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第八話 番犬
「ちょっといいかい。やっぱり、看守の仕事は外せないから、こちらの魔法に魔法をかけた相手が1日に何をしていかが分かる魔法があるから、それで1日君がどんな感じで魔物を倒しているかを知っているかで、判断したいんだが。どうだろうか」
こっちの戦闘を見たことのあるやつがいたのか、急に態度を変えてきた。そんな相手の対応に辟易しつつ、了解の旨を伝えようとしたその時、黒くて大きな影が私と看守の間に躍り出た。
高さ2.5メートル、全長5メートル、そして3つの犬の顔を付けた化け物だった。
「こ、こいつは地獄の番犬ケルベロスだ。ダンジョンでも奥深くに生息していると言われている。な、なんでこんなところに」
化け物を挟んだ向こう側で看守たちが説明とも取れる悲鳴を上げているが、今はそんなことは関係ない。この獲物を狩るとどれだけの経験値が入るのかを想像しながら、私は持っている刀を獲物へ差し向けた。
「勝負だ、ワン公。せいぜい、俺を楽しませてくれよ」