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死んでも愛してくれますか?  作者: 龍華ぷろじぇくと
二話、 学園七不思議さん?
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肝試し開始

「この学校の七不思議はね、ええと……まず近くで言えば血を流す黒板。美術室の黒板が毎夜血を流してるんだって」


 來は心底楽しそうに話していた。

 まるで楽しんでるようなその態度に、ああ年頃の女ってそういう奴がいたよな都会でも。

 などと懐かしい気分になる圭一だった。


「二つ目は理科室の動く人体模型。実体がある分恐さ倍増よね。そして有名な女子トイレの花子さん。体育館にも出るって噂だからこの幽霊がここのメインかも」


 ヒートアップする來から目を離す圭一。

 すると近くに寄って来た采香がそっと耳打ちする。


「來さん、私の父にもああやって三時間くらい肝試しについて語ってたんです。最後には父も疲れた顔で遅くならないようにな。って」


「ご愁傷様だな。親父さんに謝っとけよ」


「そうですね、明日にでもそうします」


「四体目は音楽室に響くバイオリン。誰も居ないのに鳴り続けるバイオリンだなんて不思議だと思わない? ね? ね?」


 半ば興奮気味に在人に同意を求める來。

 止せばいいのに頷く在人を見て來はさらにテンションをアップさせていく。


「五体目はどっかの教室にいる増える生徒の噂。どこの教室か知らないけど、コイツだけは昼夜問わずでるんだって」


 それは自分のクラスの初音さんだろ。心の中で呟きながら在人を見る。

 在人は少し恐怖に支配された顔をしながらも熱心に來の言葉に耳を傾けていた。


「あとの二つはどこに出るか分からないんだけど、駆けずり回る上半身だけの女の子の噂とか、背後を付いてくる誰かの噂があるの。出会えたらラッキーよね」


「アンラッキーの間違いじゃないのか?」


 誘う方も誘う方だが、付き合うほうも付き合うほうだなと溜息を吐きながら圭一は魑魅の隣に移動する。

 魑魅はぼ~っと虚空を見つめたまま來の話が終わるまで待っていたようだが、圭一の接近で、圭一に視線を向ける。


「どうかした? 圭くん」


「あ、ああ。悪かったな、こんなのにつき合わせて」


 元々魑魅は圭一が行くなら行くと言っていた。

 それはただ単に一人で寝るとあいつがやってくるからということが根底にあるらしく、別に圭一でなくとも一緒に寝られる相手がいればわざわざ肝試しなんぞに来る必要も無かったのである。


「気にしてない。圭くんと一緒だから」


 いちいちドキッとさせられることを言う魑魅だった。

 本人、ほけっとしているのでそういう気は全く無いのだろうが、言われた圭一からすると気があるんじゃないだろうかと勘違いしてしまう。

 とはいえ、面と向かって好きと言ってくる溢喜のようなタイプではないので、魑魅が圭一をどう思っているかは圭一には全く分からなかった。


「さて、組み分けはじゃんけんで決めるよっ」


 握りこぶしを高々と上げながら宣言する來。

 断言しよう。そういう奴に限ってこういうじゃんけんは負け……たのは在人だった。

 釈然としないものを感じながらパートナーになった采香を見る。

 采香は照れ笑いを浮かべつつ、


「二番手ですね」


 遠慮がちに言った。

 來と魑魅が一番手で、圭一と采香が二番手。

 在人はたった一人三番手という同情すら出来そうな可哀相な結果に……

 今から既に後悔しているのか、泣きそうな顔をしながらスタート地点の学生食堂への渡り廊下に着いた在人をなだめつつ、來は魑魅の手を取った。


「んじゃま、今日はよろしく相棒!」


 コクリと頷く魑魅となぜか手を繋いで意気揚々と校内に姿を消す來。

 なんとなく嫌な気分になったのは圭一の気のせいだろう。

 流石に來が女性愛好者というのは無いだろうと自己納得しつつ数分。

 魑魅の安否が気になって仕方ない自分に驚きを感じる圭一が居た。


 それから十数分、一人そわそわとしながら二人を待っていた圭一は、采香たちが座って待っているというのに、落ち着きなくあっちへこっちへうろつきまわって不自然極まりなかった。


「あの……緊張するのは分かりますが、落ち着かれては」


 苦笑いと共に采香は遠慮がちに声をかける。

 圭一は頬を掻きながらそういう緊張じゃないんだがと思いつつも頷いておく。

 さらに五分程経って、ようやく二人が出てくる。

 魑魅はまるで何も無かったかのようにいつもどおりのぼ~とした表情で、來にいたっては不機嫌この上ない顔をしていた。


「どーしたんだよその顔は」


「どうするも何も、幽霊のゆの字も出てこないんだけど」


 溜息を吐きながら意気消沈。学食前の段に腰掛け、力なく萎れる來。

 どうなってるんだと首を捻る圭一に、魑魅が寄ってきて耳打ちする。

 魑魅談、学校霊たちは一度も出てくることなく心霊現象すら起こらなかったそうだ。


「一応、けーちたちも行ってきたら? 何もでないだろうけどさ」


 老け込んだように力尽きた來に薦められ、采香と二人校舎に向かう。


「えと……やっぱり行くんですか?」


「行くしかないだろ。ここで帰ったら來に怒られそうだし、大体10分くらい校内彷徨ってりゃいいだけみたいだしさ」


 そう言いながら廊下に足を踏み入れた直後。ギィとしなる床板に采香が悲鳴を上げていた。


「た、ただの床板の音だって」


「そ、そうですけどいきなりでしたから。あ、あの、裾掴ませて貰ってもいいですか」


「ん? 構わないけど」


 おずおずといった様子で圭一の裾を掴むと、少し安心した様子の采香。

 采香が安心しているのを確認して、圭一はゆっくりと進みだす。


「このくらいのペースで大丈夫?」


「はい。大丈……っ!?」


 最初の関門美術室に足を踏み入れた圭一と采香。

 采香が圭一に答えるために前を向いた瞬間、黒板の中心から湧き出るソレを直視した。


「い、い……いやあああああああああああああああああああっ」


 パタリ

 采香が気絶した。

 まだ……初っ端だぞ?

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