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死んでも愛してくれますか?  作者: 龍華ぷろじぇくと
二話、 学園七不思議さん?
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記憶の無い夜

 帰り道、虫の音しか聞こえない暗がりを、二人きりで歩く圭一たちがいた。

 月明かりに照らされているためさほど暗いとは感じないが、街灯も少なく周りは田んぼだらけ、道は舗装されたアスファルトではなく所々に草の生えた砂利道。


 来るときは走っていたため周りを見る余裕も無かったが、改めてみると、満天に広がる夜空に浮かぶ星々が綺麗だった。

 虫の声以外は静寂。都会ではありえなかった光景に、しばし目を奪われた。


「すげーよな」


「え?」


 思わず立ち止まり空を見上げる圭一。

 魑魅も立ち止まって頭上の光り輝く暗闇を見上げた。

 一等星や二等星だけじゃない。目を凝らせば六等星くらいまで見える気がしてくる。有名な星座もすぐにわかる気がした。

 二人して溢れるほどの輝く星に見惚れる。


「都会じゃ絶対見えない光景だ」


「……うん」


「それにこっちの幽霊はけっこう話が分かりそうなのが多い。向こうじゃあんな喋る幽霊は溢喜くらいだったぞ」


「そうなの?」


 夜空から目を離し圭一の元に寄ってきた魑魅に、圭一も歩調を合わせて歩きだす。


「なんたって都会だからな。自殺者とか怨念一杯の悪霊が殆どだ。妖怪とか時々見かけたりもするけど人間を恐れてすぐに暗がりに引っ込む」


「そうなんだ」


 圭一はさらに話をしようとして、いつの間にかかなり近くに寄って歩いていることに気付く。

 すでに肩と肩の幅は数センチもなくて、もうちょっと寄れば自然を装ってくっつけるぐらいの距離。

 今まで意識していなかった女の子と二人きりという事実に心臓が高鳴った。


「ん?」


「あ、いや、それでだな……つか幽霊話ばっかだよな俺」


 照れ隠しに頬を掻いてみせると、魑魅は目を細めた。

 緑と赤という変わった瞳が細められると、なんだか顔全体が微笑んでいるように見える。

 文句無く可愛かった。


「面白いよ」


「え?」


「面白いよ、圭くんの話」


 さらに目を細めて微笑む魑魅。

 心臓の奥が波打つような感覚で鼓動が早さを増すのが自然に分かった。

 それは……溢喜に告白された時と似ていた。


「あのね圭くん」


「な、何?」


「やっぱり一人で寝るとあいつが来るの。昼間は大丈夫だけど……だから」


 じぃっと相手の目を真剣に見つめ、魑魅は爆弾にも似たその言葉を口にした。


「一緒に寝て欲しいの」


 それから後のことを圭一が記憶することは無かった。

 頭の中はほぼ真っ白になり、唯一残っていた思考回路はその全ての力を用い、力の限りタロットカードの世界を英語で叫んでいた。その上で付け加える。

 時よ止まってくれ! と……


 一緒に寝て欲しいの、一緒に寝て欲しいの、一緒に寝て欲しいの……

 圭一の頭の中にはその言葉だけが繰り返し再生される。

 その間自分が何をしてどこに向かい、魑魅とどうなったのか? 彼が知ることはなかった。


 ふと我に返った時には、寝ぼけ眼の先に怒りに震える溢喜が仁王立ちしていた。

 始め、なぜここに溢喜がいるのか理解できなかった。

 なので思わず二度寝の体勢に入る。溢喜がわめいていたが、圭一は夢の彼方に旅立った。




 翌日。覚醒した圭一と魑魅は溢喜の絶叫で起こされていた。どうやら夜半ずっとわめいていたらしく疲れの色も見える。

 そのまま起き抜けに怒号のマシンガントークをくらい、頭が回らず言葉も理解できなかった圭一は両手を伸ばして大欠伸、魑魅にいたってはそのままコテンと圭一の膝元に頭を降ろして二度寝の始末。


 溢喜はその行動にさらに怒りを猛らせるが、触ることが出来ないため、どちらの生者の行動も止めることができなかった。

 悔しかったのだろう。圭一の頭を叩き始める。圭くんのバカを連発する溢喜に圭一は何を言ってるんだと溜息だった。

 大欠伸をかました圭一は瞳を擦りつつ視線を下へ、自分の足を枕に眠る魑魅を見つけて数十秒。ようやく頭が回りだす。


「ぬおわあああああああああああああああああああっ」


 あまりに具合の悪い場所で二度寝をしていた魑魅を引っぺがし、急いで顔を洗いに洗面所へと飛んでいく。

 余りに衝撃的な展開過ぎて一気に目が覚めた。

 そして溢喜がわめいていた理由を理解するが、自分のせいではないと言い聞かせる。


『圭くんっ! 圭くんってばっ! どーなってんの!? どうして泥棒猫と同じベットで寝ちゃってるわけ!? まさか越えちゃったの!? 私が越えられなかった一線をこえちゃったの!? 説明しなさぁぁぁいっ』


 寝ぼけ眼で起き上がる魑魅の目の前で、頭を幽霊に叩かれる圭一がいた。

 日常的にある光景を見せつけられて、魑魅は思わず微笑み浮かべる。

 彼女は修羅場になりかけているその光景を見て、平和だな。なんて考えていた。なので完全に傍観者に徹する。

 圭一のフォローがされることはなかった。


「だぁからっ! 俺も昨日は何がなんだか分からなくてだな……」


 圭一からすれば魑魅のあの一言から先の記憶は一切なかった。

 だから一体何をしたのか何が起こったのかは分からない。

 ただ、自分が会って間もない女の子に何かをするとは思えない。しかし……


「圭くん暖かかった……」


 思い出すように呟かれた魑魅の言葉に溢喜が爆発した。

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