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死んでも愛してくれますか?  作者: 龍華ぷろじぇくと
二話、 学園七不思議さん?
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肝試され2

 理科室から出ると、采香は幾分落ち着いたようで、圭一の隣を歩きだす。


「ゆ、幽霊が出るって言ってましたけど、い、一度も出てないですね。ホントにいるんですかね」


 もうすでに二体の幽霊と遭遇してますよ。などと思いながら進んでいると、

 ぺたぺたぺた……

 圭一でも采香でもない足音のようなものが聞こえた。


「あ、あれ? 今何か足音みたいなのが……」


 嫌な予感に采香が振り返る。圭一もついでに振り返った。

 三体目のご登場である。

 和服姿の半透明少女がおどおどした態度で後ろを付いて来ていた。


「誰もいませんね?」


 いや、待て。

 目の前で圭一を恐る恐るといった表情で見上げているのはなんといったか? 確か三葉とかいう名前だったと思う。

 いわゆるベトベトさんという類の妖怪みたいなもので、ただ単に圭一たちの後を付いてくるだけの幽霊。


 どうやら霊感のない采香には彼女の姿が見えてないようだ。

 圭一が気付いたせいで三葉はターゲットを采香に替える。

 采香の背中へと移動した。


 行きましょう。と采香に促され、次の心霊スポットである女子トイレへ。

 ぺたぺたぺた……

 圭一からすればどうして聞こえる音なのかよく分かるのだが、三葉を見えない采香にとっては気味の悪い音でしかない。


 何とはなしに歩調が早足になっていく。

 ぺたぺたぺたたたた

 采香に合わせて歩調を速める三葉。


 采香は気味悪がる顔から一転、泣きそうな顔で早歩きになって行く。

 圭一との距離など全く意識せず、ただひたすらに足音から逃げようと前に前に進んで行く。

 圭一の横を通過する時、圭一は左手を三葉の目の前に持っていってやった。


 それ以上は采香を追って遊ばないようにとの牽制の意味だったのだが、何を思ったのか三葉はその手を握ってきた。

 弥生の手を握った時に感じた冷たくも確かな感触。

 物珍しそうに自分と圭一の手がつなげられているのを見つめ、三葉はおずおずと圭一を見た。


 振り払うのもなんだか可哀相な程、今にも泣き出しそうな濡れた双眸が何かを語っていた。ついつい握り返してやる。

 三葉は一瞬どきっとしたように全身をビクッと仰け反らせ、でも次の瞬間嬉しそうに手を振り出した。


 女子トイレに付くと、采香と二人して中に入る。采香には見えていなかったが、未だに三葉は圭一の横を付いてきていた。

 これは、両手に花といっていいのだろうか?

 圭一は隣の三葉を見る。満面の笑みを返してきた事を見るに、どうやら懐かれたようだ。


「あ、あの……ここで待ってて貰えますか?」


 なぜか急にもじもじと、采香は圭一を見ずに一方的に話しだす。


「あ? ああ、いいけど」


 了解の言葉を聞くと同時に、慌てたように個室に飛び込む采香。


『トイレ我慢してたんだね』


 初めて三葉が喋った。


「まぁ、一回気絶したりして溜まってたんだろ」


『でも、三番目に入っちゃったね』


 左手の親指を口に咥えながらボソッと呟く三葉に、なんとなく嫌~な予感のする圭一。

 案の定……


『赤いちゃんちゃんこ着せましょかぁ~』


「ひっ!?」


 個室の方から聞いたことのある声が二つ聞こえた。


「花子か」


『うん。今日は赤いちゃんちゃんこバージョンだって』


 バージョン、あるんだ……

 どうでもいいことを知りながら、圭一は頬を掻く。

 これは止めに入るべきなのだろうかと戸惑っていると、


『赤いちゃんちゃんこぉ~』


「い、いやっ、いやっ、今田さっ、助けっ」


 すでにパニック状態に陥ったらしい采香の声が、ドンドンと個室の壁を叩く音と共に聞こえてくる。

 これ以上は采香の精神が持たないかもしれない。

 個室内で気絶されても困る。


『花子、ドアも閉じちゃったみたい』


 のんきな顔で呟く三葉から手を離す。

 あっと名残惜しそうに手を追う三葉の頭にぽんと手を置いて少しだけ撫でて、圭一は個室の前に向かう。

 背伸びをして手探りで居場所を探す。


『赤いちゃんちゃんこぉ、着せみゃひゃぁ』


 運良く実体化していたらしい花子の首根っこを掴み一気にひっぱりだす。

 途端に開く個室のドア。泣きはらした顔の采香が飛び出してきた。

 避ける暇すらなかったのでパンツをずりおろしたままの采香に体当たりされ、爪先立ちだった圭一はバランスも取れずに床に倒れる。


「今田さっ、いまっ、うっ、うう~っ」


 当の采香は状況など全く把握できずに恐怖から逃げるためだけに圭一に顔を埋める。

 べちょり

 先ほど琉実によって付けられた鼻水との競演。


 三葉も花子もうわやっちゃったぁ~みたいな顔を見合わせ圭一に舌をだして可愛く笑う。

 笑い事で済むかっ。お前ら幽霊のせいだろうが。思いながらも声には出さず、


「采香さん、大丈夫? 落ち着いて、ほら」


 圭一の言葉に次第落ち着いていく采香。

 采香はまだ状況を認識できていないようで、必死に圭一にしがみつき安堵をおぼえているようだ。我に返った時どうなることか。

 張り手の一撃は受ける覚悟で、圭一は彼女を元気づけていく。


「大丈夫、恐くない。ほら、もう安全だから」


 などとしきりに元気付けていると、なぜか急に震えだす采香。

 安堵したような顔で「あ……」と妙に幸せそうな声を洩らしていた。

 一瞬後、圭一のズボンが生暖かく濡れていく怪現象が襲った。

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