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モン娘えぼりゅーしょん!  作者: 氷雨☆ひで
四章 太陽を巡って
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066 風呂の語らい

 俺たちは妖精界を出て、グローパラスへと戻った。ザザをウィルオーウィスプたちの住処へと連れて行く必要があるが、色々と雑事をこなす必要がある。

 なお、妖精界を出たのは俺、クレア、プロミィ、ザザだけではない。


「ここがお話されていたグローパラスですか。モンスターと人間の交友を深める場所というのは聞いたことない試みですね。大変意義深いものだと思います!」


 大げさな身振り手振りでソールのジーンが感動を表現している。そのたびに大きな胸が揺れるから大変目に毒だ、素晴らしい。


「ふぅん、奇特な人だねー」


 ソラウスのプレゴーンが眠そうな目で辺りを見回している。

 そう、太陽の馬車を駆るジーンと、彼女と共にいる四人のソラウスもついてきたのだ。妖精界ではオリヴィアが創った太陽が復活したため、彼女たちの役目が終わったのだ。

 妖精界との契約が終了したことで、通常ならばソールたちの住む里へと戻るはずだったが、俺たちの活動に興味があるらしい。念話的なもので里と連絡を取って許可を得ているとか。

 念話は非常に実用的な能力なのでやり方を質問したが、太陽に関わる力が云々とかでソールたちの間でしか使えない方法であり、ソール以外には無理らしい。もしかしたらはぐらされたのかもしれないが。


「ここがー!」

「今日からのー!」

「私たちの暮らす場所ー!」


 騒がしい声が聞こえてくる。声の主は、妖精界から移住してくるフェアリーたちだ。オリヴィアもグローパラスに興味を抱き、自身の種族であるフェアリーから有志を募ったのだ。居心地のいい妖精界からわざわざ移住してくるぐらいに好奇心が強いフェアリーばかりなので、これからグローパラスはますます騒々しくなりそうだ。

 とにかく、ザザとプロミィを北の森へ連れて行く前に、書類仕事を色々とこなさなければならないだろうなあ……。




「ふいーっ……」


 俺は、グローパラスの男湯の湯船で疲れを癒していた。

 何が大変かというと、報告書をたくさん書かなければいけないのに、手書きしか選択肢がないことだ。これまで何度も「パソコンが……、いや、せめてワープロさえあれば」と思ったことか。誰にでも読める丁寧な字で書く必要があるから余計に大変なのだ。


「リューイチ! 見てみて!」


 サンドワームのサンディがバサロ泳法を再び見せる。心なしか前見たよりも動きのキレがよくなっている。

 湯船で泳ぐなと言っているんだけどなあ。まあ、最近グローパラスにいることが少なくてかまってあげられなかったから、こうやってはしゃぐのはとがめないようにするけど。

 それにしても、こうやって見ていると、初顔合わせだった巨大なサンドワームが夢幻のようだ。……って、あれ?


「サンディ、少し大きくなったか?」

「えー、気づいたの今ー?」


 不満そうにサンディが口をとがらせる。

 いや、体が見てすぐ分かるほど大きくなったわけじゃないと思う。たぶん、測ったら成長はしているかも。

 成長したのに気づいたのは胸だ。前は少年と変わらないような真っ平だった胸が今は微かな膨らみを帯びている。


 ふに……


 触って確認してみる。

 マジだ、俺の気のせいじゃない。


「成長したんだなあ……」


 感動した。子供の成長を見る親の気持ちはこういうものだろうか。

 ふにふにふに……


「くすぐったいよ、リューイチ」

「やはりそっちの趣味か……私の貞操が危ない」


 しまった、触り心地がよくてつい触り続けてしまった。あれだ、肉球をぷにぷにするとか、プチプチをつぶすとか、なんか一度始めるとクセになって無意識レベルでやめられないことってあるじゃないか。

 って、今の声は……。


「変態が入っている風呂に入るのは早計だったかも? いやん」

「プレゴーン、ここは男湯って書いてあるんだけど……」

「ギルタブルルがどっちでもいいって言ってた」

「ムニラのやつめ……って、いやいや、どっちでもいいで男湯に入るなよ」

「私は何者にも縛られないのだ」


 プレゴーンがドヤっと胸をそらす。

 風呂だから当然裸であり、サンディほど小さくはないが、慎み深い双丘が湯気がたちこめる中でもよく見える。


「まじまじと見ている……やはり、変態か」

「いや、恥ずかしいなら隠しなさいって。女湯に行くとかさ」

「私は逃げるのは嫌い」


 そう言ってざぶんと湯船に入ってくる。まあ、そうしてくれると裸体が水面下に沈んでこちらとしても気が楽になるといえばなるし、残念といえば残念だ。こういう状況で流れるようにセクハラができるようになれば楽しく生きられるような気がするが、俺には無理だ。


「ところで、お前だけか? 他の三人は?」

「他の三人は女湯。残念ね、ふふふ」

「なら、プレゴーンはわざわざ俺に裸を見せにきたのか」


 俺がそう言うと、プレゴーンはぷいっと顔を背けて顔を半分水面下に沈めた。よく見なくても顔が赤くなっている。

 これを見て「のぼせたか?」と聞くような野暮なことはしない。

 つくづく、モンスター娘は感情を中心に生きていると思う。だからこそ、生きているのが楽しそうであり、交流して楽しくもある。


「私が読んだ人間の本だと、風呂場で男と女が一緒になると男が慌てるものなんだけどなあ」


 たらいに湯をはってのんびりと湯につかっているプロミィが話しかけてきた。


「人間の本とか読むのか」

「恋愛小説は大人気だよ」


 そんなことになっていたのか。意外に本が流通しているのか?

 それにしても、この異世界の人間の恋愛小説でラブコメみたいなそういう描写があるのは面白いな。なんというか俺の知識だと男女の裸の抵抗感はもっと低いと思っていたが、ここではそうでもないのかもしれない。いや、元々の俺の中世知識がおかしいだけかもな。


「リューイチはなんか全然動揺してないよね。この私の裸が目の前にあるというのにその冷静さ!」

「いや、体の大きさの違いを考えてくれよ。さすがに欲情はしないって」

「何をー!」


 地球にいた頃の妖精エロ絵は、コマの大きさとのバランスがあるから小ささをそれほど感じないことが大きいけど、いざ目の前にすると大きさの違いが常に意識されるんだよなあ。


「まったく、女性に対してもっと敬意を払ってくれないと! リューイチ、ぬるくなってきたからお湯を足して!」

「はいはい」


 俺は熱めの湯がためられている湯船から湯をすくってつぎ足す。


「あっつ! 入れすぎ!」

「おっと、水だな!」

「今度は冷たいって!」


 そんな風にぎゃーぎゃー騒いでいたら、熱めの湯がためられている湯船につかっていたザザがこちらに来た。


「ん? それでもぬるかったか?」

「ううん、温度は特に気にしないよ」


 ザザはザザでけしからんな。雪のような白い肌がとても綺麗で思わず見入ってしまう。体つきは細い感じなのに、躍動感ある生命力を感じる。いや、実際にモンスター娘としての魔力が相当強いから、その強大な力が溢れている。力の強さと、外見のあどけなさのギャップにどうしても引きつけられるんだよな。

 いや、なんかさっきから女の子の裸を見てあれこれ考えている俺は傍から見てどうなんだろうな。


「プロミィ、この変態は冷静なわけじゃなくて、女の裸を見るのが好きなだけに違いない」

「うん、そうだね」


 そして、プレゴーンとプロミィが俺を完全にレッテル貼りしてきた。くそ、なんという誤解だ。


 でもまあ、こういうやり取りが楽しくもある。

 今はまだモンスター娘の数が少ない。でも、もっとモンスター娘と多く分かり合っていければ……。


「もっと色々なモンスターと仲良くなって、このグローパラスをもっと大きくしたいな……」


 よし、頑張ろう!


「もっとたくさんのモンスターの裸を見たいと」


 プレゴーンさん、勘弁して下さい……。

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