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第六話 申し出
私が見たところ、君のレベルはこのダンジョンに入るまでに達している。ギルド試験を受けても合格できると思うのだが……」
と、全くの正論を返された。やっぱ、試験なしは無理かなと思いつつも、言うだけ言ってみることにした。
「えーと、その、ギルド試験には日にちもお金もかかるじゃないですか。今の稼ぎだと毎日の生活費に消えていっちゃって、試験料を貯める余裕もないんです。ダンジョンでのドッロプアイテムは高く売れるじゃないですか。試験料が貯まるまで、どうか入れてください」
ふむー、と考え込む看守。これは、脈ありかと思ったとき、看守が口角を上げたのを私は見逃さなかった。
「では、こうしよう。今から私と模擬戦をしよう。それで、君が勝ったら、私からギルドの方へ言って君の試験を免除するように伝えよう。どうかね」
まさかの願ってもない申し出が向こうからきたのに、自分も口角が上がるのを感じながら、その申し出を了承した。
「受けてたってやる。なめてると痛い目みるぜ、看守様」