してくれますか?  作者: 龍華ぷろじぇくと
二話、 学園七不思議さん?
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肝試され3

『なんというかぁ、口では他言に出来ない間柄ってこういうことを言うんだよね~』


 花子が圭一の首に纏わり付きながら楽しそうに笑っている。

 相も変わらず左手は三葉が占領し、采香は自分の行動が恥ずかしすぎて圭一からかなり離れて歩いていた。

 俯き加減で顔も不自然に圭一から反らされ、眼が合ったりしても赤面して即座に別方向に向いてしまう。


 もはやどうしていいのかわからなくて圭一は空いた右手で頭をぼりぼりと掻くしかなかった。

 服は上下ともに液体に濡れ、独特の臭いを放出していた。

 正直早く着替えたい。でも着替えがないのでこのままである。


 花子の言では時間経過でエクトプラズムは分解されてしまうらしいので、上着についている鼻水モドキは少しずつ消え始めているのだが、下半身を苛む何とも言えない感覚まではどうにもならない。

 とりあえず、しばらくすれば乾くだろうパンツは一度トイレの手洗場で水で濯いで絞ったので、帰ったらさっそくクリーニングに出すべきだろう。

 幸いにも学生用ではなく私服のだったので次の休日までに返ってくれればもんだいはない。


 音楽室に着くと、バイオリンの音が響きだす。

 かなり上手い。流れるような動きで一人の幽霊がバイオリンを弾いている。

 普通、こういうのってピアノじゃないのか? などと圭一は思うが、ツッコミを入れる事は無かった。


『麗華ちゃんだよ』


 花子の言葉に室内に入ると、教壇で麗華がバイオリンを弾いていた。

 綺麗な曲だった。

 圭一からすればそれはただの麗華の演奏。しかし、采香からすれば……


「ば、バイオリンが……浮いてっ、独りでにっ」


 腰砕けのようにその場にくず折れる。

 当然腰は抜けていた。

 今回は気絶するほどではなかったが、そのせいで恐怖が続く。

 これぞまごう事なき怪現象。ようやく采香も目の当たりにできたようだ。


 トイレでの出来事は気が動転していたみたいだし、怪現象と言えば怪現象だけど、采香にとって初めて目に見えて幽霊の仕業と思えるのが今回の宙に浮くバイオリンだ。

 トイレからの道すがら、圭一に対して、あんな声だしてきたりドア塞ぐのは酷いです。とか言われたので、多分幽霊の仕業と信じたくなくて圭一の仕業にしてしまいたいようだ。


 というか、そう思おうとしているのであの出来事を采香は幽霊の仕業と認めていなかった。

 それに気付いた花子がちょっと膨れていたが、また妙な手をだして采香を驚かさない様圭一に窘められていたので膨れるだけに留まってくれていた。


『う~ん、この女の子リアクションいいよね』


 圭一の頭に顎を乗せながら花子は悪戯な笑みを見せる。

 とはいえ、采香の腰が抜けてしまったので、移動できなくなった采香をどうするか考えた結果、圭一がおぶって行くことにした。

 ちなみに多数決(幽霊三対人間一)によってお姫様抱っこ決定。

 なぜだと思いながらも。幽霊たちからお姫様抱っこコールを受け、圭一は素直に従うしか道は無かった。


「すいません、今田さん……」


 もう痴態晒しまくりで圭一の顔をまともに見れない采香は、目線が合うたびに真っ赤になって視線をそらす。

 しかし、逃げることが出来ないので何度も何度も真っ赤になって、茹ってしまわないか心配だった。

 圭一としても顔を合わせ辛いのでできるだけ見ない様前を向くことを意識する。


「気にすんなって。あれだけ恐い思いすりゃ誰だって……と、とにかく俺はこれくらい平気だから」


 あれだけの恐い思い。

 その一言で采香の顔が火が出そうなほどに真っ赤になってしまったので、慌てて安心させようとして何を言っているのか自分でも意味不明になっていく。

 そんな圭一を助けたのは……


『初音ちゃんのテリトリー到着ぅ~』


 元気な花子の声だった。


「私たちの教室?」


「ああ」


 中に入ると、いつもの場所で初音は椅子に座り、ぼ~っと黒板を眺めていた。


「あ、あれ? 初音さん? なんで学校にいるの?」


 どうやら初音は采香にも見えているようで、驚きの声を出す。

 圭一が歩み寄ると、初音はようやく二人に気付いたように会釈する。

 そして采香は、普通にクラスメイトとして初音に接している。相手が幽霊だと全く分かっていないようだ。ここまで鈍いと逆に感心する幽霊の面々だった。


「どうしたんです? もう夜ですよ初音さん」


『そうですね、外は真っ暗ですよ』


「いや、そうなんですけど。家に帰らないと」


『そうですね、采香さんもこんな遅くまで居てはいけませんよ』


 微妙に歯車の噛み合わない会話が続けられる。


『肝試しですか?』


「そ、そうなんです。來さんに無理矢理誘われまして」


『ですが、よかったではないですか』


「え?」


『仲良くなれたみたいですね』


 え? と二人して顔を見合わせ何故か赤面。

 互いに同時に視線をそらした。


「こ、これは私がその、腰を抜かしてしまいまして……」


『それでしたら背負うだけでよいのでは?』


 そう言われるとこちらとしては二の句の告げない圭一。

 采香の前で幽霊三人による策略で決まったことだと宣言できるはずもない。

 何か言いたげな采香の視線に居ても立ってもいられず、初音に別れを告げてそそくさと廊下に飛びだす圭一は、最後の目標点である体育館へと向かった。

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